Windows 11で絶対使いたいアプリ

なんでドラッグ&ドロップできないの! Windows 11に欠けたタスクバー機能を補うツール

「Windows 11 Drag & Drop to the Taskbar (Fix)」でD&Dを快適に

 Windows 11へアップグレードしたらぜひ試していただきたいオンラインソフトを紹介する本連載。第9回目となる今回は、「Windows 11 Drag & Drop to the Taskbar (Fix)」を紹介する。

Windows 11で絶対使いたいアプリ 2021年 記事一覧

 Windows 10では、デスクトップや[スタート]画面からタスクバーへアイテムをドラッグ&ドロップすることでさまざまな操作を実現できる。いずれもWindowsに慣れたユーザーであればお馴染みの操作で、体に染みついているという人も少なくないだろう。

  • アプリ(のショートカット)をタスクバーへピン留め
  • ファイルやフォルダーをアプリ(タスクボタン)のジャンプリストにピン留め
  • アプリが起動中であれば、ファイルをタスクボタンへドラッグすることでアクティブに。そのままウィンドウへドロップすれば、ファイルをアプリで開ける
【フォルダーを「エクスプローラー」のタスクボタンにドラッグ&ドロップしてピン留め】
【ファイルをタスクボタンにドラッグしてアクティブにし、ウィンドウにドロップして開く - 窓の杜】

 しかし、Windows 11ではそもそもタスクバーへのドラッグ&ドロップが一律で禁止されている。アプリやファイルをドラッグしても、ドロップ不能であることを示すアイコンが表示されるだけだ。

Windows 11ではそもそもタスクバーへのドラッグ&ドロップが一律で禁止されている

 確かにWindows 11のタスクバーは新鮮で、クールな印象を与えるが、こうした「実装不備」をみると熟成の足りなさを感じてしまう。

タスクバーへのドラッグ&ドロップを頑張って再現した「Windows 11 Drag & Drop to the Taskbar (Fix)」

 そこで有志によって開発された回避策が、「Windows 11 Drag & Drop to the Taskbar (Fix)」だ。

「Windows 11 Drag & Drop to the Taskbar (Fix)」

 このアプリはタスクトレイに常駐し、アイテムがドラッグされている状態でマウスポインターがタスクバーの上にやってくるとそれを検知し、どのタスクボタンの上にカーソルにあるのかを算出する。そして一定時間カーソルがその場にとどまっていることを検出すると、タスクバーにフォーカスするショートカットキー([Windows]+「T」キー)や矢印キーの押し下げをシミュレートしてアプリをアクティブにし、アイテムをアプリウィンドウにドラッグ&ドロップできるようにする。

 つまり、冒頭で紹介したタスクバーへのドラッグ&ドロップの仕様のうち、3つ目の 「アプリが起動中であれば、ファイルをタスクボタンへドラッグすることでアクティブに。そのままウィンドウへドロップすれば、ファイルをアプリで開ける」 という操作を実現してくれるわけだ。

【「Windows 11 Drag & Drop to the Taskbar (Fix)」でWindows 10のタスクバーと同じ動作をWidnows 11で再現 - 窓の杜】
Windows 11でもタスクバーへのファイルD&Dでファイルを開ける

 仕組みはかなり強引だが、既存のシェルに備わっている機能を組み合わせているだけなので、タスクバーを旧仕様に戻したり、OSの内部処理に介入するといった複雑なものではない。そのため、深刻な副作用を引き起こしたり、OSのバージョンアップで動作しなくなるといった厄介なことにはなりにくい。ネットワーク接続を要する機能(自動更新機能を含む)を一切備えないため、プライバシーの心配をしなくて済むのもよいところだ。

 なお、アプリが起動していない(アプリインスタンスのない)タスクバーにアイテムをドラッグ&ドロップしても何も起こらない。つまりピン留めには対応していないが、アプリやファイルをピン留めする方法は他にもあるので、あまり困らないだろう。あくまでもファイルをタスクバーへドラッグ&ドロップしてアプリで開けないのが不便でなんとかしてほしいというユーザーのためのアプリだ。

 セットアップは簡単で、「GitHub」のリリースページから実行ファイルをダウンロードし、適当なフォルダーへ配置するだけだ。実行ファイルを起動すると、タスクトレイにモナリザのようなアイコンが現れ、タスクバーへのドラッグ&ドロップが可能となる。

「GitHub」のリリースページから実行ファイルをダウンロードして起動するだけ

 アプリと同じフォルダーに「Windows11DragAndDropToTaskbarFixConfig.txt」という設定ファイルを配置すればさまざまなカスタマイズが行えるが、一般的な環境であればその必要はないだろう。

 なお、実行時にエラーが発生する場合は、別途64bit版「Visual C++ 再頒布可能パッケージ」が必要。本ソフトの配布ページに記載されているリンクか、Microsoftのドキュメントサイトからダウンロードしてインストールするとよい。

実行時にエラーが発生
64bit版「Visual C++ 再頒布可能パッケージ」の導入で解決

 また、「Microsoft Edge」でアプリをダウンロードすると「お使いのデバイスに問題を起こす可能性があるためブロックされました」という警告が出ることがある。この意味と回避方法については、以下の記事を参照のこと。

「Windows 11 Insider Preview」Build 22557ではタスクバーへのドラッグ&ドロップ機能が復活

 Windows 11のタスクバーがドラッグ&ドロップに対応していない問題はMicrosoftも認知しており、「Windows 11 Insider Preview」Build 22557では改善されている。編集部にて試用したところ、[スタート]画面からアプリアイコンをタスクバーへドラッグ&ドロップしてピン留めしたり、ファイルをタスクボタンへドラッグしてアプリで開くといったことも問題なく行えた。

 そのためこのアプリはいずれ不要となると思われるが、こうして有志による回避ツールが開発されたことは、問題をアピールする上で大いに役立ったことだろう。改めて敬意を表したい。

ソフトウェア情報

「Windows 11 Drag & Drop to the Taskbar (Fix)」
【著作権者】
Dr.MonaLisa 氏
【対応OS】
Windows 11
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
2.3.0.0(22/02/16)