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「VS Code Server」が登場 ~VS Codeのバックエンドを単体CLIに、フロントエンドにはWeb版が使える

「Visual Studio Code」の2022年6月更新は新しいマージエディター、サイレントモードにも注目

「Visual Studio Code」v1.69

 米Microsoftは6月7日(現地時間)、コードエディター「Visual Studio Code」の2022年6月アップデート(v1.69)を正式公開した。新機能「VS Code Server」がプライベートプレビューとして導入されている。

 同社は2019年に「Remote Development」拡張機能パックをリリースし、「Windows Subsystem for Linux」(WSL)や「Docker」コンテナー、「SSH」で管理する物理デバイスや仮想マシンなどで動作するアプリケーションをリモート開発するソリューションを整えてきた。

 加えて、2020年には「GitHub Codespaces」をリリースして「Visual Studio Code」環境をもクラウド化。より柔軟なリモート開発を実現している。

 こうしたことが可能なのは、「Visual Studio Code」がマルチプロセスで設計されているからだ。コードを入力するフロントエンドと、それ以外のバックエンド(拡張機能、ターミナル、デバッガーなど)のプロセスは分離されており、異なるデバイスに分けて動作させることもできる。

 「VS Code Server」はこのバックエンド部分のみを独立させ、1つのサービスとして利用できるようにしたものだ。CLIとして動作する仕組みになっており、ローカルの開発マシン、クラウドの仮想マシンなど好きなところにインストールできる。Web版「Visual Studio Code」(vscode.dev)をフロントエンドとして利用すれば、わざわざSSH接続やHTTPS接続をセットアップしなくても、Webブラウザーから安全にアクセスできる。

新機能「VS Code Server」がプライベートプレビューとして導入

 そのほかにも、本バージョンでは以下の機能が追加された。

3ウェイのマージエディター

 「Git」のコンフリクトを解決するときに便利なマージエディターが搭載された。上半分は2つのソースコードの差分表示、下半分はコンフリクトを解決した後の結果が表示される計3ペイン構成で、診断、ブレークポイント、テストといったすべての言語機能が利用可能。そのため、マージしたソースコードに問題がないかをチェックし、その場で問題を解消できる。

3ウェイのマージエディター

 なお、この機能は既定で無効。当面の間は「git.mergeEditor」オプションを手動で「true」に書き換えないと利用できないが、いずれはデフォルトで有効化されるとのこと。

コマンドセンター

 コマンドセンターはタイトルバーに新設されるボックスで、プロジェクト内のファイルをすばやく検索することが可能。クリックするとクイックオープンのドロップダウンが現れ、最近のファイルと検索機能にアクセスできるようになる。

コマンドセンター

 この機能も現在のところ既定で無効。「window.commandCenter」を有効化する必要がある。

Do Not Disturbモード

 「Do Not Disturb」(邪魔をしないで)モードは、エラー以外のすべてのポップアップ通知を停止し、コーディングに集中できるようにする機能。いわゆるサイレントモードだ。

「Do Not Disturb」(邪魔をしないで)モード

 このモードの間に受け取ったメッセージは、ステータスバー右端のベルアイコンをクリックすると現れる通知センターで確認可能。モードの切り替えもここで行える。

 そのほかにも、コマンドでライト・ダークテーマを切り替える機能や、デフォルトの「Git Commit」アクションを設定するボタン、JavaScriptソースマップのトグルなどがサポートされた。ターミナルも強化されており、コマンドの状態を表示したり、最近のコマンドを実行する機能が導入されている。

 「Visual Studio Code」は、Windows/macOS/Linuxで動作する高機能なコードエディター。JavaScript、TypeScript、Node.jsを組み込みでサポートし、強力なコーディング支援・デバッグ・統合ターミナル機能を提供するほか、言語サーバー対応の拡張機能を追加することで、幅広いプログラミング言語に対応できるのが特徴。現在、本ソフトの公式サイトから無償でダウンロードできる。また、Windows 10/11ならば「ストア」アプリ(Microsoft Store)からインストールすることも可能。すでに利用している場合は、アプリの自動更新機能を用いてアップデートできる。

ソフトウェア情報

「Visual Studio Code」Windows向け安定版
【著作権者】
Microsoft Corporation
【対応OS】
64bit版を含むWindows 7以降
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.69(22/05/06)