やじうまの杜
Twitterからエクソダスするならココだ! あの「Vivaldi」がMastodonインスタンスを開設
ゆるくつながるフェディバースの世界に飛び込んでみよう
2022年11月17日 06:55
「やじうまの杜」では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。
イーロン・マスク氏に買収され、「Twitter」が揺れています。政治的に偏っていたキュレーションがなくなり、以前のようにポップカルチャーが話題の中心に帰ってきたことを評価するユーザーがいる一方で、「Twitter」からリベラル色が後退したり、マスク氏のリーダーシップが悪い方に発揮されたりすることを危惧する声も――そんななか、パワーユーザーを中心に根強い支持を集めているWebブラウザー「Vivaldi」が「Mastodon」のインスタンス(サーバー)を公開しました。
「Mastodon」は、かいつまんで言うと「Twitter」のようなソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を自分で構築できるサーバーソフトです。「Twitter」との違いは、誰でもインスタンスを運営できること(お金と知識さえあれば)。いくらマスク氏が金持ちといえど、すべてのインスタンスを買収することは不可能でしょう。つまり、その意味では「自由」なわけです。以前の「Twitter」にあったとされる恣意的なキュレーションもなく、トレンドは機械的に生成されます。オープンソースなので、その基準も明確です。
それでいて、ダイレクトメッセージ(DM)、ブックマーク、リストといった「Twitter」でもよく使う機能はそろっており、逆にたいして使わない機能は省かれています。用語がちょっと違うので最初は戸惑うかもしれませんが、慣れれば結構使いやすいと感じるでしょう。
- トゥート:ツイート(投稿)
- お気に入り:いいね
- ブースト:リツイート
- エクスプローラー:話題を検索
「Mastodon」のデメリットはスケーラビリティに欠けること、つまり何億ものユーザーを抱えたインスタンスを運営するのは難しいことです。個人でそうしたインスタンスを運営する人もいますが、「Mastodon」自体には広告などのお金儲けの手段は実装されていないので、寄付を募るなどして自分で解決する必要があるのがネックですね。そのため「Mastodon」のインスタンスの規模は、基本的に小さめ。「Twitter」が1個の大きなスタジアムだとすると、「Mastodon」インスタンスは街の隅にあるサロンといった感じです。
しかし、こじんまりとしていて、インスタンスに参加しているユーザーの投稿をストリーミング表示できる(ローカルタイムライン)のは初期の「Twitter」の一体感を思い起こさせます。目についたユーザーを気軽にフォローすれば、つながりの輪を容易に広げていくことができるでしょう。
また、「Mastodon」は他のインスタンスのユーザーもフォローできる仕組みになっています。そうしてつながったインスタンスは「連合」(Federation)し、より大きなタイムラインを形成することができます(連合タイムライン)。なので、それぞれのインスタンスが小さくても、そのなかだけでひっそりと活動しなければならないわけではありません。そこには「フェディバース」(federation+universe=連合世界)が広がっているわけです。
「Mastodon」の分権的な思想は、「ビッグテックに権威を集中させない、ユーザーに選択肢を用意する」という「Vivaldi」の目指す世界にもマッチしています――むしろ、なぜ今までなかったのかと思うほどです。今の「Twitter」に不満がなくても、一度体験する価値はあります。ローカルタイムラインや連合タイムラインはアカウントなしでも閲覧できますので、ぜひ覗いてみてください。「Vivaldi Social」には日本人のユーザーも結構いるようですよ。各ユーザーのURLの末尾に「.rss」を付与すればRSSフィードを購読できるので、気になるユーザーのトゥートを「Vivaldi」のフィードリーダーで追いかけてみるのもよいでしょう。
なお、「Mastodon」にはアプリもありますが、サインアップに不具合があるそうです。アカウントを作りたい場合は、PCやスマホのWebブラウザーを利用する方がよいとのこと。もちろん、おすすめは「Vivaldi」です!