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「Firefox 128」がリリース ~プライバシー保護と広告収益の両立を図る新APIをテスト

セキュリティ関連の修正は16件

「Firefox」v128.0

 Mozillaは7月9日(米国時間)、デスクトップ向け「Firefox」の最新版v128.0をリリースチャネルで公開した。メジャーバージョンアップとなる「Firefox 128」では、「Privacy Preserving Attribution API」を実験的にサポート。オリジントライアルを通じて利用できるようになった。

 「Privacy Preserving Attribution API」(PPA)は、ユーザーのプライバシー保護を保護しつつ、広告主が「アトリビューション」(広告が機能しているかどうかを解析すること)を行えるようにする仕組み。Web業界はサードパーティー製Cookieを廃止し、クロスサイトトラッキング(Webサイトをまたいだ追跡)を防止する取り組みを進めているが、一方でターゲティング広告などの効果が減り、その収益で維持されている無料コンテンツに影響が出ることが懸念されている。とくにアトリビューションに関しては、クロスサイトトラッキング以外に有効な方法があまりないのが現状だ。

 そこで、広告主がユーザーを追跡しなくても、プライバシーに配慮して広告の成果を分析できる手段として「PPA」が提案された。ユーザーのプライバシーと広告の収益性を両立させる方法の一つとして期待されている。

 広告主によるアトリビューションは既定で許可されているが、これはプライバシー設定画面(about:preferences#privacy)で簡単に無効化できる。

ライバシー設定画面(about:preferences#privacy)で簡単に無効化できる

 また、「Firefox 128」ではユーザーデータの消去機能が改善された。新しいダイアログではデータのカテゴリが整理され、選択した時間範囲に応じてデータサイズがどれだけ削減されるのかもわかりやすく表示される。

履歴などからたどれるユーザーデータの消去機能
新しいダイアログ

 さらに、選択したテキストやリンクを他の言語に翻訳するコマンドが右クリックメニューに追加された。ただし、この翻訳機能は日本語をサポートしていない。

 そのほかの変更は、以下の通り。

  • アドレスバーを開いたときに最近の検索や現在トレンドになっている検索を表示(米国とカナダのみ)
  • プライベートブラウジングモードでも「Netflix」のようなストリーミングサイトで保護されたコンテンツを再生できるように
  • macOS環境で「getUserMedia」のマイクキャプチャーがシステム提供の音声処理を利用するように。音質が向上
  • インドで話されれているサライキ語(skr)で利用可能に

 セキュリティ関連の修正は、16件。深刻度の内訳はMozillaの基準で4段階中上から2番目の「High」が4件、3番目の「Moderate」が8件、最低の「Low」が4件となっている。できるだけ早めにアップデートしておきたい。

 デスクトップ版「Firefox」はWindows/Mac/Linuxなどに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、現在MozillaのWebサイトからダウンロード可能。Windows版はWindows 10/11に対応しており、窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。