やじうまの杜
「Windows NT 4.0」のファイルマネージャーがパワーアップしてオープンソースに
「Visual Studio」でビルド可能。いろいろ手を加えた“v10.0”のバイナリも無償提供
2018年4月10日 11:52
“やじうまの杜”では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。
1990年代初めに「Windows 3.0」とともにリリースされた「Windows ファイルマネージャー」(「winfile.exe」、今の「エクスプローラー」のご先祖)のソースコードが、“GitHub”でリリースされています。ちゃんとMicrosoftのアカウントで公開されているので、ソースコードが漏洩したとかではない様子。しかも、なぜかいろいろ手を加えてパワーアップした“v10.0”までリリースされています。
“GitHub”で提供されているソースコードは、2007年11月時点の「Windows NT 4.0」からとったものだそうです。さすがにそのままでは今のWindowsでは動作しなかったようで、いくつかの変更が加えられています。
- 「Visual Studio 2015」「Visual Studio 2017」でコンパイルできるようにソリューションを変換
- 64bit版Windowsで動作させるための修正
- “wfext.h”など、欠けていたヘッダーファイルを追加
- 未使用のファイルを削除
- 内部ライブラリで行っていた64ビット演算をC言語標準へ変換
- 内部のシェルAPIをパブリックAPIへ変換
こうした最低限の修正を加えた状態のソースコードには“original_plus”というタグが付けられています。このソースコードはほぼオリジナルそのままといってよいでしょう。
加えて、“master”ブランチ(今回リリースされた“v10.0”)には他にもいくつかの改善が導入されています。以下に、主なものを抜粋してみました。
- OLEドラッグ&ドロップのサポート
- [Ctrl]+[C]キーなどのショートカットキーを現代風に(かつてはドライブの切り替えに使っていたのだそう)
- ファイルの切り取り&貼り付けで移動が可能に
- 両方のペインに右クリックメニューを追加
- [F12]キーで選択ファイルを「メモ帳」で開く
- 設定ファイルの場所を“%AppData%RoamingMicrosoftWinFile”へ移動
- [Ctrl]+[K]キーでコマンドシェルを起動。[Shift]キーを加えると管理者権限で
- リパースポイントやジャンクションのサポート
- ツリービューの左右キーで「エクスプローラー」のようにフォルダーを折りたたみ・展開。簡単な前方・後方ナビゲーション(改善の余地あり)
- ソートオプションの追加。検索機能の拡充
歴史を感じさせる変更が多々見られるのが興味深いですね。新生「Windows ファイルマネージャー」の開発はこれで完了というわけではなく、改善案・問題点(issue)やプルリクエストもまだ受け付けているようです。古い「Windows ファイルマネージャー」に今さら手を入れても仕方ないんじゃ、という気もしなくはないですが、面白い試みではあります。そのうち「エクスプローラー」を凌ぐことになるのかも?
なお、“開発者じゃないからソースコードなんかみてもわからないけれど使ってみたい”というユーザー向けに、コンパイル済みのバイナリも提供されています。レトロなファイルマネージャーを体験してみたいという方は、ぜひダウンロードしてみてください。