働く人のための「DaVinci Resolve」
第2回
まずは「DaVinci Resolve」の基礎を覚えよう! 画面構成と初歩の設定
2023年4月18日 06:55
本連載では、無料で使える高機能な動画編集ツール「DaVinci Resolve」の使い方をお伝えしています。
仕事で動画を自分で作る羽目になった人に捧ぐ「DaVinci Resolve」講座ですが、4月7日に「DaVinci Resolve」の開発元であるBlackMagic Design社と一緒に、「DaVinci Resolveで0円スタート 働く人のための動画編集」 というテーマでライブ配信を行ないました。すでに沢山の方にご覧いただいているようですが、まだの方はリンクからご覧いただければと思います。
配信は、今後ビジネスマンの動画編集で主流になると思われるマルチカメラ編集を実際にやってみようという内容ですが、難しいと思われていたものが簡単にできるということが、まずはおわかり頂ければいいかなと思います。一方、本連載のほうでは、もう少し基本的なところからじっくり進めていく予定です。
「DaVinci Resolve」の画面構成
「DaVinci Resolve」のインストールはすでに終わっていると思いますが、実際の編集作業に入る前に、「DaVinci Resolve」の画面と操作方法について整理しておきます。
作業をとりまとめる「プロジェクト」
編集作業は、「プロジェクト」という単位で管理していきます。新しい素材で新しい動画をつくり始めるときは、新規にプロジェクトをつくり、その中で作業していきます。このプロジェクトには、素材ファイルの在処や、後述する「タイムライン」のデータがまとめて保管されます。別の日に作業を再開する、別のマシンに作業を移すといった場合には、このプロジェクトを管理し、コピーや移動を行なっていくことになります。
プロジェクトを一覧する、必要なプロジェクトを開く、プロジェクトをバックアップ保存するといった管理機能を持つのが、「プロジェクトマネージャ」です。「DaVinci Resolve」画面の右下、「家」のアイコンから起動します。新しいプロジェクトを作る際も、ここから作成すると、以前のプロジェクト名が確認できたり、通し番号が確認できたりといったメリットがありますので、新規プロジェクトは[プロジェクトマネージャ]画面から始めることをお勧めします。
素材の置き場所[メディアプール]
「DaVinci Resolve」には複数のページがありますが、ほとんどのページにあるのが[メディアプール]というエリアです。ここはプロジェクトに読みこまれた素材が一覧で表示される場所です。編集作業の途中では、このエリアが「タイトル」や「エフェクト」の一覧表示に変わることもありますが、基本的にはメディアプールの画面は常時表示させておく必要があります。
メディアプール内には、独自のフォルダーを作って素材ファイルを整理することもできます。この独自フォルダーのことを、「ビン」(Bin)と呼びます。英語で「置き場」の意味です。
映像の状態を確認する[ビューワー]
「DaVinci Resolve」のすべてのページには、映像の状態を確認する[ビューワー]画面があります。ほとんどのページの[ビューワー]は、作業の状態に合わせて[メディアプール]の素材と「タイムライン」の映像が自動的に切り替わるシングルビューワーですが、[エディット]ページのみ、[素材]と[タイムライン]の両方が左右に並んで表示されるデュアルビューワーになっています。
具体的な作品を作る「タイムライン」
編集とは、動画の必要な部分を切り出して時間軸上に並べていく作業です。この作業場となるのが、「タイムライン」です。作品は、このタイムライン上にでき上がっていきます。
プロジェクト内部には、このタイムラインをいくつでもつくることができます。同じ素材を使って2本の違う作品をつくったり、あるいはバージョン違いをつくったりということが簡単にできるようになっています。
また、先に作ったタイムラインを新しいタイムラインの中に入れこんで、入れ子構造にすることもできます。
タイムライン上で映像や音声を重ねる「トラック」
タイムラインは、映像と音声それぞれに複数の「行」が積み重なっています。この行のことを、「トラック」といいます。映像には映像トラックが、音声には音声トラックがあり、それぞれ別の素材を積み重ねることで、映像や音声を合成していきます。
また映像と音声が同時に収録されているファイルは、映像と音声それぞれのトラックがリンクして動きます。このリンクを外して、映像と音声のタイミングをずらして編集することも可能です。
初期設定をする
初めて「DaVinci Resolve」を起動したときは、環境設定を行う必要があります。すでに設定が完了している場合も、もう一度設定を確認してみましょう。
[DaVinci Resolve]メニューから[環境設定…]を選択すると、環境設定ダイアログが現れます。ここには多くの設定がありますが、多くはデフォルトのままで問題ありません。「DaVinci Resolve」の使い方がわかってから、細かく設定を変更すれば十分でしょう。この中で、特に最初に設定を確認しておきたい部分のみ、チェックしていきます。
メディアストレージの設定
まず[システム]タブの[メディアストレージ]画面で、「DaVinci Resolve」が自動的に使用する領域を確保できる場所を指定します。具体的には、動作を高速化するためのキャッシュデータなどに使用しますので、できるだけ高速なストレージの場所を指定することをおすすめします。多くはOS標準で指定されている動画専用のフォルダーで十分かと思いますが、別に動画用のパーテーションがあるといった場合は、ここで[追加]をクリックしてその場所を指定しておきましょう。
自動保存の設定
続いて[ユーザー]タブの[プロジェクトの保存&ロード]へ移動します。[ライブ保存]と[プロジェクトバックアップ]は、両方にチェックを付けておきます。[ライブ保存]は、「DaVinci Resolve」で何か作業をするたびに、その状態を自動的にプロジェクトに保存していきます。「DaVinci Resolve」が何らかの理由で異常終了してしまった際には、プロジェクトを再度開くだけで最後に行った作業を復元することができます。ただし常に最新状態を上書きで保存していますので、履歴が遡れるわけではありません。
一方[プロジェクトバックアップ]は、その下にある時間指定どおりに履歴を保存していきます。[バックアップ頻度]を5分に設定すると、5分ごとに履歴を保存していきます。1時間が経過すると、[1時間ごとのバックアップ]へ送られます。そしてまた次の5分ごとに履歴が保存されていきます。永遠に5分ごとの履歴が残るわけではありません。
1時間ごとに保存された履歴は、[1時間ごとのバックアップ]で指定した時間分まで保存されます。例えば5時間と指定すると、5つのバックアップが保存されることになります。1日ごとのバックアップは、作業した日に蓄積された履歴を何日間保管するかの設定です。さかのぼる可能性のある日数を指定しておきます。
設定が完了したら、[保存]ボタンをクリックしてこの状態を保存しましょう。いったん「DaVinci Resolve」を終了して再度起動すると、設定が反映された状態で起動します。