石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

フレームレートを計測する「NVIDIA FrameView」で3Dゲームの適切な画質設定を見つける

無料でDirectX 12にも対応。CPU/GPU使用率・温度なども表示

「NVIDIA FrameView」の公式サイト

フレームレートから見えてくるものがある

 筆者が愛用するPCゲーム用ツールとして、NVIDIAによって無償提供されている「NVIDIA FrameView」がある。フレームレートを表示・計測するこのツールは、ゲーミングPCをレビューする際には必須なのだが、高性能な計測機能は3Dゲームの画質設定を詰める時にも重宝する。

 フレームレートは実際にプレイしてみて、快適ならそれでいいという判断もあるのだが、もっと厳密に調べた方がいい場面もある。その辺りも含めて紹介していこう。

「Fraps」からの乗り換え先として

 フレームレートを計測する方法はいくつかある。筆者は「Fraps」というソフトを使ってフレームレートを表示させつつ、定期的にスクリーンショットを撮影する機能を使って、シーンごとのだいたいのフレームレートを把握していた。

フレームレート計測ツールとして長く活躍した「Fraps」。お世話になった人も多いだろう

 「NVIDIA FrameView」もフレームレートを表示できるという点では共通だが、その他の機能が大きく異なる。まず大前提として、「NVIDIA FrameView」は無料でダウンロードできる。「Fraps」はシェアウェアだがフレームレート表示やスクリーンショット機能は無料で使える。

 しかし「Fraps」はDirectX 12に対応していない。そのため最近では使えないゲームが多く、乗り換え先を探した人も多いかと思う。「NVIDIA FrameView」はDirectX 12でも使用可能だ。

 また「NVIDIA FrameView」は使用環境を問わないのも特徴と言える。名前からはNVIDIAのGPUであるGeForceシリーズで使えるアプリだと思われそうだが、ハードウェアの縛りは一切なく、他社のGPUでも、CPU内蔵グラフィックスでも動作する。「Fraps」からの乗り換え先としてはとても安心できる。

フレームレートをリアルタイムで確認できる

 「NVIDIA FrameView」の画面表示は、単純なフレームレートだけではない。CPUとGPUの動作クロック、使用率、温度と、下位1%のフレームレートが合わせて表示される。

 CPUとGPUの使用率が確認できれば、フレームレートが上がらない理由を調べられる。もしGPUが100%近い使用率になっていればGPUの性能限界と言えるし、逆にGPUを使い切っていないのであれば画質設定などで抑えているのがわかる。例えばVSYNCをオンにしていて、フレームレートがVSYNCの上限値に当たっている時は、GPUの使用率は100%より低い値になる。つまり余裕がある状態なので、画質をもっと上げる方向で検討できる。

 CPUやGPUの温度が異常に高い時は、クーラーの故障や力不足の可能性がある。PCケース内のエアフローを見直すなどして温度を下げられれば、より高いパフォーマンスを出せるかもしれない。

 下位1%のフレームレートというのは、フレームレートのデータ全体の中でワーストケースの1%の平均値だそうだ。局所的に高負荷になったタイミングでどの程度のフレームレートが出せるかという指標になる。

 例えばFPSでは、人や物が少ない場所ではフレームレートが上がりやすいが、人が多い場所や戦闘中はフレームレートが下がりやすい。平均フレームレートは十分高くても、肝心の戦闘時にフレームレートが下がっていて十分に力を発揮できていない可能性がある。下位1%の数値を見れば、「最悪でも60fps以上は維持できる画質設定にしよう」といった判断ができる。

 これらのデータを総合的に見れば、ゲームの画質設定を適切に変える指針になる。ゲーム内で設定を変えても「NVIDIA FrameView」の動作は継続するので、いろいろ試しながら確認できるのも便利だ。

