レビュー
Unicodeコンソーシアムが提供する“最後の手段”フォント「Last Resort Font」
フォールバック指定しておけばフォントに含まれていないグリフを突き止められる
2021年1月22日 06:55
「Last Resort Font」は、「Unicode」規格を管理する非営利団体The Unicode Consortiumが提供するフォールバック用のフォント。最新版は昨年10月にリリースされた「Unicode 13」対応のv13.001で、“GitHub”のプロジェクトページから無償でダウンロードできる。
PCでアプリやWebページを利用する際、テキストの文字が正しく表示されず、四角い記号になってしまった経験はないだろうか。この記号は俗に“豆腐”と呼ばれており、フォントファイルに該当する文字(グリフ)が含まれていないときに発生する。しかし、単なる“豆腐”では手掛かりが少なすぎて、どうすれば正しく文字を表示できるのか、トラブルシューティングするのが面倒だ。
そんなときに便利なのが、今回紹介する「Last Resort Font」だ。このフォントはフォントファイルにグリフが含まれていない場合に利用する“最後の手段(Last Resort)”として開発されたもので、もともとはフォントファイルにグリフが含まれていない場合にフォールバック(切り替え)するフォントとして用いられていた。のちに「Unicode」で大きな貢献をしたMichael Everson氏によって拡張され、現在はオープンソースプロジェクトとして“GitHub”にホストされている。ライセンスは“SIL Open Font License, Version 1.1”で、商用での利用も可能。もちろん、Windowsなどでも利用しても問題はない。
「Last Resort Font」をフォールバックフォントとして設定しておけば、たとえばカタカナが含まれていないフォントファイルでカタカナを表示しようとすると、黒い枠に囲まれた“カ”というグリフが表示される。
“カ”という文字はカタカナブロックのなかで代表的な文字として選ばれており、ひらがなの場合は“か”、漢字(CJK表意文字)の場合は“字”と表示される(“ka”を表す字や最初または最後のアルファベットが用いられることが多い)。これは単にデザイン上のものだが、無味乾燥な“豆腐”グリフよりは見栄えがよい。
黒枠は通常のグリフではなくフォールバックされたものだということがわかりやすいようにつけられたもので、上下に“KATAKANA”というブロック名、左右に“3040”から“309F”というコードポイント範囲が記されている。これをみれば“このフォントファイルにカタカナ(コードポイント:3040~309F)のグリフが含まれていない”ことが簡単にわかるわけだ。
そのほかにも、それぞれの面(Plane)で未割り当てのコードポイントや、文字ではないコードポイントを表す意匠が収録されている。ある程度フォントサイズが大きくないとブロック名やコードポイントが見づらく、一般的なデザインではあまり使いどころがないかもしれないが、覚えておくと役に立つこともありそうなフォントだ。
ソフトウェア情報
- 「Last Resort Font」
- 【著作権者】
- The Unicode Consortium
- 【対応OS】
- (編集部にてWindows 10で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 13.001(20/10/23)