Windows 11で絶対使いたいアプリ

失われたことすら認識されていないあの機能をWindows 11に取り戻す「野心的」アプリ

デスクトップ上のすべてのウィンドウを透明にし、壁紙をのぞき見できる

 Windows 11へアップグレードしたらぜひ試していただきたいオンラインソフトを紹介する本連載。第10回目となる今回は、みんなが忘れかけているあの機能をWindows 11に取り戻す「AeroPeek11」を紹介する。

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「AeroPeek」ってなんだっけ?

 今回話題にしている「みんなが忘れかけているあの機能」とは、Windows 7で搭載された「AeroPeek」だ。マウスによるウィンドウ操作を改善するため導入された「Aero」シリーズの機能のうちの1つで、デスクトップ右隅のマウスカーソルを移動させることで、デスクトップ上のすべてのウィンドウを透明にし、壁紙をのぞき見できるようにする。

「Aero」シリーズの機能

  • Aero Snap:ウィンドウの配置機能。マウスでウィンドウをドラッグし、デスクトップの右端・左端へ近づけるとそこに吸い付き、ちょうどデスクトップの半分のサイズへウィンドウがリサイズされる。デスクトップにウィンドウ2枚を並べて表示させたい場合に便利で、Windows 11ではより柔軟な「スナップ レイアウト」へと進化している
  • Aero Shake:ウィンドウをマウスでつかんで左右に揺さぶると、それ以外のウィンドウがすべて最小化される。ごちゃごちゃした画面をすっきりさせたい場合にとても便利。廃止の噂もあったが、まだ利用できるようだ
  • AeroPeek:タスクバー右端にあるバンド上へマウスカーソルを移動させると、表示中のウィンドウがすべて透明化され、デスクトップをのぞき見できる。よく使うプログラミング言語の文法やMarkdown機能の書式などをメモしたチートシート(アンチョコ)を壁紙にしている場合は、それをチラ見できて便利かもしれない

 実装された当初からイマイチ使いどころがわからなかった「AeroPeek」だが、Windows 10では依然利用可能。初期状態ではタスクバー右端のバンドをクリックしてもすべてのウィンドウが最小化される([Windows]+[D]キーと同じ動作、もう一度押すとウィンドウが復元される)だけだが、「設定」アプリの[個人用設定]-[タスク バー]セクションでオプションをONにすれば、あの懐かしい「AeroPeek」を有効化することができる。

「AeroPeek」を有効化するオプション(Windows 10)
デスクトップ右端のバンド(帯)にマウスカーソルを移動させると、一時的にウィンドウをすべて透明にし、デスクトップを表示できる
【デスクトップ右下の端から発動するWindows 10の「AeroPeek」 - 窓の杜】
本家「AeroPeek」の動作

 しかし、Windows 11ではこのオプションすら「設定」アプリになく、「AeroPeek」は利用できない。[Windows]+[D]キー相当の動作を実現するタスクバーのバンドは健在だが、「AeroPeek」と同じ動作にするオプションはない。

Windows 11には「AeroPeek」を復活させるオプションはないようだ

「AeroPeek」をWindows 11で実現する野心的アプリ「AeroPeek11」

 「AeroPeek11」は、その「AeroPeek」をWindows 11で実現する野心的アプリだ。「それ、必要?」だなどと問うてはいけない。Windows 10にはあったにもかかわらず、Windows 11には欠けている――ならば実装してみたいと思うのが、こうしたユーティリティ開発者の性なのだ。

「AeroPeek」をWindows 11で実現する野心的アプリ「AeroPeek11」

 「AeroPeek11」は現在、「GitHub」のリリースページから無償でダウンロード可能(ライセンスは「MIT License」)。ZIP形式の書庫ファイルを展開してアプリを実行すると「Microsoft Defender SmartScreen」がブロックするが、ソースコードに問題はなさそうだ。不安な場合は利用を控えることをお勧めするが、本稿はそのまま先へ進むことにする。

書庫ファイルの中身は実行ファイルとライセンスファイルのみというシンプルな構成。「Microsoft Defender SmartScreen」がブロックするかもしれないが、今回はそれを無視して先へ進む

 本アプリはデスクトップ上の指定エリアを監視し、そこに一定時間マウスカーソルがおかれると、Microsoftによって文書化されていないAPIを呼び出して「AeroPeek」を発動する。そのため、初回利用時はその「発動エリア」の指定が必要。本アプリを起動すると小さなダイアログが現れるので、まず[Position Peek]ボタンを押す。

 すると、オレンジ色のエリアが現れるので、それをマウスでドラッグして好みの位置へ配置しよう。ダイアログの[Save Position Settings]ボタンを押して「発動エリア」を確定させれば、設定は完了。設定ファイル(AeroPeek11.cfg)が実行ファイル(AeroPeek11.exe)と同じフォルダーに保存される。

[Position Peek]ボタンを押すとオレンジ色のエリアが現れるので、ドラッグして「AeroPeek」を発動させたいエリアへ移動
[Save Position Settings]ボタンを押して「発動エリア」を確定
設定ファイルが実行ファイルと同じフォルダーに保存される

 設定が済んだら、先ほど指定した「発動エリア」へマウスを動かしてみよう。ほぼ「AeroPeek」と同じ挙動がシミュレーションされる。「発動エリア」を変更したい場合は、設定ファイルを削除してから「AeroPeek11」を起動するとよい。設定ファイルが見つからない場合のみ、「AeroPeek11」は設定ダイアログを表示する。

【任意の場所から発動して「AeroPeek」の動作を再現する「AeroPeek11」 - 窓の杜】
「AeroPeek11」の動作。Windows 10で撮影したが、Windows 11でも動作する

 本ソフトが気に入って、継続的に利用したい場合は、OSの起動時に自動で実行されるように「AeroPeek11.exe」のショートカットファイルをスタートアップフォルダーに登録しておくとよいだろう。スタートアップフォルダーは、[ファイル名を指定して実行]ダイアログ([Windows]+[R]キー)に「shell:startup」と入力して[Enter]キーを押すとアクセスできる。

 なお、本ソフトはタスクトレイに常駐しない。終了させるには[Ctrl]+[Shift]+[Esc]キーで「タスク マネージャー」を起動し、「AeroPeek11」というプロセスを探して終了させる必要がある。

本ソフトはタスクトレイに常駐しない。終了させるには「タスク マネージャー」でプロセスを切る必要がある

 また、本ソフトはサポートこそされないもののWindows 11以外のOSでも動作するとのこと。Windows 7やWindows 10で使う意味はとくにないが、「発動エリア」を自由に指定できる点は本家「AeroPeek」にない利点といえるだろう。

ソフトウェア情報

「AeroPeek11」
【著作権者】
Noah Bartley 氏
【対応OS】
Windows 11
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
0.0.0.1(22/02/04)