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OpenAIが「Responses API」「Agents SDK」を発表 ~AIエージェント構築を容易にする新ツール

Assistants APIは2026年中頃に廃止へ

OpenAI、AIエージェントを構築するための新しいAPIおよびツール群を発表

 米OpenAIは3月11日(現地時間、以下同)、開発者や企業が信頼性の高いAIエージェントを構築するための新しいAPIおよびツール群を発表した。これらの新ツールはコアエージェントのロジックやオーケストレーション、インタラクションを合理化し、開発者によるAIエージェント構築を容易にするという。

 今回の発表では、従来のAPIを発展させた「Responses API」と、複数のエージェントのワークフローやオーケストレーションを管理・サポートする「Agents SDK」、さらにエージェントが活用する3つの組み込みツール(Web Search、File Search、Computer Use)が主なものとなる。

 同社はこれらの導入を、開発者や企業が信頼性の高い、かつ高性能なAIエージェントをより簡単に開発・展開・拡張できるようにするためのプラットフォーム構築への第一歩と位置づける。

New tools for building agents with the API

Responses API

 「Responses API」は、従来のChat Completions APIおよびAssistants APIの機能を統合・発展させた新しいAPI基盤。1回のAPI呼び出しで、AIが下記のような複数のツールとモデルターンを使用し、Webや指定したファイルといった外部情報を参照しながら、複雑なタスクを簡単に処理できるようになる。

  • Web検索(Web Search)
    Web上から最新の情報を迅速に取得し、回答を生成する

    Web Searchの例

  • ファイル検索(File Search)
    大量のドキュメントから必要な関連情報だけを取得する。メタデータフィルタリングなどもサポート

    File Searchの例

  • コンピューター操作(Computer Use)
    WebブラウザーやGUIアプリを直接操作し、ワークフローを自動化する(Operatorの仕組みをAPI化したもの)

    Computer Useの例

 「Responses API」は、3月11日よりリサーチプレビューとして利用可能。使用は有料だが、料金体系は標準のトークンとツール利用料金が適用され、別途課金されることはない。

 また、従来のChat Completions APIは引き続きサポートされるが、Assistants APIは2026年半ばを目途に廃止される予定となっている。新APIへの移行は早めに検討しておいた方がよいだろう。

Agents SDK

 「Agents SDK」は、旧称「Swarm」として実験的に公開されていたフレームワークの正式版。オープンソースツールで、Pythonベースで構築されており、複数のAIエージェントのワークフロー管理やオーケストレーションを簡素化する。

 主な特徴は以下の通りで、ガードレール機能やトレーシング機能が標準搭載され、必要に応じてエージェントを自動的に切り替える「ハンドオフ」も可能となっている。

  • エージェント(Agents)
    事前指示と組み込みツールによって構成したLLMをエージェントに
  • ハンドオフ(Handoffs)
    エージェント間で制御をインテリジェントに引き継ぐ
  • ガードレール(Guardrails)
    エージェントの入力と出力を検証して安全性をチェック
  • トレーシングと可視化(Tracing & Observability)
    エージェントの実行トレースを可視化してデバッグ・パフォーマンスを最適化

 「Agents SDK」は、カスタマーサポートの自動化、コンテンツ生成、コードレビュー、販売見込み調査など、複雑な業務タスクに活用可能。開発者はエージェント設定の操作に費やす時間を減らし、意味のあるエージェント機能の統合に集中できるようになるとする。

Agents SDKの例

 なお、今後数週間から数カ月の間に、同社のプラットフォーム上におけるAIエージェントアプリの構築をさらに簡素化・加速するための追加のツールと機能をリリースする予定とのこと。開発者や企業が現実世界に影響を与える自律的なAIシステムを効果的に構築できるようにする構成要素を提供することに注力していく。