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Adobe、「Acrobat」「Acrobat Reader」を更新 ~Flash関連の設定は削除。一部地域でWindows向け64bit版のテストを開始

任意コードの実行や特権昇格につながる恐れのある致命的な脆弱性にも対処

「Adobe Acrobat Reader」v2021.001.20135

 米Adobe Systemsは2月9日(現地時間)、PDFソフト「Adobe Acrobat」「Adobe Acrobat Reader」の最新版をリリースした。新機能の追加や既存機能の改善、セキュリティ問題への対処などを含んだ“Continuous”リリースとなっている。

 「Adobe Acrobat」の2月リリースでは、PDF編集機能がモダナイズされた。編集操作のためのバウンディングボックスは灰色の実線から点線になり、選択すると青くなる。ハンドルを操作すれば、ボックスを回転させることも可能。また、切り抜き(クロップ)操作もタッチデバイスでの操作性を考慮して丸いハンドルが追加されたほか、切り抜かれる部分がわかりやすくハイライトされるようになった。[ファイル]-[作成]メニューから空のPDFドキュメントを作成できるようになったのも、今回のリリースにおける改善点だ。

モダナイズされたバウンディングボックス
切り抜き(クロップ)操作もタッチデバイスでの操作性を考慮して丸いハンドルが追加

 そのほかにも、オーサリングモードで[Tab]キーを使ったフィールドのナビゲーションが可能になった。「Google Chrome」拡張機能も強化されている。Windows版では「Acrobat」がクラッシュした場合に表示されるダイアログが拡張され、ログの収集とフィードバックの送信が簡単に行えるようになっている。

拡張されたクラッシュダイアログ

 なお、「Flash Player」のサポート終了に伴い、関連するオプションが環境設定から削除された。Flashコンテンツを含むPDFドキュメントを開くと警告のプロンプトやバーが表示される。また、64bit版のテストが開始されたが、日本は今のところ対象外となっている。

 セキュリティ関連の修正は、CVE番号ベースで23件。任意コードの実行や特権昇格につながる恐れのある致命的な欠陥も含まれており、最大深刻度は“Critical”。同社はセキュリティアップデートの適用優先度をすべての製品で“1”と定め、できるだけ早く以下の修正版へアップデートすることを推奨している。

  • 「Acrobat DC」(Continuous)v2021.001.20135(Windows/Mac)
  • 「Acrobat Reader DC」(Continuous)v2021.001.20135(Windows/Mac)
  • 「Acrobat 2020」(Classic 2020)v2020.001.30020(Windows/Mac)
  • 「Acrobat Reader 2020」(Classic 2020)v2020.001.30020(Windows/Mac)
  • 「Acrobat 2017」(Classic 2017)v2017.011.30190(Windows/Mac)
  • 「Acrobat Reader DC 2017」(Classic 2017)v2017.011.30190(Windows/Mac)

 「Acrobat DC」および「Acrobat Reader DC」はWindows/Macに対応しており、同社のWebサイトからダウンロード可能。すでにインストール済みの場合は、自動アップデート機能で最新版へ更新できる。