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GUI設定アプリを追加へ ~「Windows Subsystem for Linux」(WSL)の2024年5月改善

メモリの自動回収など、“実験的”として提供されていた機能の一部も既定で有効化

GUIで「WSL」の設定を行えるアプリが間もなくリリースへ

 米Microsoftは5月30日(現地時間)、「Windows Subsystem for Linux」(WSL)で5月に行った改善を発表した。

メモリー、ストレージ、ネットワークの改善

 まず、昨年9月より“実験的”として提供されていた機能の一部が既定で有効化された。

  • autoMemoryReclaim:一定期間利用されていなかった「WSL」メモリを自動的にWindowsへ戻す
  • dnsTunneling:「WSL」のVMからWindowsホストへ送信されるDNSネットワークパケットが、既存のネットワーク構成によってブロックされる問題を解決

 ディスク領域を自動で縮小して再利用可能にする「sparse」や、NATに代わる新しいネットワーキングアーキテクチャー「networkingMode=mirrored」は、引き続き試験的機能として提供される。

GUI設定アプリ

 加えて、GUIで「WSL」の設定を行えるアプリが間もなくリリースされる。従来は設定ファイル「.wslconfig」をテキストエディターで編集する必要があったが、このアプローチでは開発者が自分のデバイスでどのような設定や入力値を使用できるのかを正確に知ることができない。GUIアプリはそうした問題の解決に役立つだろう。

 もちろん、これまで通り「.wslconfig」を編集してもよい。

「Dev Home」でWSL環境を管理

 開発者向けのダッシュボードアプリ「Dev Home」に搭載された「環境」ページでは、「Hyper-V」の仮想マシン(VM)や「Windows サンドボックス」、共同開発(Share Dev)に最適化されたクラウドベースのワークステーション「Microsoft Dev Box」などをまとめて管理できる。

 この機能はWSLもサポートする予定で、その進捗は「GitHub」のプロジェクトページで確認できる。

「Dev Home」でWSL環境を管理

ゼロトラスト

 「WSL」は“何も信頼しない”ことを前提にセキュリティ対策を講じる「ゼロトラスト」の原則に基づいて構築されているが、それを補強する法人向けの機能が新たに導入される。

 1つ目は、企業でWSL環境を監視する「Microsoft Defender for Endpoint」の「WSL 2」対応だ。パブリックプレビューを卒業し、一般展開される。

 2つ目は、Linuxで「Intune」エージェントを統合できるようになったこと。これまでも「Intune」を介したWSL設定の管理は可能だが、Linuxディストロ自体の状態に基づいて条件付きアクセスシナリオを強制できるようにすることで、これを拡張する。同日よりパブリックプレビューとして提供される。

 最後に、「Microsoft Entra」アカウントがWSLとの統合される。「Microsoft Authentication Library」(MSAL)がWSLとセキュアな方法で通信できるようになり、「Git」や「Microsoft Edge」への認証がシームレスに行えるようになる。これは近日中にパブリックプレビューされるとのこと。