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「Google Chrome」に新しい「プライバシー サンドボックス」の設定画面が順次展開へ

ユーザーのプライバシーと広告の収益の両立を図った新しい広告の仕組み

「FLoC」ベースの「プライバシー サンドボックス」画面(現行)

 米Googleは3月31日(現地時間)、「Google Chrome」における「プライバシー サンドボックス」(Privacy Sandbox)のテストを次の段階に進めると発表した。開発者は同日より、Canary版でTopics、FLEDGE、Attribution ReportingといったAPIのグローバルテストを開始できる。Beta版にもできるだけ早く、限定的に展開するという。

 ユーザーのオンライン行動を分析してその興味に沿った提案を行う「ターゲティング広告」は、無料コンテンツの貴重な収益源となっている。しかしその一方で、ターゲティング広告の基礎となっているクロスサイトの行動追跡メカニズムはユーザーのプライバシー侵害に悪用される事例も少なからずあった。ユーザーがそれをコントロールしたり、拒否したりする手段がないのも問題だ。

 そのためGoogleは業界と協調し、クロスサイト追跡が可能なサードパーティーCookieを廃止する取り組みを進めているが、単にターゲティングをやめるだけでは無料コンテンツの供給を継続できなくなるという懸念もある。

 そこで、ユーザーのプライバシーと広告の収益の両立を図り同社が提案しているのが、「プライバシー サンドボックス」だ。当初は「FLoC」(Federated Learning of Cohorts)と呼ばれるアルゴリズムが採用されていたが、批判的なフィードバックが多く寄せられたため、現在はそれに代わる「Topics API」が検討されている。

 「Topics API」は閲覧履歴をもとにユーザーの興味・関心事を表す「トピック」――たとえば「フィットネス」や「旅行・交通」――を推測し、Webサイト側からユーザーを特定できないように対策を施したうえで、それを知りたがっているWebサイトへ伝える。閲覧履歴を丸ごとWebサイト側にゆだねてしまう従来の方式よりプライバシーが守られる上、どのような情報が送られているのかをユーザーが知ることができるため透明性が高い。送りたくない情報や知らせたくないWebサイトをユーザー側でコントロールすることもできる。

 アップデートされた「プライバシー サンドボックス」の設定画面は、近日中にテストが開始される。トライアルはユーザー側で有効・無効を切り替えることが可能で、送られる情報の閲覧や管理も可能になる見込みだ。

アップデートされた「プライバシー サンドボックス」の設定画面
送られる情報の閲覧や管理も可能に