どれ使う?プログラミング教育ツール

子供向けプログラミングアプリ「mBlock」で機能豊富な学習用ロボットCodey Rockyをプログラムしよう

 2020年度からついに小学校でプログラミング教育が実施されます。これに伴い家庭でも手軽にプログラミングを学習できるツールが多数登場していますが、どんなツールを使えばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか? そこで本連載では家庭でのプログラミング教育にピッタリなお勧めツールを紹介していきたいと思います。

 前回前々回は、前後編で子ども向けプログラミングアプリ「mBlock」からプログラミング学習用のロボット“mBot”の機能を作るプログラミングをしました。今回は、同じく「mBlock」からプログラミングできるMakeBlock社の“Codey Rocky”を紹介します。“Codey Rocky”は組み立て不要の完成形のロボットで、すぐにプログラムして使えます。“mBot”がロボットの機構自体も学ぶことが目的になっているのに対し、“Codey Rocky”は目的がプログラムを組むことに絞りこまれていると考えてください。

“Codey Rocky”はパンダのような頭と4つの車輪のついたロボット。頭部分だけを外して単独で使うこともできる。頭部分が“Codey”で車輪のついたボディ部分が“Rocky”

プログラミングアプリ「mBlock」の準備

 まずは、前々回の記事を参考に、プログラミング用アプリ「mBlock」のウェブ版を起動します。ウェブ版の「mBlock」で機器のプログラミングを行うにはパソコンに「mLink」というドライバーが必要なので、これも前々回の記事を参照してください。「mLink」は事前にインストールして起動しておきましょう。

 「mBlock」で新規プログラム作成画面を表示したら、画面の左下の[デバイス]タブに“Codey”があることを確認します。もし別の機器が表示されていたら、削除して、[+追加]ボタンで“Codey”を追加します。

「mBlock」を起動したら、[ファイル]メニューから[新規]に進んで、新たに空のプログラムページを開く。[デバイス]に“Codey”があるのを確認する

“Codey Rocky”とパソコンを接続

 “Codey Rocky”とパソコンはUSBケーブル(“Codey Rocky”側はTypeC)でつなぎます。「mBlock」に“Codey Rocky”を認識させるには、プログラム作成画面左下の[デバイス]タブで[接続]ボタンをクリックして機器を選択します。前々回の記事で“mBot”の場合を説明していますので、“Codey Rocky”に置き換えて参考にしてください。

“Codey Rocky”をUSBケーブルでパソコンにつないだところ。

プログラムを組んでみる

 早速簡単なプログラムを作成してみましょう。下の図は障害物を検知したら右折で回避するプログラムです。本体のAボタンを押すとプログラムが実行されます。[見た目]ブロックで目のデザインを変えたり、[音]ブロックで効果音を入れて衝突時の表情や音の演出をしています。

障害物を回避するプログラムの例

 作成したプログラムは、“アップロードモード切替”を[オフ]にしておくと、USBでつないだ機器で随時プログラムを試すことができて便利です。ただし、このプログラムは本体が動き続けてしまうので、テーブルなどから落ちないように気をつけましょう。

 “アップロードモード切替”を[オン]にして作成したプログラムを[アップロード]すれば、“Codey Rocky”をパソコンから切り離して単体で動かせます。床の上で障害物を回避して動き続ける様子を確認してみてください。非常になめらかに動きます。障害物検知だけでなく、色を判断させることもできるので、工夫次第で様々な機能を作ることができます。

“アップロードモード切替”を[オン]にして[アップロード]ボタンでプログラムを本体に転送する
 床で走らせているところ。障害物を検知して目の表情を変えて方向転換するところ。「びっくりした」表現の音も出ている

「頭」部分だけでも使えるのが“Codey Rocky”ならでは

 以上は車両型ロボットらしい使い方ですが“Codey Rocky”の面白さは、頭部分だけでも使えることです。キッチンタイマーのようなつるんとした頭部分には様々なセンサーが搭載されています。これを生かした簡単なプログラムを作ってみましょう。

 下の画像中のプログラムは。6軸ジャイロセンサーを利用して、上下左右の傾きを検知したら、エラー音を出して顔が表示されるプログラムです。

左右の傾きと耳の向き(上下の傾き)に応じて表示される目の位置を変え、音を鳴らすプログラム
USBケーブルで接続したまま試しているところ。手前に傾けると目は下向き、右に傾けると目は右向きになる

 作成したプログラムを“Codey Rocky”に[アップロード]すれば、パソコンから切り離して、傾けずに運んだり受け渡したりするというルールのゲームに使えます。

片手同士で傾けずに受け渡すチャレンジ。意外と難しくピーっという音とともに顔が表示されるのでちょっとしたゲームになる

 以上のように、“Codey Rocky”は頭部分だけで身軽に使ったり、すっとボディ部に差して車輪付きロボットとして使ったりと、ハードの扱いが手軽で安定していて、高度な機能を気軽に使えるのが特徴です。“Codey Rocky”には、今回紹介したプログラミングアプリの「mBlock」の他に、タブレット専用のアプリもあるので、用途に応じて使い分けてください。

 また、未検証ですが、アカウントを登録してクラウドサーバーを利用できるようにすれば、プログラミングアプリで音声認識や表情認識を利用したり、“Codey”をWi-Fi接続して天気予報のデータを取得するIoT機能を利用したりもできるということなので、用途が広がりそうです。

プログラムミングで動かすロボットの選び方

 プログラミングをして動かすロボット系の教材には、前回記事で紹介した“mBot”のようにロボットの組み立てから行うタイプのものと、今回の“Codey Rocky”のように完成品のロボットですぐにプログラミングを行うものがあります。どちらがふさわしいかは目的に応じて異なります。ロボットの構造から学びハード的にもさまざまにアレンジしたいならば組み立て型が向いていて、ロボットのコントロールやアウトプットを通してプログラミングを学ぶことに集中したいのであれば、完成型が向いています。今回はMakeblock社の同じプログラミングアプリから操作できる2種をご紹介しましたが、他社のツールを見るときも、ひとつの判断基準にしてみてください。