石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

「アーマード・コア6」のPC版、マウス&キーボードでちゃんと戦える

シリーズ未経験でも大丈夫。濃いストーリー&キャラクターを堪能しよう

 PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。

「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」のタイトル画面

PCゲーマーならマウス&キーボードでやれと言われ続けてきた

 ロボットアクション「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(アーマード・コア6 ファイアーズオブルビコン)」では、同シリーズにおいて初のWindows版が用意された。これまで家庭用ゲーム機でしか出ていなかったのが意外な気もするが、そもそも10年間も新作がなかったのだから仕方ない。

 SNSではタイトル名がトレンドに上がるほど注目度が高いらしい。またWindows版が初めてということで、本作がシリーズ初体験という方も多いようで、「今作からでも遊べますか?」という不安げな声もちらほら。

 そして少数ながら聞こえてくるのが、「マウス&キーボードで操作できるのか?」という話。本作はずっと家庭用ゲーム機で続いてきたシリーズなので、2本のアナログスティックを使った操作がスタンダードであるのは確か。PCでもゲームパッドで操作するのが本道なのだろう。

 だがしかし、筆者はこれまで散々見てきたのだ。PCゲーマーが「マウス&キーボードの操作が最強である」と豪語する姿を。某戦車ゲームで「砲塔は瞬時に回らないからマウス照準の優位性はないし、ゲームパッドでも十分遊べるよ」と言ったり、某悪魔狩りゲームで「ゲームパッドでも手軽に遊べていい感じだよ」と言ったりしたら、「これだからヌルゲーマーは」という侮蔑の視線を向けられるのである。

 こんなのはガチゲーマー度が高すぎる筆者の周囲だけだと思うが、まあ程度の差はあれど、「この手の3Dアクションはマウスとキーボードの方が操作しやすい」という認識は、PCゲーマーの中では普通にあると思う。そうでなくとも、本作をマウス&キーボードで遊べるならいいな、と思っている方はそこそこ居そうな気はする。

 そこで今回は、本作をマウス&キーボードで遊んでみてどうか、筆者が自分で試してみることにした。なお筆者はシリーズ初期のPlayStation版3部作はオールクリアし、その後はやったりやらなかったりという感じ。

ゲーム画面はシリーズの伝統に沿ったもの。筆者には懐かしく馴染みがある

マウス&キーボードの操作設定はある

 まず「シリーズ未体験でも本作から遊べるか」という問いには、特に問題はないと言える。ストーリー的に事前知識が要るものではないし、操作は経験がなくてもチュートリアルで少しずつ教えてもらえる。ゲーム内容が過去のシリーズと比べて極端に難しいということもない。アクションゲームが苦手というわけではないなら、とりあえず遊べる内容だと思う。

 さて、本題のマウス&キーボードによる操作だが、システム的には問題なく対応している。マウス操作で視点操作、左右クリックで左右の武器使用。[W][A][S][D]キーで移動、[Space]キーでジャンプ。ここまでは一般的な3Dゲームと同じで特に迷わない。

最初のステージではプレイ中に操作説明が出る。もちろんキーボード操作に対応した説明だ

 問題はここから。[Q][E]キーで左右の肩武器、[W][A][S][D]+[左Shift]キーでクイックブースト(高速移動)、[左Ctrl]でアサルトブースト(前方に超高速移動)、[V]キーでスキャン(見えない場所の捜索)、[C]キーでリペアキット(修理)などなど。詳しくは公式サイトで紹介されている。

 中でもクイックブーストは敵の攻撃を回避するのに重要なのだが、小指を頻繁に使うのでなかなか大変。これに肩武器2つも加わると、最初はとてもじゃないが指が回らない。ある程度プレイしているうちに慣れては来るが、筆者はまだしっくりくるというまでには至っていない。クイックブーストだけでもマウスボタン側に移動するなど考えた方がいいかもしれない。

敵の攻撃を引きつけてクイックブーストで回避。これで生存能力が格段に上がる(できなければすぐやられる)

やられても大丈夫。フロムのいつもの死んで覚えるゲームだから

 そんな状態ながら、一応プレイはできている。ゲーム開始直後のステージで巨大なヘリコプターと戦うのだが、操作が不慣れなことに加えて戦術的な意味でも難しく、いきなり3回も撃破された。ただこれは発売初日にはSNSのトレンドに上がるくらい多くのプレイヤーが苦戦したようなので、筆者の操作系の問題ではなさそうだ。

 なおこのヘリコプターはステージ終盤に登場するが、撃破されてもヘリコプター戦の直前から何度でも再スタートできる。最初のステージゆえに装備を整えてどうにかするという方法は取れないが、本作はとにかく死んで覚えるゲームなんだということを、全てのプレイヤーに教えてくれる存在なのだろう。

