はんこレス実現への基礎知識

電子サインには2種類あるって知ってた?

「電子印鑑」と「電子署名」ではぜんぜん違う

 本連載では、3月3日に発売された“脱はんこ”を実現するためのノウハウが身に付く書籍『できるはんこレス入門 PDFと電子署名の基本が身に付く本』から、“脱はんこ”の実現に必要となる基礎的な知識が身に付くレッスンを抜粋してお届けします。書籍ではさらに具体的に主要な電子署名サービスの利用方法などを細かく解説しているので、ぜひご購入ください。

 「はんこレス」の第一歩は、「はんこ」の代わりになる新しいしくみについて知ることです。「電子印鑑」と「電子署名」の2つのしくみを見てみましょう。

電子的な「はんこ」の種類

「はんこ」の見た目を電子的に実現する認印「電子印鑑」

はんこを画像にして、書類に貼り付ける

 「電子印鑑」はひと口に言えば、印影の画像ファイルです。「はんこ」の見た目である「印影」を画像ファイルとして、スキャナーやWebサービスを使い、自分で作成して、文書に貼り付けることができます。どんな文書にも使えて手軽ですが、その電子印鑑が本当に本人のものなのか、電子印鑑が貼り付けられた文書の内容が契約後に改ざんされていないかを証明することは困難です。どちらかというと、文書の内容確認したという意味で押す「認印」として社内の回覧などに使うのに適しています。

【HINT!】そもそも「はんこ」がなくても問題ない

 そもそも契約は「はんこ」がなくても成立します。また、令和2年6月19日に内閣府、法務省、経済産業省から発表された「押印についてのQ&A」でも「特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。」と公表しています。ただし、法的に有効であっても、契約違反などで法廷闘争となった場合、その証拠として証明のしやすさが方式によって異なります。

「はんこ」の役割を電子的に実現する「電子署名」

 電子署名は「はんこ」の見た目ではなく、その実質的な役割を電子的に実現できる技術です。「はんこ」には、「押した人が本人であること(本人性)」や「文書の内容が変わっていないないこと(非改ざん性)」を証明する役割がありますが、それを電子的なしくみを使うことで実現します。

 オンラインでの確定申告や登記などでもすでに使われているしくみですが、最近では銀行のローン申請、企業間取引、各種契約などにも活用が進んでいます。「電子署名」には、前掲の表のように、誰の証明書を利用するかの違いによって、「クラウド型(立会人型)」と「ローカル型(当事者型)」の2種類があります。

文書に電子証明書で署名されている
【Point】2種類の電子署名のうち主流は「クラウド型」

 電子的な「はんこ」にはいろいろな種類があります。社内の業務だけに使うなら「電子印鑑」でかまいませんが、対外的な契約に使うのであれば、「電子署名」が必要です。

 なかでも現在の主流となりつつあるのは、「クラウド型」(立会人型とも呼ばれる)です。ローカル型のように、自分の証明書をあらかじめ用意しておく必要がないうえ、署名をするために特別な機器を用意する必要もありません。もちろん、法的な有効性も公表されています。このため、『できるはんこレス入門 PDFと電子署名の基本が身に付く本』では手軽に利用でき、有効性の高い「クラウド型電子署名サービス」を中心に解説します。