やじうまの杜

Windowsの標準フォントってどこまで“タダ”なの? ~最新の状況をまとめたブログ記事が人気

許諾範囲は意外に広いが、フォントの改変やアプリ・ゲームへの組み込みはやめよう

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フォントのライセンスについての公式サポートページ

 いささか旧聞に属しますが、Windowsに標準搭載されているフォントのライセンスについてまとめたブログ記事がたいへん有用でしたので、今回ご紹介したいと思います。

 公式の情報は、以下のサポートページから得られます。

 Windowsで提供されているフォントは、OSへ同梱するにあたりフォントの開発元から正式にライセンス供与されています。フォントのライセンス料はOSのライセンス料に含まれていると考えてよいでしょう。一般的な利用においては追加の費用を請求されることはありません。

 問題は、どのような利用であればライセンスの範囲内なのかということですが――ざっくりいうとこんな感じのようです。

  • 表示・印刷(アプリで表示する場合など):プリンターなどへの一時キャッシュも含め、無償。印刷物やグラフィックスファイル、会社のロゴの制作にも用いることもできる。成果物(本、レポート、Tシャツ、工芸品)を販売してもよい。ただし、明示的に非商用・家庭用・学生用とされたライセンスのアプリ(家庭向け「Microsoft Office」アプリなど)を使っている場合はダメ
  • Webでの利用:Webブラウザーに表示するのはよい。Webサーバーにフォントファイルをコピーして利用したり、ファイル形式を変換したりしてはいけない(元の制作者から入手できる場合があるので、そちらへ問い合わせる)
  • 文書への埋め込み:フォントファイルの再配布は一般的に許可されていないが、ドキュメントへの埋め込み(編集可能な埋め込み)に関しては特別に許可されている(サードパーティ製フォントは“印刷とプレビュー用として埋め込み”であればOK)

 とりあえず、“文書への埋め込み”は例外として最低限でも

  • フォントファイルをOS外で利用してはいけない(OSでの表示・印刷にとどめる)
  • フォントファイルを勝手に改変してはいけない
  • フォントファイルをゲームやアプリに埋め込んではいけない

という3つのルールを覚えておけばよいでしょうか。とくに3つ目の“フォントファイルをゲームやアプリに含めることはできない”は、オンラインソフト作家にとって要注意。アプリ内で特定フォントでテキストを表示したいからといって、フォントファイルをOSから抜き取ってアプリやゲームに組み込んでしまってはいけません。

 古いOSには同梱されていない、比較的新しいフォントをアプリ・ゲームで利用したい場合は、Microsoftが公式に再配布しているのをユーザーに別途インストールしてもらうようにしましょう。

  • 「Windows 10 October 2018 Update」以降に同梱されている「BIZ UDフォント」は、ビジネス文書作成向けUDフォントソリューション「MORISAWA BIZ+」でも配布されている(参考記事
  • 「Microsoft Office 2016」に含まれている「游明朝」「游ゴシック」は、公式フォントパックの導入で旧バージョンでも利用可能(参考記事

 また、商用での利用に関してはMicrosoftのライセンスだけでなく、元の制作者サイドのライセンスも確認したり、場合によっては個別に確認を取った方がいいかもしれません。