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「Google Chrome 104」がベータ版に ~「Region Capture」などの新機能をサポート

「OS X 10.11」と「macOS 10.12」のサポートは終了

「Google Chrome 104」のベータ版

 米Googleは6月23日(現地時間)、「Google Chrome 104」のベータ版に追加された新機能と変更点を発表した。「Chrome 104」では「Region Capture」をはじめとするさまざまな新機能がサポートされている。

 たとえば、画面共有機能をもつドキュメントアプリのケースを考えてみよう。このアプリではメインコンテンツとしてプレゼンテーションしたいドキュメントがあり、その右に視聴者のビデオストリームがサイドバーとして表示されている。「Chrome」では閲覧中のタブ、その他のタブ、ウィンドウ全体、デスクトップ全体をキャプチャーすることができるため、タブを共有する機能を利用すればドキュメントを配信できるだろう。

画面共有機能をもつドキュメントアプリの例。ドキュメントだけをキャプチャーしたい

 しかし、閲覧中のタブをキャプチャーするとサイドバーまで共有されてしまう。座標を定めてアプリ側でトリミングしてもよいが、閲覧画面のリサイズやスクロールまで考慮すると処理は膨れ上がる。

 また、スライドだけを別タブに表示してそれをキャプチャーすればスライドだけを視聴者に届けることができるが、今度は発表者側でタブの切り替え・ウィンドウの分離が必要となり操作が煩わしい。

 そこで役に立つのが、「Region Capture」だ。閲覧中のタブの指定した領域だけをキャプチャーして配信できるため、このタイプのアプリをスマートに実現できる。合わせ鏡のようにキャプチャーが再帰的に続くドロステ効果のような現象も防げる。

「このタブ」を共有
ドラッガブルボックスの内容だけを右上にキャプチャーして表示する例

 さらに、「Chrome 104」では「Media Queries Level 4」がサポートされる。メディアクエリは閲覧画面のサイズや状態に応じてスタイルシートを切り替える仕組みだが、Level 4では比較演算子を利用できるようになるなど構文が拡張されており、より自然な記述が可能だ。

 加えて、以下の機能が「Origin Trials」テストに加えられる。

  • Focusgroup:コントロールをグループ化してカーソルキーで移動できるようにする(「Chrome 107」まで実施予定)
  • Opt Out of Credit Card Storage:ユーザーがクレジットカードデータの保存をオプトアウトできる(「Chrome 106」まで実施予定)
  • Shared Element Transitions:シングルページ アプリケーション(SPA)向けのトラジション効果の強化

 また、以下の機能が「Origin Trials」を卒業し、安定版に組み込まれる。

  • Speculation Rules:特定URLのプリフェッチやプリレンダリングを投機的に実行する仕組み
  • Subresource Loading with Web Bundles:多くのリソースをまとめて効率的にロードするための仕組み
  • Window Controls Overlay for Installed Desktop Web Apps:PWAアプリでウィンドウタイトル領域までアプリがカスタマイズできるように

 そのほかにも、以下の機能が追加される。

  • Cookie Expires/Max-Age Attribute Upper Limit:Expires/Max-Age属性の値を400日(約13カ月)以内に制限。Cookieを永遠に保存することはできなくなるが、年に1回程度アクセスするWebサイトならば問題はない
  • CSS object-view-box:img/video要素のトリミングを手軽にできるプロパティ
  • Fullscreen Capability Delegation:許可された権限をサブフレームへ委譲する機能(「Chrome 100」で実装)のフルスクリーン版
  • Multi-Screen Window Placement - Fullscreen Companion Window:マルチモニター環境でサブウィンドウをフルスクリーン配置。プレゼンテーションアプリでスライド画面(プロジェクター)と発表者支援画面(ノートパソコンの画面)を同時に表示するといった用途に使える
  • Permissions Policy for Web Bluetooth API:Bluetoothアクセスをポリシー制御
  • visual-box on overflow-clip-margin:要素のコンテンツがクリップされる前にペイントできる範囲を指定できるプロパティ
  • Web Custom Formats for Async Clipboard API:非標準的なデータ形式をサニタイズせずにクリップボードで扱えるようにオプトイン(許可)する仕組み
  • WebGL Canvas Color Management:WebGLキャンバスの色管理強化

 「Google Chrome」ベータ版はWindows/Mac/Linux/Androidなどに対応するフリーソフトで、現在、同社のWebサイトからダウンロード可能。Windows版は64bit版を含むWindows 7/8/8.1/10/11で利用できる。

 なお、「Chrome 104」では「OS X 10.11」と「macOS 10.12」のサポートが打ち切られる予定。これらのOSはAppleによるサポートも終了しており、後継版へのアップデートが推奨されている。