 特に120Hzや240Hzといった高いリフレッシュレートに対応したゲーミングディスプレイを使っている場合は有用。120fps以上のフレームレートを見て違いがわかる人は少ないと思うが、たとえ認識できていなくとも、一瞬の表示速度の差がゲームのスコアに影響することは間違いない。240Hz対応のディスプレイを使っているのに、実は戦闘時には120Hzくらいまでフレームレートが落ちていたということもありえるので、計測は重要だ。

都市建設シミュレーション「Cities: Skylines II」を筆者の環境で動作させたところ。解像度は4Kで最高画質だと33fpsという表示(画像処理で拡大)
極端な例だが、画質を一気に最低に落としてみると、フレームレートは180fpsまで上がった。この変化を目視で確認できるのが便利

より詳細なログの記録も可能

 さらに便利なのがベンチマーク機能。「NVIDIA FrameView」の実行中、設定したホットキーを押すと、ベンチマーク計測が始まる。ベンチマーク中は画面上のフレームレート表示などが消える代わりに、裏で詳細なデータのログを取り始める。

 ログはCSV形式で保存され、表計算ソフトなどで展開できる。ログファイルは、各ゲームの実行ファイル名が付いたものと、「FrameView_Summary.csv」という共通ファイルが出力される。このうち「FrameView_Summary.csv」はデータを統計したもので、さまざまなデータが扱いやすい形でまとめられている。

 例えば平均FPSや下位1%、CPUとGPUの温度や使用率といった画面でも見られた情報に加え、下位0.1%や上位10%などのデータ、ベンチマークを実施した時間の長さ、CPUとGPUの消費電力といったデータも記録される。さらにCPUやGPUの種類、使用した解像度、OSやGPUドライバのバージョンなどのデータも合わせて保存される。

 このファイルを開けば、いつどんな設定やハードウェアでベンチマークを実施したのかが一目でわかるようになっている。

 ちなみにデータの中にはPCLというものがある。これは「PC Latency」の略で、PCの処理による遅延時間を測定したもの。PCにおける操作の遅延は、マウスやキーボードなどの入力デバイスの遅延や、ディスプレイの表示遅延も影響するが、PCLはPC内部での処理にかかった時間だけを抽出する。これが短いほどゲームの処理はリアルタイム性が高まり、操作の遅延も減るということだ。

 なおPCLの表示に対応できるのは、NVIDIAの遅延低減技術「NVIDIA Reflex」に対応している必要がある。つまりNVIDIAのGPUが必要になるわけだ。またゲーム側での対応も必要となる。

FPS「Apex Legends」で「NVIDIA FrameView」を実行したところ。ベンチマーク時以外はこのように見える
ベンチマークで取得したログの一例。通常の画面表示で見えるより多くのデータを参照できる

使い方はとても簡単

 最後に「NVIDIA FrameView」の使い方を説明するが、基本的にはゲームを起動する前に、先に「NVIDIA FrameView」を起動しておくだけでいい。これでゲーム画面の左上にフレームレートなどの情報が表示されるようになる。

「NVIDIA FrameView」のウインドウ。操作できるのはこれだけでとてもシンプル

 他の項目で調整しておきたいのは、「Benchmark folder location」でベンチマークのデータを保存するCSVファイルの保存場所を指定。「Benchmark hotkey」はベンチマークを開始・終了する時のキーの指定となる(F10とScroll Lockのどちらかしか選べない)。「Overlay screen location」ではフレームレートなどの画面表示の位置を4カ所から選べる。

 「NVIDIA FrameView」のアプリは最小化してもタスクトレイに入るわけではなく、あくまでウインドウ扱いとして動くところに若干の違和感はあるが、とにかく先に起動しておけばいいと覚えておけば問題はないだろう。

 今プレイしているゲームでフレームレートは十分なのかどうか、一度確認してみて欲しい。体感では問題ないとしても、計測してみると思ったよりフレームレートが低く、画質調整するとゲームプレイが快適になることは多い。特にシビアな対戦ゲームでなくとも、60fps前後のフレームレートなら概ね快適なゲームプレイになるはずなので、調整してみるといいだろう。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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 PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。