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「Google Chrome 121」が正式公開 ~サードパーティCookieの廃止が本格始動

セキュリティ関連の修正は全17件

「Google Chrome」v121.0.6167.85/.86がWindows環境に

 米Googleは1月23日(現地時間)、デスクトップ向け「Google Chrome」の安定(Stable)チャネルをアップデートした。Windows環境にはv121.0.6167.85/.86が、Mac/Linux環境にはv121.0.6167.85が順次展開される。

 メジャーバージョンアップとなる「Chrome 121」では、以下の要素が導入されている。段階的に展開されているものもあるようで、「Chrome 121」にアップデートしてもすぐには利用できない場合もある点には注意したい。

サードパーティCookieのサポート終了(3PCD)

アドレスバーに新しいトラッキング防止のユーザーコントロールが表示

 サードパーティCookieのサポート終了に備え、「Chrome 121」ではテストを容易にするために、ユーザーの1%に対し既定でトラッキング防止機能が有効化される。これは2024年第3四半期にもすべてのユーザーに適用される予定。

 1%のテストグループに属する「Chrome」には、アドレスバーに新しいトラッキング防止のユーザーコントロールが表示される。テストグループに選ばれなかった環境でも、試験機能フラグ(chrome://flags/#test-third-party-cookie-phaseout)を有効化すれば試すことができる。

サードパーティCookie廃止のテスト中であることを示すバナー

生成AI機能

 「Google アカウント」でログインしており、かつ米国のユーザーに対し、新しい生成AI機能を多数追加。既定では無効化されているが、ユーザーが望めば設定画面で有効化(オプトイン)できる。

 組織で管理されているデバイス(Chrome Enterprise/Chrome Education)は対象外だが、早ければ「Chrome 122」にもオプトインできるほか、管理ポリシーも追加される。

標準セーフブラウジングユーザーにおける暗号化書庫ファイルの扱い

 「セーフブラウジング」を「標準保護機能」レベルで利用している場合、暗号化された書庫ファイルをダウンロードする際にパスワードが求められる。

「Chrome」の「セーフブラウジング」機能

 パスワードは書庫ファイルのメタデータを取得し、「セーフブラウジング」の判定精度を高めるために用いられる。Googleとは共有されず、ローカルでメタデータを取得した後は自動で削除されるとのこと。

サイド パネル ナビゲーション

 ツールバーのサイドパネルアイコンが削除され、代わりに特定のパネルを開くためのボタンをピン留めできるようになる。ピン留めしていないパネルも、「Chrome」メニュー(ツールバー右端の縦3点のアイコン)からアクセス可能。

サイドパネルのピン留め

そのほかの改善

 「Chrome 121」にはCSS Highlight擬似クラスの継承(::highlight)、APIの拡充といった開発者向けの改善が含まれる。フォーム要素も縦書き機能も展開中。

 なお、セキュリティ関連の修正は全17件。そのうちCVE番号が公開されている脆弱性は11件で、深刻度の内訳は「High」が3件、「Medium」が6件、「Low」が2件となっている。今のところ、悪用の報告はないようだ。そのほかにも、内部監査やファジングで発見された不具合も修正されているとのこと。

 デスクトップ向け「Google Chrome」はWindows/Mac/Linuxに対応しており、現在、同社のWebサイトから無償でダウンロード可能。すでにインストールされている場合は自動で更新されるが、設定画面(chrome://settings/help)にアクセスすれば手動でアップデートすることもできる。