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マイナーな入力デバイスも利用できるように? ~「Google Chrome 89」がベータ版に

デスクトップ版では“Web Sharing”が有効化。[共有]コマンドによるデータ受け渡しが容易に

「Google Chrome 89」がベータ版に

 米Googleは1月28日(現地時間、以下同)、「Google Chrome 89」のベータ版に追加された新機能を発表した。「Chrome 89」では“WebHID API”や“Web NFC”、“Web Serial API”といった新しいAPIが導入されるほか、デスクトップ版でも“Web Sharing”が利用できるようになる。

 “WebHID API”は、Webアプリが比較的マイナーなヒューマンインターフェイスデバイス(HID、キーボードやマウスなどの入力デバイスのこと)を扱えるようにする仕組み。ゲームパッドなどのHIDは十分に標準化されておらず、デバイスごとに特殊なロジックを必要とすることがある。また、古いデバイスや特殊なデバイスはWebアプリで扱うのが難しかったが、「Chrome 89」で“WebHID API”がOrigin Trials(試験機能をテストする仕組み)を卒業することでサポートの改善が期待できる。

 Android版「Chrome 89」で既定で有効化される“Web NFC”は、名前の通りNFCタグと対話し、データの読み取りと書き込みを行う。一方、“Web Serial API”はシリアルポートをWebアプリから扱えるようにしたAPI。最近は趣味や教育、産業などでマイクロボードの活用が進んでいるが、これらをWebインターフェイスで制御できるようになる。

Android版「Chrome 89」で既定で有効化される“Web NFC”

 “Web Sharing”は、他のアプリへURLやテキスト、ファイルといったデータを受け渡す[共有]コマンドを実現する。モバイルデバイスでは当たり前になっているにもかかわらず、デスクトップPCではなかなか普及していない機能だが、「Chrome 89」ではWindowsとChrome OSで利用可能となるという。PWAがインストールされているならば共有データの受信側(共有ターゲット)としても機能させることが可能で、たとえば画像アプリから[共有]コマンドを実行し、共有パネルに現れたPWAへ編集中の画像データを送ることもできる。

古い「Microsoft Edge」ではサポートされていた[共有]コマンド

 ただし、共有ターゲットがサポートされるのは当面の間Chrome OSのみとなるようだ。

 そのほかにも、多くのAPIがOrigin Trialsで新たにサポートされる。なかでも注目はAndroid版(「WebView」コンポーネントも含む)で既存のAV1デコーダーを利用したAVIFコンテンツのネイティブデコードがサポートされることだろう(デスクトップ版は「Chrome 85」で対応)。AVIFはJPEGやWebPよりも圧縮率が高く、帯域幅の節約が可能。後発だけあって、HDRなどの新しい仕様もサポートしている。「V8 8.9」によるJavaScript機能の強化やCSSの拡充なども行われている。

 「Google Chrome」ベータ版はWindows/Mac/Linux/Android/Chrome OSに対応するフリーソフトで、現在、同社のWebサイトからダウンロード可能。Windows版は64bit版を含むWindows 7/8/8.1/10で利用できる。