ニュース
新しいWeb高速化技術「103 Early Hints」に対応した「Google Chrome 103」がベータ版に
「FedCM」など、多くの開発者向け機能がテストされる
2022年5月31日 06:45
米Googleは5月26日(現地時間)、「Google Chrome 103」のベータ版に追加された新機能と変更点を発表した。「Chrome 103」からは、新しいHTTPレスポンスコード「103 Early Hints」のサポートがナビゲーションで有効化される。
Webページをできるだけ早くレンダリングするための技術として一時期、HTTP/2のサーバープッシュが注目されていたことがあった。これはクライアント(Webブラウザー)が利用するであろうリソースを、あらかじめサーバー側から送信してしまおうというアイデアだ。たとえばサーバーがHTMLの生成・送信に時間を要する場合、クライアントがそれをただ待つのは時間の浪費だろう。表示に必要な他のリソース(画像やスタイルシート)などがあればサーバーからプッシュし(送り付け)て、待機中にそれを読み込んでもらうほうがトータルのレンダリング時間は短くなるだろう。
しかし、サーバープッシュは思っていたよりも複雑で、あまり効果がないことが判明した。たとえば、サーバーはクライアントがどのリソースをキャッシュしているかを知るすべがない。そのため、クライアントがキャッシュしているかどうかにかかわらずリソースをプッシュすることになるが、それは無駄だ。最近ではサーバープッシュよりも、より単純なプリロード技術が用いられることが多い。
そこで考案されたのが「103 Early Hints」だ。「103 Early Hints」はリソースそのものではなく、そのURLだけを伝える。Webブラウザーはそれをもとに、キャッシュがあればそれを読み込み、なければプリロードを行う。
多くの企業で採用されているCDNサービス「Cloudflare」によると、「103 Early Hints」をサポートすることで、追加料金なしにネットワーク上のWebサイトを30%高速化できるという。
ちなみに、「103 Early Hints」が「Chrome 103」で有効化されるのは単なる偶然で、意図したものではないとのこと。
そのほかにも、新たな「Origin Trials」として「Federated Credentials Management API」(FedCM)がテストされる。また、以下の機能が「Origin Trials」テストを卒業し、初期状態で有効化される。
- Local Font Access
- Same-Origin Prerendering Triggered by the Speculation Rules API(Androidのみ)
- Update User-Agent Client Hints GREASE Implementation
PWAがローカルフォントを利用できるようにする「Local Font Access」は、以前「Chrome 102」で有効化されると発表されていたが、これは誤りだったようだ。
なお、「object」タグや「applet」タグなどと併用する「param」タグは、すでに使われていないとして削除される。また、セキュリティ向上のために「Battery Status API」はセキュアでないオリンジンで利用できなくなる。
「Google Chrome」ベータ版はWindows/Mac/Linux/Androidなどに対応するフリーソフトで、現在、同社のWebサイトからダウンロード可能。Windows版は64bit版を含むWindows 7/8/8.1/10/11で利用できる。