レビュー

日本製の「Firefox」強化版「Floorp」は標準装備でも使い勝手良好でカスタマイズ性も強力

縦型のツリータブやページ翻訳、QRコード表示機能などを初期状態で搭載

「Floorp」v10.3.0

 「Floorp」は、「Firefox」をベースに機能を強化したWebブラウザー。Windows/macOS/Linuxで動作し、Windows版はWindows 10/11に対応している。公式サイトから無料でダウンロードできる。

 起動してまず気付くのは、左側にサイドバーとして表示されたツリー型のタブだろう。これはPiro氏作の人気アドオン「Tree Style Tab」を取り込むことで実現しており、タブの親子関係がツリーとして表現され、折り畳みも可能なので大量のタブを開いている場合でも、目的のタブを探しやすい。

ツリー型タブを標準装備

 「Tree Style Tab」は、ただ標準でアドオンがインストールされているのはなく、「Floorp」の機能として組み込まれているため、「Floorp」の設定画面からブラウザーのUIをツリー型タブに最適化し、通常のタブを非表示、タイトルバーにツールバーの要素を移動することも可能。また、サイドバーを折り畳み、マウスが重なったときのみ展開するオプションも用意されている。

オプションでブラウザーのUIをツリー型タブに最適化

 他にも、マウスジェスチャー機能(Gesturefy)や、「Google 翻訳」で表示中のWebページを機械翻訳する機能(TWP - Translate Web Pages)、直前に閉じたタブをワンボタンで復活させる機能、表示中WebページのURLをQRコードで表示する機能などを備えている。そのため、わざわざアドオンをインストールしなくても、快適なWebブラウジングが可能だ。

マウスジェスチャー機能
Webページの翻訳機能
直前に閉じたタブを開くボタン
表示中WebページのURLをQRコードで表示する機能

 カスタマイズ性も高い。「Firefox」向けのアドオンが使えるのはもちろんのこと、通常のタブは表示・非表示と表示位置を変更可能。テーマはデフォルトの「レガシー Photon UI」に加え、設定画面から、「Firefox」のデフォルトテーマ、旧Firefox風の「Lepton UI」、「Material UI」(サポート対象外)、「Fluent UI」などへ切り替えられる。ダークモード・ライトモードの切り替えも可能だ。

「Fluent UI」テーマ(ライトモード)

 さらに、CSSファイルを編集してブラウザーのデザインを細かく変更することもできる。CSSの編集は[Alt]キーで表示されるメニューバーの[CSS]メニューから行え、CSSファイルの変更は[CSS]-[メニュー]メニューの[Rebuld]コマンドから「Floorp」を再起動せずに適用可能。

[CSS]メニュー

 そのほか、プライバシーも重視されており、[強化型トラッキング防止機能]のデフォルト値は[厳格]になっている(「Firefox」では[標準]がデフォルト値)。万が一Webページの表示や動作に問題があった場合は、まずこの設定を見直すとよいだろう。

 ちなみに、「Floorp」の開発は日本の中高生を中心としたコミュニティ「Ablaze」によって開発されている。公式サイトやTwitterなどで頻繁に情報発信しており、機能要望等も受け付けている。海外製のアプリよりも気軽にコミュニケーションが取れる所も利点といえるだろう。

ソフトウェア情報

「Floorp」
【著作権者】
Ablaze
【対応OS】
Windows/macOS/Linux(Windows版はWindows 10/11に対応)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
10.3.0