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「Ruby 3.3.0」が正式リリース ~言語仕様に変更はないが、内部では大きな改良

「Prism」「Lrama」「RJIT」を導入

「Ruby 3.3.0」が正式リリース

 スクリプト言語「Ruby」の最新版「Ruby 3.3.0」が、例年通り12月25日に公開された。言語仕様に変更はないが、内部では大きな改良が行われているとのこと。

 「Ruby 3.3」では、「Prism」と呼ばれる新しいパーサーが追加された。これは「C99」で書かれており、移植性、耐エラー性、保守性に優れた設計になっている。「Prism」の品質は本番環境にも耐えるレベルで、今後はこちらが積極的にメンテナンスされるようだ。従来の「Ripper」の代わりに利用できる。

 次に、パーサージェネレーターが「Bison」から「Lrama」へ置き換えられた。エラーリカバリーの機能が不足している、字句解析器とパーサーの役割が分かれていないといった従来からある「Bison」の問題点を解決し、ユーザービリティとメンテナンス性が向上しているとのこと。

 そのほかにも、「Ruby」で書かれたJITコンパイラー「RJIT」が導入された。従来からある「MJIT」とは異なり、実行時にCコンパイラを必要としないのが特徴だが、あくまでも実験的なものだ。本番環境では引き続き「YJIT」の利用が推奨されている。「Ruby 3.3」では「YJIT」にもさまざまな改善が行われている。

 「Ruby」は、まつもとゆきひろ(Matz)氏によって1993年に開発が始められたスクリプト言語。オープンソースで開発が続けられており、Webアプリケーションをはじめ、さまざまな用途・プラットフォームで採用されている。バイナリとソースコードは現在、公式のWebサイトから無償でダウンロード可能。Windows環境では「RubyInstaller for Windows」の利用が推奨されている。「Ruby 3.3.0」に対応した「RubyInstaller for Windows」はまだリリースされていないが、間もなく公開されるだろう。