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イラスト制作ソフトの「FireAlpaca」有償版に大規模アップデート

新しいブラシエンジン・フィルターシステム・ファイルフォーマットなど新機能多数

「FireAlpaca SE 3.0」提供開始

 (株)ピージーエヌは11月20日、同社が開発・提供するイラスト制作ソフト「FireAlpaca」の買い切り版「FireAlpaca SE」のメジャーアップデートとなる、「FireAlpaca SE 3.0」の提供を開始した。既存ユーザーは無料で自動アップデート可能。

表現力と柔軟性を大幅に向上させる新ブラシエンジン

 今回のアップデートの目玉は新たに搭載されたブラシエンジンだ。新ブラシエンジンにより、以下のような機能が可能になった。

  • 最大3本のストロークを同時合成
  • ストローク同士のクリッピング・マスク合成
  • ブラシ先端表現に拡大しても劣化しない「SVGパスの組み合わせ」が追加
  • 散布オプションにストロークが重ならない「散布点描モード」設定を搭載
  • 本物により近いリアルな水彩パラメータの調整が可能に

 併せて、新ブラシエンジンを活用した新作ブラシ4種類も公開された。

新ブラシエンジンを活用した新作ブラシ4種類も公開

マルチスレッド対応の強化

 独自開発のマルチスレッドライブラリと並列アロケーターにより多数のコアを活用し、大容量キャンバスや複数レイヤーでも描画や変形を滑らかに処理できる。さらに、背後で差分保存や自動復元を並行処理可能だ。

新フィルターシステム「MFG」が登場

 新たに開発されたフィルター記述言語「MFG」(Modern Filter-language for GPU)が採用された。「MFG」は、フィルターを専用の言語で記述する事で、OSごとに最適化されたシェーダー命令を生成可能。つまり、単一のコードから、DirectXで使用されるシェーダー言語のHLSL(High-Level Shading Language)やMetalで使用されるシェーダー言語のMSL(Metal Shading Language)を生成できる。

 現在、国内の学生向けに「MFG チャレンジ 2025 学生GPUプログラミングコンテスト」を実施中。『GPUプログラミングに興味がある』、『漫画やイラスト表現が好き』、『CG表現に詳しいから腕試しをしたい」、『「論文を再現してみたい』といった参加者を受け付けている。

新設計の標準画像形式を採用した新ファイルフォーマット

 読み込みと書き込みのマルチスレッドに対応した新しいファイルフォーマットを採用。差分保存による低負荷で高速な処理により、保存の高速化・安定性を実現した。

16bitチャンネル及びガンマに対応

 ARGB各チャンネルを256階調から65,536階調に拡張できる16bit/chモードを搭載。カラー補正やフィルター適用時の劣化を抑えながら、きめ細やかなグラデーションや微妙な色合いを忠実に再現するという。

プロジェクト機能が追加

 マンガ、パンフレット、イラスト集など複数のファイルやバリエーションで構成された作品で、関連ファイルを一括で管理する「プロジェクト」機能が追加された。ファイルを探す時間を削減できるほか、ページ間の切り替えもしやすく、ファイルの構成や順序も一目で確認できるため、進行管理や修正対応も効率的に行える。

 「FireAlpaca SE」は無償で提供されている高機能で軽快なペイント系グラフィックソフト「FireAlpaca」の上位ブランド。サブスクリプションではなく、買い切りで購入可能で、通常価格は3,980円。Windows/macOSに対応しており、Windows版はWindows 7以降で動作する。現在、Steamからダウンロード可能だ。