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INASOFT製ソフトの連続誤検知についてトレンドマイクロが謝罪・原因報告
昨年12月に根本的な原因が解消、1年半以上にわたる問題がついに解決
(2014/1/21 15:11)
PCメンテナンスツール「いじくるつくーる」「すっきり!! デフラグ」などを開発しているINASOFTの矢吹氏は21日、上記ソフトに対して2012年5月頃から発生していたマルウェア対策ソフト「ウイルスバスター」による連続誤検知について、「ウイルスバスター」側のシステム改善により根本的な原因が解消されたことを発表した。
INASOFTのWebサイトには、「ウイルスバスター」開発元のトレンドマイクロ(株)により提出されたという、同社取締役副社長名義の報告書が掲載されている。同文書では誤判定についての謝罪と共に、誤判定の原因などが記載されている。文書の骨子は以下の通り。
- 「いじくるつくーる」「すっきり!! デフラグ」の誤判定が極めて高い確率で発生した事象は、トレンドマイクロ社の2つの検出メカニズム間での一部機能の不整合であり、ソフトウェアのロジックや挙動に関して不正が検出された事実はない。
- 同様の誤判定は少数ながら他の顧客からも報告を受けていた。
- 2012年に矢吹氏とやり取りした時点では根本的原因である不整合を解決することはできなかったが、2013年12月にシステムの対応が完了し、誤検出が極めて高確率で起きる状況は解消した。
上記内容の一部は、トレンドマイクロ社のサポートページにも掲載されている。
同文書には対応の経緯も掲載されているが、2012年7月に根本的原因が判明しつつも解決に至らずと判断されてから、2013年7月に同社上席執行役員が状況を認識し社内体制を再構築するまで、1年の間があったことにはやや疑問が残る。しかし、最終的に個人開発のソフトウェアに対し、真摯な対応が行われたことは高く評価したい。
なお本問題に伴い、INASOFT製ソフトの利用規約には2013年4月より「ウイルスバスター」がインストールされた環境での利用およびトレンドマイクロ社員等の利用を禁止する条項が追加され、2013年7月にはトレンドマイクロ製品がインストールされているとインストール時に警告を表示する機能が実装されていた。今回、その役割は十分に果たされたとして当該条項は削除され、各ソフトの警告機能が解除されたバージョンが公開されている。
なお矢吹氏は2012年10月より『蓄積した疲労と、趣味に対する疑問』から本格的な開発活動を休止中。今後の活動については明言されていないが、最大の原因となっていたであろう事象が解消されたことで、活動再開に繋がることに期待したい。