やじうまの杜

レジストリクリーナーを使うのはやめて? ~Microsoftがサポート文書で呼びかけ

近年はメリットよりもデメリットが目立つように

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OSやアプリが設定を保存するレジストリ

 いささか旧聞に属する話ですが、Microsoftはレジストリクリーナーの類をWindowsで使ってほしくないのだそうです。

Microsoft makes no warranty, implied or otherwise, about the performance or reliability of third-party registry cleaning utilities.

(Microsoftはサードパーティ製のレジストリクリーニングユーティリティのパフォーマンスや信頼性に関し、なんら保証をするものではありません。)

Microsoft support policy for the use of registry cleaning utilitiesより引用

 レジストリはOSやアプリケーション、ハードウェアドライバーなどが設定を保存するデータベースです。レジストリを適切に扱わないアプリやOS機能があるとき、OSを長く使い続けるとパフォーマンスが低下したり、不具合が発生することがあります。それをワンクリックで調整し、無駄なデータがあれば削除して、システムのパフォーマンスを最適化しようというのがレジストリクリーナーです。

 しかし、OSやアプリケーションは外部のツールがレジストリを編集することを普通は想定していません。意図しない操作が行われるとシステムの安定性が損なわれる可能性もあります。たとえば、Microsoftは以下の副作用を挙げ、レジストリクリーナーに懸念を表明しています。

  • CPUの過剰な使用
  • 起動時間やシャットダウン時間の延長
  • アプリケーションの機能低下
  • ランダムなクラッシュやハングアップ
  • クラッシュによりデータが正常に保存されず、壊れたり、失われる

 OSの内部ではシステムやアプリ、ハードウェアが複雑に絡み合っているため、レジストリの破損による影響の範囲を特定したり、原因を究明するのは困難になります。また、もしデータ損失がOSの重要なファイルで発生すれば、最悪の場合、OSが起動できなくなります。結局のところ、OSを再インストールするしか解決策はなくなるわけです。

 かつてはPCのリソース(CPU、メモリ、ストレージなど)が貧弱で、少しでも最適化してパフォーマンスを上げたいというニーズがありました。また、アプリケーション側もOSの作法を守らず、インストールやアンインストールでゴミデータを残したり、システムに悪影響を与えるものが少なからずありました。そういった場合、レジストリクリーナーの導入で一定の効果が見込めたのも事実です。

 しかし、最近のPCは十分なリソースがあり、無理な“最適化”を行わなくても十分なパワーがあります。また、OSやアプリケーションも日々の改善により堅牢になりつつあります(例外は常にありますが)。たとえばストアアプリであればレジストリの書き込みは仮想化されたハイブにリダイレクトされます。要するに変なレジストリ編集をしてもシステムに悪影響が及ぶことはありません。従来よりシステムクリーナーの重要性は大きく低下し、メリットよりもデメリットが目立つようになったのです。

 もっとも、最近のレジストリクリーナーはシステムクリーナーも兼ねています。ジャンクファイルの削除や古いアプリケーションの更新を促す機能なども付属しており、その点ではまだまだ有用であるといえるでしょう。Microsoftはレジストリクリーナーの利用をサポートせず、積極的に推奨しないものの、あえて利用する場合は導入する前に製品をよく調査し、信頼できるデベロッパーのアプリのみをダウンロード・インストールするように呼び掛けています。とくにインターネット広告で“システムの性能が低下しているから今すぐクリーンアップしないといけない!”などとユーザーを脅す類のアプリは確実に詐欺ソフトなので注意しましょう。

 また、こうした製品を利用する場合はあらかじめバックアップを取り、OSの復元ポイントを作成して、問題が発生した時にロールバックできるようにすべきです。システムクリーナーのなかには、こうした手順を自動で行ってくれるものがあるので活用するとよいでしょう。