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「FFmpeg 5.0」が公開 ~大規模なAPIの変更を実施した長期サポート(LTS)リリース

今後は年1回のメジャーリリースを実施

「FFmpeg 5.0」が公開

 The FFmpeg projectは1月17日、「FFmpeg 5.0」(コードネーム:Lorentz)を公開した。メジャーバージョンが更新されるのは2018年4月以来のことだ。

 「FFmpeg」は、音声・動画ファイルのフォーマットを変換するツールやライブラリから構成されるオープンソースのマルチメディアフレームワーク。「Google Chrome」や「MPlayer」、「VLC media player」といったオーディオ・ビデオを扱うさまざまなソフトで利用されている。ライセンスは「GNU Lesser General Public License version 2.1」およびそれ以降(LGPL v2.1+)。

 最新版となる「FFmpeg 5.0」では、大規模なAPIの変更が行われている。この4年間で非推奨(deprecated)とマークされたAPIはすべて削除されているとのことなので、移行に際しては注意が必要だ。主な変更は以下の通りとされている。

  • avcodec:オーディオ・ビデオのシングルAPI化。入力と出力を分離
  • エンコーダーがユーザー管理のバッファーにデータを出力できるようにする新しいコールバック
  • swscale:AVFrameベースの使いやすいAPI
  • avformatとavcodecの分離。
  • 新しいビットストリームフィルタリングAPI
  • コーデック/フォーマットの登録APIを削除。すべてのフォーマットが常に登録状態に
  • 型の安全性:多くのAPIで「int」を「size_t」への置き換え
  • libavresampleの削除

 「FFmpeg 5.0」の主な新機能は以下の通り。

  • 新しいデコーダー:speexデコーダーがネイティブに。MSN Siren、GEM Image、Apple Graphics(SMC)のデコーダーも追加
  • VideoToolboxのサポートにVP9/ProResデコーディングとProResエンコーディングを追加
  • Vulkanサポートの改善
  • LoongArchプラットフォームへの最適化
  • swscaleにおけるスライス・スレッディング
  • 非圧縮ビデオ用のRTPパケタイザー(RFC 4175)
  • あらゆるHDRニーズに対応するlibplaceboビデオフィルターのサポート
  • 数多くのオーディオおよびビデオフィルター

 なお、本バージョンよりメジャーアップデートは1年ごとに実施されるとのこと。長期サポート(LTS)リリースも隔年で行われ、「FFmpeg 5.0」が最初のLTSとなる。