SNSで噂に聞いていたヘリコプター。空中からの強烈な遠距離攻撃はまさに初心者殺し
最終的にはヘリコプターに飛び乗ってメインローターを斬り飛ばした。これがゲームプレイのワンシーンというのがすごい

 その後しばらくは苦労することなく進められた。本作は依頼されたミッションをこなしていくことでゲームが進んでいく。最初のヘリコプターほど強烈な相手はしばらくは出てこないが、はるかに見上げるサイズの超巨大兵器や、多数の敵が守る拠点に突入するといったキツめのミッションが割とすぐに出てくる。

 もし攻略に行き詰ったら、一度クリアしたミッションに再度挑戦するといい。操作の練習になるだけでなく、報酬もきちんともらえるので、装備品を購入してアセンブル(ロボットのパーツ組み換え)することで強化も可能だ。

ロボットのパーツを組み合わせて、ミッションに最適な装備を考えるのも本作の醍醐味

 もっとも、本作は大金を払えば強力な装備が買えるわけではない。機体や武装の特性を変えることで、各ミッションに適した装備を選んでいくというものだ。いずれにせよ試さないと特性はわからないので、買えるだけ買っていろいろ試すのが基本ではある。

ミッションの報酬でパーツを購入。行き詰ったら稼ぎに戻っていろんなパーツを試そう

マウス&キーボードでも爽快なアクションが可能

 話を戻してマウス&キーボードの操作だが、やはり視点を高速に動かせるのが最大の利点。敵が複数いる場面でも、素早くターゲットを切り替えつつ攻撃できる。特に近距離戦では、上下左右問わず自分の向きたい方を向けるので、ロックオン状態を気にせず感覚で近接武器を振れるのが便利かつ爽快だ。

複数の敵がいる中でも、的確に近接武器を振って戦える

 遠距離戦でも、画面中央に最も近いターゲットを自動でロックオンしてくれるので、射撃も的外れに飛んで行くことは少ない。距離が遠かったりしてロックオンしていない状態だと当たらないが、射程外で当たらないのはゲームパッドでも同じことだ。複数ターゲットをミサイルでロックオンする際などにも、視線をスッと流してのロックオンから発射できるのでスマートな感じ。

画面中央に最も近いターゲットをロックオンするので、射撃も快適だ

 ゲームパッドでの操作と比べて良し悪しを語れるほどにはプレイできていないが、少なくともマウス&キーボードでも十分に遊べる状態だとは感じる。本作の最初の関門とされる「壁越え」ミッションでも、空中機動からの近接戦闘で初見クリアできたくらいなので、デバイスによる不都合で困るほどのことはない。

視点の上下移動がしやすく空中戦でも動きやすい

 もちろん筆者が過去のシリーズ作品を含め、様々な3Dアクションをプレイしてきた経験をふまえてのことではある。それでも46歳のオッサンがマウス&キーボードで普通に遊べているのだから、多くのPCゲームファンにも順応できるはずだ。むしろ最終的にはゲームパッド操作を上回るパフォーマンスが出せるのではないかとさえ思う。本作に興味があるなら、デバイスの差を恐れることなく挑戦してみていただきたい。

 最後にもう1つ。本シリーズを未経験の方の多くが、本作を対戦ゲームと思われている節があるようだが、基本的にはシングルプレイでストーリーを楽しむ作品だ。その先で対戦をするかどうかは本人の好みによる。そういう意味でも気軽に遊んでみて欲しいと思う。

殺伐としたストーリーや濃いキャラクターも伝統。シングルプレイで十分楽しめる
格好いいシーンも満載で退屈さは全く感じさせない

 今回本作をプレイするにあたり、GeForce RTX 4060を搭載したマウスコンピューター製ノートPC「G-Tune E4」を使用した。解像度はディスプレイと同じフルHDで、本作のグラフィックス設定は映像品質「高」の状態で、快適に動作した。

今回のプレイ環境
G-Tune E4
【G-Tune E4】
CPUCore i7-12650H(Pコア 4.7GHz×6+Eコア 3.5GHz×4/16スレッド)
GPUGeForce RTX 4060(GDDR6 8GB)
メモリ16GB DDR4-3200(8GB×2)
SSD500GB(M.2 NVMe PCIe 4.0 x4)
ディスプレイ14型非光沢液晶(1,920×1,080ドット、144Hz)
OSWindows 11 Home
本体サイズ約323.9×225×22mm
重量約1.8kg
価格199,800円

G-Tune E4の製品ページ

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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