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Microsoft、3Dになった新しい「Segoe UI」絵文字フォントを発表 ~Windows 11に搭載

モノクロ、2Dを含むハイブリッド。Microsoft以外のツールも組み合わせて制作

Microsoft、「Segoe UI Emoji」フォントのアップデートを発表

 米Microsoftは、「Segoe UI Emoji」フォントのアップデートを発表した。2021年に導入された「Fluent Design System」準拠の2D絵文字が、3Dへと生まれ変わる。

 新しい3D絵文字の特徴は、「ハイブリッド」フォントである点だ。ここでの「ハイブリッド」とは、COLRv1、COLRv0、およびモノクロームグリフを含んでいることを指す。

2013年のカラー絵文字(Windows 8.1)、2021年に導入された2DのFluent絵文字、最新の3DのFluent絵文字

 2013年、Windows 8.1のためにカラーフォントを実装する際、Microsoftは「COLRv0」を採用した。「COLRv0」はOpenTypeベースのフォントフォーマットで、カラーグリフ、アルファブレンディング、グリフレイヤーのオーバーラップ(Zオーダー)をサポートしている。2021年に導入された2DのFluent絵文字でも、SVGフォントなどの競合技術と比べて定義と実装が容易で拡張性があり、ファイルサイズが小さかったという理由で「COLRv0」の採用が踏襲された。

 しかし、カラービットマップを使用した絵文字フォントが進化するにつれ、そのファイルサイズは大きくなっていったという。カラーフォントに深みや立体感、照度といった3D要素を加えようとしても、古い仕様である「COLRv0」では機能不足だ。大きなビットマップ画像を用いるという方法もあったが、うまく拡大・縮小できず、ファイルサイズが大きいという問題も解決できない。

 このようなジレンマを解決するために策定・実装されたのが、後継の「COLRv1」だ。「COLRv1」ではグラデーション、合成、ブレンドといった要素が追加され、内部でのシェイプの再利用が改善された。これにより、ビットマップイメージを利用する場合に比べて大きくファイルサイズを削減できるようになったという。ビットマップ画像ではなくベクター画像なので、拡大・縮小しても品質に影響はない。

 同社によると、最終的に全社から約20名のデザイナーが集まり、協力して3,000以上の絵文字を「COLRv1」フォーマットへ対応させたとのこと。3Dの奥行きと立体感を表現するのはとくに苦労したようで、容易に思いつく典型的な画像処理はフォントには通用せず、多くの試行錯誤を要したという。

 また、新しい「Segoe UI」フォントの絵文字をOSに統合するプロセスでも、業種・会社を超えた協業が必要だったようだ。たとえばデザイナーが作成したSVGアートワークを「COLRv1」データフォーマットに変換する処理にはGoogleの「nanoemoji」と呼ばれるツールが、フォント内のOpenTypeレイアウトテーブルに必要な処理ロジックを追加する作業にはAdobeがオープンソースツールとして公開していた「AFDKO」(Adobe Font Development Kit for OpenType)が用いられているという。

 こうして開発された3DのFluent絵文字は、3Dバージョン(COLRv1)、2Dバージョン(COLRv0)、モノクロバージョンの3つが含んだハイブリッド仕様になった。アプリが「COLRv1」に対応していればフォントは3Dバージョンを用い、対応していなければ残りのいずれかのバージョンを利用する。

最新の「Segoe UI Emoji」フォントは“ハイブリッド”。Microsoft以外のツールも組み合わせて制作されている