クリエイターが知らないと損する“権利や法律”
商業流通って実はすごい
~第7章:作品を発表するときに気をつけること~
2016年9月13日 07:20
オンラインソフト作者に限らず、あらゆるクリエイターが創作活動を続けるために、著作権をはじめとして知らないと損する法律や知識はたくさんある。本連載では、書籍『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』の内容をほぼ丸ごと、三カ月間にわたって日替わりの連載形式で紹介。権利や法律にまつわる素朴な疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えする。
前回掲載した“創作の適正な対価とは”の続きとして、今回は“商業流通って実はすごい”というテーマを解説する。
商業流通って実はすごい
デジタル化やネットワーク化が進んできたとはいえ、これまで出版社やレコード会社などが果たしてきた役割は、非常に大きいものがあります。
個人の力だけで、全国津々浦々まで物を流通させるなんて、不可能ですから。
確かに。
作品の品質や認知の向上、運搬、販売には、実は相当な労力が必要なのですよ。
中抜きなどと批判されることもありますが、『媒介者』の重要な機能は色々と考えられますよね。
そりゃそうですよね。
1冊の本にどれだけのプレイヤーが関わっているか、考えてみましょう。
著者、編集、校正、校閲、イラスト、デザイン、組版、印刷、製本、営業、広告、取次、物流、販売……1人で全部できますか?
無理です……。
ですよね。ただ、時代の変化とともに、必要とされなくなった役割もあります。
例えば昔の活版印刷には、活字を拾う職人が必須でした。
今は環境の変化が急すぎるので、従来型のプレイヤーが対応しきれなくなっているのも事実です。
消えていった職種って、いっぱいあるんでしょうね。
先ほど、1950年代に『娯楽の王様』と言われていた映画業界が、1960年代にテレビが普及したことによって急速に衰退した、という話をしましたね。
でも、結局映画は絶滅せず、今でも隆盛を誇っています。
あ、確かにそうですね。
要は、これまでのやり方に固執せず、変化に対応できるかどうかなのですよ。
以前は『恐竜は環境の激変に対応できずに絶滅した』と言われていましたが、実は恐竜の子孫はいまも世界中に生息している、というのが現在の定説です。
あ、知ってます。恐竜の子孫は鳥なんですよね。
そう。鳥のようになれるといいですね。
次回予告
今回の続きとして次回は“電子出版権ができたってさ”というテーマを解説する。
原著について
『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』
(原著:鷹野 凌、原著監修:福井 健策、イラスト:澤木 美土理)
クリエイターが創作活動するうえで、知らないと損する著作権をはじめとする法律や知識、ノウハウが盛りだくさん! “何が良くてダメなのか”“どうやって自分の身を守ればいいのか”“権利や法律って難しい”“著作権ってよくわからない”“そもそも著作権って何?”といった疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えします!