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「Adobe After Effects」が3倍の速さに ~リソースを最大限に活用するマルチフレームレンダリングが正式版に
「Adobe Premiere Pro」「Adobe Character Animator」もv22.0にメジャーバージョンアップ
2021年10月28日 17:01
米Adobeは10月26日(現地時間)、「Adobe Premiere Pro」や「Adobe After Effects」といった映像関連製品のメジャーアップデートを発表した。今回のアップデートでは、ビデオ&オーディオアプリケーションのバージョン番号をすべて「22.0」へ統一。v22.xリリースであれば、前方および後方の互換性と相互運用性が確保されているという。つまり、簡単に連携できる。
今回のメジャーアップデートでは新機能に加え、次期バージョンに搭載予定の機能がベータ版として搭載されている。「Adobe Creative Cloud」の正規ユーザーであれば、これらのベータ機能にアクセスして試したり、開発チームにフィードバックを送信することが可能だ。
なお、今回のアップデートには脆弱性の修正も含まれている。できるだけ早めに従来バージョンへ修正パッチを適用するか、v22.0へのアップグレードを検討したい。
Adobe After Effects
「Adobe After Effects」の目玉は、複数のフレームを同時にレンダリングする「マルチフレームレンダリング」機能だ。最近のCPUは複数のコアを搭載するのが当たり前になっているが、それを遊ばさずに効率よく活用することで、ハイエンドシステム(16~64コア)では2から3倍のパフォーマンス向上が見込めるという。
再設計された「レンダリングキュー」、フレームのレンダリング中に「After Effects」によって生成されたデータを視覚化しボトルネックを解消する「コンポジションプロファイラー」、「After Effects」がアイドル状態のときのコンポジションを自動的にレンダリングする「投機的(スペキュラティブ)プレビュー」といった機能も相まって、編集から書き出しまでをより快適に行えるようになった。
さらにパブリックベータ機能として、同社の人工知能技術「Adobe Sensei」を活用したシーン編集の検出がサポートされる。Apple M1へのネイティブ対応をテストすることも可能だ。
Adobe Premiere Pro
「Adobe Premiere Pro」では、音声テキスト変換のアップデートにより、対応する13の言語で流行語の変換精度が向上。日付や数字のフォーマットも改善された。キャプションをサイドカーファイルとしてのみ書き出すための新しいオプションもできるようになり、字幕に関わる作業時間が短縮されている。
そのほかにも、シーケンスの簡略化、H.264およびHEVCの新しいカラーマネジメント、ヒストグラムの改善、Lumetri曲線の改良などが行われた。10ビットHEVCの再生もハードウェア支援により大きくパフォーマンスが改善されているという。
パブリックベータ機能の目玉は、「Adobe Sensei」を利用したリミックス機能だ。AIがビデオに合わせて楽曲をインテリジェントに合わせてくれるため、手間のかかるレーザーカットやクロスフェードといった処理も数分で完了できる。
Adobe Character Animator
「Adobe Character Animator」にも、「Adobe Sensei」搭載のボディートラッカーが導入された。アニメーションやキーフレーム付けの経験がないクリエイターでも、自分の身体の動きやジェスチャーを使ってパペットをアニメーションできる。
パブリックベータの新機能は、「Photoshop」や「Illustrator」を使わずにキャラクター作成を完結できるパペットメーカーと、書き起こしテキストからキャラクターのリップシンクを正確におこなう機能だ。残念ながら、書き起こしテキストからのリップシンクは今のところ日本語に対応しないが、今後の改良に期待したい。