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iOS版「Vivaldi」が日本先行プレビュー公開! 改めてその優位性をアピール
CEOのヨン・フォン・テッツナー氏が来日してプレスカンファレンスを開催
2023年5月17日 07:55
Webブラウザー「Vivaldi」を開発するVivaldi Technologies社5月16日(日本時間)、CEOのヨン・フォン・テッツナー氏の来日にあわせて、氏の出身であるアイスランドの駐日大使館にてプレスカンファレンス(記者会見)を開催した。
「Vivaldi」のiOS版のプレビュー版が日本先行公開
その中で、「Vivaldi」のiOS版のプレビュー版が公開された。世界で最初に日本のユーザー向けにアナウンスされたもので、1,000人限定でダウンロードできる。なお、以後、ボランティアや他地域などの枠が順次アナウンスされる予定。
ダウンロードするには、iOSでテスターに開発版を配信する仕組みである「TestFlight」アプリをインストールし、「Vivaldi for iOS」のベータ登録をする必要がある。
なお、iOSはまだ開発中のプレビュー版であり、ほかのプラットフォームに比べて機能は整っておらずバグがある可能性もあるため、メインで使うにはまだ早いバージョンとのこと。不具合があったらフィードバックしてほしいとの話だった。
「Vivaldi」はPCやスマートフォン、あるいは車載などのマルチプラットフォーム対応を売りの一つにしているが、これまでiOSには対応していなかった。これはテッツナー氏によると、iOS上ではWebKitを使わないとWebブラウザーを作れず、Chromiumのレンダリングエンジンに手を入れたものをベースとしている「Vivaldi」としては解禁を待っていたためだという。しかしなかなか解禁されないので、ユーザーの要望によりWebKit版で出したとのことだった。
『パワフル、パーソナル、プライベートなブラウザーを作る』
テッツナー氏は、Vivaldi Technologies社と「Vivaldi」ブラウザーの開発思想について紹介した。氏は冒頭で『「Vivaldi」はほかのブラウザーとは違う開発思想を持っている』として、『パワフル、パーソナル、プライベートなブラウザーを作る』のがミッションだと説明した。
社員は50名、世界のボランティアが開発に協力
会社の運営としてユニークなのは、外部の投資家の投資を受けずに社員の持ち株で運営していること。これは投資家による利益への要求から会社のミッションを守るためとの説明だ。これには、氏が「Vivaldi」の前に作ったWebブラウザーとその会社であるOperaが上場した後に、氏が方針の違いから離れたことと関係すると思われる。
Vivaldi Technologies社は、ノルウェー、アイスランド、アメリカに拠点があり、25の国籍からなる50名の社員が7カ国で働いている。それに加えて、テストや翻訳、モデレータなど多くのボランティアが開発に関わっていることも特徴だ、とテッツナー氏は説明した。なお、これは小さな国から来たことで身についたスキルかもしれないと氏は語る。
パソコン、タブレット、スマートフォン、自動車のすべてで動作
「Vivaldi」の特徴の一つとしてテッツナー氏は、『パソコン、タブレット、スマートフォン、自動車のすべてで動作する唯一のブラウザー』であることを挙げた。
「Vivaldi」はパソコン向けでは、Windows/Mac/Linuxに対応。スマートフォンもAndroidに加え、上記のとおりiOSに対応した。
また自動車の車載に対応しているのも特徴で、ボルボ傘下の電気自動車会社Polestarの自動車や、ルノーのいくつかの車種、メルセデス・ベンツのE-Class、アウディやフォルクスワーゲングループなどが搭載を表明している。
さらに、2023年のGoogleの開発者イベントGoogle I/Oでは、「Vivaldi」がAndroid Automotive OSのWebブラウザーとして利用可能になることが発表された。
そのほか、「Vivaldi」ユーザーのためのWebサービスとして、ブラウザー間の同期や、カレンダー、フォーラム、ブログを提供していることもテッツナー氏は説明。さらに「Mastodon」によるSNS「Vivaldi Social」も紹介した。
「Vivaldi」の代表的な機能を紹介
続いて、「Vivaldi」の豊富な機能の中からいくつかの機能を、Vivaldi Technologies社COOの冨田龍起氏が紹介した。
パワフルな機能を多数搭載
まずは「パワフル、パーソナル、プライベート」のうち「パワフル」部門から。
豊富なタブ関連機能
「ワークスペース」は、タブをグループ化して一度に表示するタブを絞る機能で、4月にリリースされた「Vivaldi 6.0」で追加された。同じくタブをグループ化する「タブスタック」の機能と併用することもできる。
タブスタックのほうは1画面の中でタブをグループ化する機能で、2段型(タブスタックに含まれるタブを2段目に表示)、アコーディオン型(1段で表示されるタブスタックに含まれるタブを縮小・展開して表示)、コンパクト型(1段で表示されるタブスタックからインジケーターでタブを表示)の表示方法を選べる。冨田氏は、タブの機能が豊富なのが「Vivaldi」の特徴のひとつだと語った。
そのほか、複数のページを横や縦に並べて表示できる「ページタイル」や、サイドバーにSNSや音楽などのサイトを表示できる「サイドバーアプリ」の機能も冨田氏は紹介した。
効率的に操作するジェスチャーやキーボード操作機能など
操作においては、ジェスチャー機能も「Vivaldi」の特徴で、ほぼすべての操作をジェスチャーに割り当てられる。
同様にほぼすべての操作をキーボードショートカットに割り当てることもできる。キーボード派には、文字ベースのコマンドで操作を呼び出す「クイックコマンド」機能もある。
さらに一連の操作をまとめて1つの操作を作る「チェーンコマンド」機能では、作った操作を、クイックコマンドやキーボードショートカット、ジェスチャー、ボタンなどから呼び出せる。
UIを自由にカスタマイズできるパーソナルなブラウザー
「パーソナル」部門では、「Vivaldi」ならではのカスタマイズの自由さが紹介された。
「Vivaldi」では、テーマによって見た目を変えられる。また、「編集可能なUI」機能によって、ツールバーが上にあるか下にあるかといったUIを変更できる。
タブ配置も上・下・横などに変更できるほか、サイドバーも右・左を変更できる。