レビュー

彦根城をイメージしたフリーフォント「ひこね本丸ゴシックmini」

迷路のような城の縄張りを思わせる曲線を大胆にあしらったモダンクラッシックな字体

「ひこね本丸ゴシックmini」v1.00

 「ひこね本丸ゴシックmini」は、彦根城をイメージした丸ゴシック体のフォント。教育用漢字1,006字を含むOpenType形式の日本語フォントで、作者のWebサイトから無償でダウンロードできる。

 本フォントは、全国のお城をイメージした“本丸ゴシック”シリーズの最新作。今回は、ゆるキャラ“ひこにゃん”でも知られる国宝・彦根城がモチーフとなっている。

 彦根城は、徳川幕府の譜代筆頭・井伊家の居城。関ヶ原の戦いの後、天下普請(幕府が所大名に命じて行う土木工事)で築城された彦根城は、戦国の遺風を残した実戦的な構えを持つのが特徴で、文禄・慶長の役で倭城の防備に用いられた“登り石垣”や、山の斜面に掘られた“竪堀”を備える。

 中でも印象深いのは、尾根を断ち切るように掘られた“大堀切”と、その上に架かる掛橋、そして掛橋を渡った突き当りにある“天秤櫓”だろう。本丸へ向かうには、“大堀切”を通って掛橋をくぐり、左へ曲がる上り坂をグルっと登り鐘の丸へ入る。そして鐘の丸から掛橋を渡り、“天秤櫓”を通って太鼓丸へ向かわなければならない。戦時には掛橋は切って落とされるため“大堀切”から直接“天秤櫓”の石垣に取り付いて登らなければならない上、鐘の丸と“天秤櫓”の両方から上からの攻撃を受けるという仕組みだ。

 「ひこね本丸ゴシック」の特徴は、このグルっと登る彦根城の独特なループを思わせる、迷路のような曲線だ。少し癖があり、使いどころは難しいかもしれないが、かわいらしく、遊び心溢れるデザインは魅力的。日本の文字の古典的な美しさも感じられるようにバランスにも配慮されているとのことで、レトロなデザインにもフィットする。

 なお、無償で利用できる「ひこね本丸ゴシックmini」には商用不可、異体字および縦書き用グリフは非収録という制限があるので注意。商用の場合は、製品版「ひこね本丸ゴシック」を購入する必要がある。製品版には、JIS第一水準の漢字2,965字とJIS第二・第三水準で利用頻度の高い漢字460字に加え、記号・約物・キリル文字・半角カタカナなど647字が追加で収録されており、総収録文字数は4,072文字に上る。また、「ひこね本丸ゴシック-地」「ひこね本丸ゴシック-天」が特典として付属する。

ソフトウェア情報

「ひこね本丸ゴシックmini」
【著作権者】
フロップデザイン
【対応OS】
Windowsなど(編集部にてWindows 10で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト(非商用利用のみ)
【バージョン】
1.00(17/06/06)