レビュー
ダウンロードしたファイルに破損・改竄がないかプロパティで確認できる「OpenHashTab」
「HashTab」に触発されて生まれたオープンソースプロジェクト
2022年8月25日 06:45
「OpenHashTab」は、ファイルのプロパティダイアログでハッシュ値を確認・比較できるシェル拡張。「GitHub」でホストされているオープンソースプロジェクトで、ライセンスは「GPL-3.0」。Windows 7以降に対応しており、編集部にてWindows 11で動作を確認している。
オンラインソフトのダウンロードページには、ときどき「ハッシュ値」と呼ばれる文字列が添えられていることがある。「ハッシュ」(hash)とは薄切りや細切れにすることを指し、コンピューター分野においては特定の処理(ハッシュ関数、ハッシュアルゴリズム)を通じて長いデータから短い要約値を得ることをいう。この要約値をハッシュ値と呼ぶ。
同じ内容のファイルから得られるハッシュ値は常に同じであるはずなので、ダウンロードページで提供されているハッシュ値とダウンロードしたファイルのハッシュ値が同じであれば、途中で破損や改竄がなかったことがわかるというわけだ。
ハッシュ値を計算・比較するツールはいくつかあるが、本ソフトはプロパティダイアログに[ハッシュ値]タブとして統合されており、わざわざアプリを起動しなくても、ファイルプロパティを確認するついでに利用できるのが魅力。[次と比較]というテキストボックスにダウンロードページで提供されているハッシュ値をコピーすると、どのアルゴリズムのハッシュ値と一致するかを調べてくれる。
このようなツールとしては「HashTab」というプロプライエタリ(ソースコードが公開されていないこと)のシェル拡張が有名だったが、現在では開発を終了してしまったようで、配布元のWebサイトも失われてしまっている。その点、「HashTab」に触発されて始まった「OpenHashTab」はオープンソースプロジェクトなので、もし今の作者が開発をやめてしまっても、プロジェクトを継ぐ開発者がいる限り存続することが期待できる。
さらに、「OpenHashTab」は「HashTab」と比べても機能が格段に優れている。たとえば、ハッシュ関数は以下の28のアルゴリズムをサポートしている。
- CRC32、CRC64(xz)
- xxHash(XXH32、XXH64)
- xxHash3(64/128bit)
- MD4、MD5
- RipeMD160
- Blake2sp
- SHA-1
- SHA-2(SHA-224、SHA-256、SHA-384、SHA-512)
- SHA-3(SHA3-224、SHA3-256、SHA3-384、SHA3-512)
- BLAKE3(256bit、512bit)
- KangarooTwelve(264bit、256bit、512bit)
- ParallelHash128(264bit)、ParallelHash256(528bit)
- Streebog(GOST R 34.11-12)(256bit、512bit)
ファイルのプロパティダイアログの一部としてだけでなくスタンドアロンのアプリとしても利用でき、ファイルの右クリックメニューから起動したり、チェックサムファイル(ハッシュチェックのために用意されているファイル)に関連付けて利用することも可能。チェックサムをクリップボードへエクスポートしたり、ファイルへ出力することもできる。
複数のファイルを選択してまとめてハッシュ値を得たり、リストビューのダブルクリックで行データのコピーが行えるのも便利。右クリックメニューを利用すれば、ハッシュ値やファイル名のみをコピーすることもできる。
また、ウイルスチェックサービス「VirusTotal」(VT)のボタンを備えており、ファイルのハッシュ値を送って「VirusTotal」のチェックページを受け取ることが可能。取得したURLへアクセスすれば、各種セキュリティソフトによるスキャン結果を一覧できる。
そのほかにも、多言語対応(ユーザーインターフェイスの日本語化も可能)、高DPIモニターへのサポート、260文字(MAX_PATH)を超える長いパスへの対応など、モダナイズが図られている。
ソフトウェア情報
- 「OpenHashTab」
- 【著作権者】
- namazso 氏
- 【対応OS】
- Windows 7以降(編集部にてWindows 11で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 3.0.2(22/06/09)