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「Google Chrome」のAI武装が進む ~オンデバイス実行でプライバシーも保護
セーフ ブラウジング、静かなUI、ツールボタンの自動カスタマイズなどへ応用
2022年6月13日 11:00
近年は機械学習(ML)の発展と普及が著しく、ごく身近なところでもAIが活用されるようになっている。「Google Chrome」もその例外ではなく、セキュリティやパーソナライズ、アクセシビリティなどの分野でAIによる改善が進んでいるのだという。米Googleは6月9日(現地時間)、公式ブログでその一部を紹介している。
これらの改善で重要なのは、いずれも「オンデバイス」で行われているという点だ。クラウドサービスを利用するのと異なり、プライベートなデータが外部に流出することがなく、プライバシーを保つことができる。
煩わしいプロンプトを減らして、より安心に
「Chrome」に搭載されているフィッシング防止機能「セーフ ブラウジング」は、ユーザーが危険なWebサイトに移動しようとしたり、不審なファイルをダウンロードしようとしたときに警告を発する。今年3月からは新しいMLモデルが展開されており、悪意のあるWebサイトやフィッシング攻撃を従来モデルの2.5倍多く特定し、より安全で安心なブラウジングを実現しているという。
また、「Chrome」にはWeb通知の許可プロンプトを減らす仕組み(静かなUI、Quiet UI)も導入されているが、これも「Chrome」の次期リリースで完全にオンデバイスで予測できるようになる予定。ユーザーが同様の通知プロンプトをどのように対処してきたかを分析して、許可される可能性が低い通知プロンプトを予測し、不要な通知プロンプトを自動で停止する。
「ジャーニー」機能
今年初めに発表された「ジャーニー」(Journeys)は、トピックや意図に基づいて検索履歴をグループ化する機能だ。
たとえば遠くへ旅行に出かけるとき、あらかじめ訪れたい場所や泊まる場所、そこへのアクセスなどを数日かけて少しずつ調べるだろう。「Chrome」はそうした閲覧履歴をまとめ、ユーザーが情報収集の続きを手軽に再開できるようにする。
同社はこの「ジャーニー」でWebサイトを閲覧するとき、ユーザーが翻訳を望んでいるかを判断するために最新の言語識別モデルを導入している。これにより、毎日数千件以上もの翻訳に成功しているとのこと。
パーソナライズ
スマートフォンのスクリーンサイズは限られているため、同時に配置できるボタンの数も少ない。ツールバーに表示するボタンをカスタマイズする機能を提供するWebブラウザーもあるが、多くの人にとってカスタマイズは難しく、面倒で、あまり活用されないものだ。
そこでGoogleは、MLを活用してユーザーのニーズを察知し、そのときどきでもっとも必要なアクションを強調表示する機能をAndroid版の「Chrome」に導入する予定だ。たとえば、よくリンクをシェアするユーザーには共有ボタンが、手が離せず音声コマンドを使うことの多いユーザーには音声検索ボタンが表示される。もちろん、手動でカスタマイズする機能も残される。