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「Windows Terminal 1.21」がプレビュー ~次回起動時に続きを復元する機能などを追加

新描画エンジン「AtlasEngine」が既定有効化された「Windows Terminal 1.20」は安定版に

「Windows Terminal Preview」v1.20.10293.0

 米Microsoftは5月8日(現地時間)、「Windows Terminal Preview 1.21」を公開した。バッファーリストアやフォントフォールバックといった待望の機能に加え、スクラッチパッドや画像をテクスチャーとして読み込む機能が実験的に導入されている。

バッファーリストア(Buffer Restore)

 バッファーリストアは「Windows Terminal」のセッション内容を記憶し、次回起動時に復元する機能だ。スタートアップ設定の「ターミナルの起動時」オプションを「前のセッションからウィンドウを開く」へ切り替えると有効になる。

スタートアップ設定の「ターミナルの起動時」オプション

 ちなみに、バッファーのスナップショットはパッケージがインストールされたフォルダー配下(LocalState)にテキスト形式で保存されるとのこと。

フォントのフォールバックと新しいフォント設定

 「Windows Terminal」でターミナル向けの英字フォントを指定すると、日本語グリフが含まれておらず、正常に描画できないことがある。これを解決するのが、フォントのフォールバック(Fallback)機能だ。不足したグリフを、指定した代替フォントで補うことができる。

 「Windows Terminal Preview 1.21」のプロファイル外観設定では、フォントをカンマ区切りで複数指定できるようになっている。プライマリ(1つ目)にターミナル用の英字フォント、セカンダリ(2つ目)に日本語フォントを指定しておけば、日本語環境でも読みやすいターミナル環境になるだろう。

プロファイル外観設定でフォントをカンマ区切りで複数指定。足りないグリフは第2フォント以降にフォールバック

 そのほかにも、フォントの設定画面が一部拡充されている。OpenType機能や内蔵グリフの利用、フルカラー絵文字の使用可否を切り替えられる。

OpenType機能を追加

新しいプロフィール設定

 フォント以外にも、プロフィール設定に4つの新しい項目が追加された。

  • 右クリックのコンテキストメニューを有効に
  • スクロールバーのマークを表示
  • プロンプトを自動的にマーク
  • マウスクリックでカーソルの位置を変更(実験的)

 これらの設定を変更するには、今まで「settings.json」を直接編集するしかなかったが、GUIで簡単に変更できるようになったわけだ。

レンダリング

 「Windows Terminal」のレンダリングエンジンが「AtlasEngine」になったことを受け、古い「DxEngine」は削除された。また、「AtlasEngine」の動作を制御できるよう、グラフィックスAPIを選択するオプションや、部分的なスワップチェーンを無効化するオプションが追加されている。

そのほかの改善

 そのほかにも多くの改善が施された。

  • 入力システム(Input Method Editor、IME)の統合が一から書き直され、TUIアプリとの親和性が向上
  • JSONフラグメント拡張機能でカスタムアクションがサポートされた。
  • ターミナルペインをリファクタリングして、ターミナル以外のコンテンツをホストできるように。この応用として、コマンドパレットから別のターミナルペインへテキストボックスを開く「スクラッチパッド」が実験的機能として追加されている
  • 「experimental.pixelShaderImagePath」で画像をテクスチャーとして読み込む
「スクラッチパッド」が実験的機能として追加

 「Windows Terminal」(ターミナル)は、Microsoftが主導でオープンソースとして開発しているターミナルアプリ(ライセンスは「MIT」)。DirectWrite/DirectXベースのテキストレンダリングエンジンやUTF-16/UTF-8両対応のテキストバッファーを備えたモダンな設計、レイアウトの柔軟性、プロファイルベースの高いカスタマイズ性などが特徴だ。現在、「GitHub」や「Microsoft Store」から無償でダウンロードできる。

 なお、同日付けで「Windows Terminal 1.20」が安定版となっている。「AtlasEngine」の既定有効化、サイズ変更処理の改善、代替スクロールモードの既定有効化などが行われている。スクロールバーマークとシェル統合機能はまだ実験的とみなされており、含まれていないので注意したい。また、自動検索の協調機能は無効化されている。

ソフトウェア情報

「Windows Terminal Preview」
【著作権者】
Microsoft Corporation
【対応OS】
Windows 10 バージョン 20H1以降
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.21.1272.0(24/05/08)
「Windows Terminal」
【著作権者】
Microsoft Corporation
【対応OS】
Windows 10 バージョン 20H1以降
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.20.11271.0(24/05/08)