いまさら聞けないExcelの使い方講座

【Excel】手書き用の資料をPCで入力しやすくしたい ~ドロップダウンリストを作成すると日付入力の効率がアップ!

印刷用に作られたExcelの申請書の日付欄がかなり入力しづらい!

 昨今の状況下で、これまで紙で申請していたさまざまな事務処理を、オンラインで行うようになってきている企業も増えてきていると思います。印刷して手書きで記入することを前提に作られた請求書や精算書などをそのままオンライン用として使ってみたところ、なんだかとても入力しづらかったという経験をした人は少なくないのではないでしょうか。

 次の「経費精算書」を見てください。セル範囲B8:B15(①)の日付欄には、事前に「/(スラッシュ)」が入力されています。手書きで日付を「10/30」のように書く場合なら、「/」の両側に数字を記入すればよいので、手間が省けてよいですよね。でも、パソコンでシートに入力する場合は、この「/(スラッシュ)」はないほうがスムーズに入力できるかもしれません。

 今回の記事では、手書き用に作成された資料をパソコンで入力しやすい資料に変身させる方法を解説します。上記の例の日付の入力欄(セル範囲B8:B15)にドロップダウンリストを作成して、入力がスムーズに行えるようにしてみましょう。今回の例では、現在の日付からカウントして2週間前までの日付が自動的にドロップダウンリストに表示されるようにし、過去2週間よりも前の日付を入力したい場合は、手入力できるようにします。では早速やっていきましょう。

❶ドロップダウンリストに表示する日付の一覧表を作成する

 まず、ドロップダウンリストに表示する日付の一覧表を作成します。今回の例では、本日の日付(2020/11/2)から2週間前までの日付(2020/10/20)をドロップダウンリストに表示したいので、これらの日付を入力した表を作成します。ここでは、作業しやすくするために同じシートのL列に作成しますが、別のシートに作成しても構いません。

 セルL1に「日付」(①)という見出し項目を入力し、セルL2に本日の日付を入力します。ここではTODAY関数を使って、「=TODAY()」(②)と入力し、[Enter]キーを押します(③)。TODAY関数は今日の日付を表示する関数です。TODAY関数を使う理由はあとで説明します。

 数式が確定されて、本日の日付が表示されます(④)。その下のセルL3には、本日より1日前の日付を入力したいので、「L2-1」(⑤)と入力して、[Enter]キーを押します(⑥)。

 すると、本日より1日前の日付「2020/11/1」(⑦)が表示されました。同じように、L列の以降のセルで1日ずつ日付がカウントダウンされるように、セルL3の式をコピーします。セルL3を選択し、セルの右下にマウスポインターを合わせると、マウスポインターの形が変わるので、そのまま下にドラッグ(⑧)します。

 本日の日付から過去2週間の日付リストを作成できました(⑨)。TODAY関数を使うことで、常にExcelシートを開いた時点の日付から過去2週間の日付リストを作ることができるのです。

❷日付欄にドロップダウンリストを作成する

 日付の一覧表を作成できたので、日付の入力欄にドロップダウンリストを作成しましょう。

 ドロップダウンリストを設定したいセル範囲(B8:B15)を選択(①)して、[データ]タブ(②)→[データの入力規則](③)をクリックします。

 [データの入力規則]ダイアログボックスが表示されます。[入力値の種類]のドロップダウンリストから、[リスト](④)を選択します。

 [元の値]欄に先ほど作成した日付リストのセル範囲(⑤)を入力します。具体的には、「=$L$2:$L$15」(⑥)と入力します。

 既定の設定では、ドロップダウンリストにないデータは入力できないようになっています。ここでは、過去2週間よりも前の日付も手入力できるように、設定を変更します。[エラーメッセージ]タブ(⑦)をクリックし、[無効なデータが入力されたらエラーメッセージを表示する](⑧)をクリックしてチェックマークを外します。

 [OK](⑨)をクリックしてダイアログボックスを閉じます。

 シートに戻ると、セルB8の右横に三角形のボタン(⑩)が表示されます。これで、ドロップダウンリストが作成されたことがわかります。

 最後にセル範囲B8:B15の表示形式を変更します。セル範囲B8:B15を選択したまま、[ホーム]タブ(⑪)→[数値の書式]の右横にある矢印(⑫)をクリックして表示されるメニューから[短い日付形式](⑬)を選択します。

 この状態では、何も変わったように見えませんが、[数値の書式]欄に「日付」(⑭)と表示されていればOKです。これで、日付が「YYYY/MM/DD」という表示形式で表示されるようになります。

 ここまでで、ドロップダウンリストの作成は完了です。実際に、セルB8に日付を入力してみましょう。セルB8を選択すると右下に三角形のボタン(⑮)が表示されるのでクリックします。過去2週間分の日付がドロップダウンリストとして表示されるので、任意の日付(⑯)を選択します。

 選択した日付がセルに表示されましたね(⑰)。

 最後に、ドロップダウンリストにない日付をセルに直接入力してみましょう。セルB9に「2020/10/1」(⑱)と入力して[Enter]キーをしてみると、無事に入力できました。

ドロップダウンリストを作成して日付入力をラクにしよう

 今回は、手書き用に作成された資料をパソコンで入力しやすい資料に変身させるワザとして、日付の入力欄にドロップダウンリストを作成する方法を解説しました。事前に「/(スラッシュ)」が入力された日付欄よりも、ずっと入力しやすくなったのではないでしょうか。

 実は、今回の例で使用した「経費精算書」にはもう1つ問題点があります。セル範囲G8:G16の金額欄には、「円」という文字がベタ書きで入力されてしまっていることです。親切心から記載したと推察されますが、この「円」という文字があるため、合計金額を計算する数式が使えません。次回の記事では、実際の入力値は数値のままで、見た目だけを「●●円」のように変える方法を解説します。楽しみにしていてくださいね。