正式リリース間近! 新機能・改善盛りだくさんの「Windows 10 May 2020 Update」

第3回

日本語入力にも大幅なテコ入れ? 「May 2020 Update」に導入された入力関連の改善

「Windows 10 May 2020 Update(バージョン 2004)」

 「Windows 10 May 2020 Update(バージョン 2004)」の新機能と改善点を紹介する本特集。第3回となる本稿では、入力関連の改善に焦点を当てる。とくに日本語入力は日常の使い勝手に直結する。長く期待されていただけに、注目の改善といえるだろう。

「設定」アプリの[時刻と言語]-[言語]セクションにサマリーアイコンが追加

 それではまず「設定」アプリを開き、日本語入力などの設定がまとめられた[時刻と言語]-[言語]セクションを開いてみよう。“Windows の表示言語”の上にいくつかのアイコンが追加されているのがわかるだろう。これは「May 2020 Update」から追加された要素で、Windowsの表示言語、アプリとWebサイトの表示言語、キーボードのレイアウト、音声認識の言語など、OSの言語設定をまとめてチェックできる。

「設定」アプリの[時刻と言語]-[言語]セクションにサマリーアイコンが追加

 また、言語を追加する際はオプションの依存関係がインデントで表現されるようになったほか、必須のオプションが“必要な言語機能”欄に明記されるようになった。インフォメーションボタンをクリックすればそれぞれのオプションの役割がポップアップで説明されるなど、従来のインストール画面と比べるとかなり親しみやすくなっているのがわかる。

言語を追加する際はオプションの依存関係がインデントで表現されるように

新設計の「Microsoft IME」はカスタマイズが簡単

“優先する言語”欄。日本語のオプション画面へアクセスできる

 続いて、このセクションを下にスクロールして“優先する言語”欄へ進み、“日本語”の[オプション]ボタンを押して「Microsoft IME」の設定画面へ進もう。

「Microsoft IME」の設定画面

 実は「May 2020 Update」には新設計の「Microsoft IME」が搭載されており、オプションはすべてこの画面に集約されている。少しメニュー階層は深いが、タスクトレイの「Microsoft IME」アイコンを右クリックすれば、メニューからダイレクトにアクセスできるのであまり問題にならないだろう。

タスクトレイの「Microsoft IME」アイコンを右クリックすれば、メニューからダイレクトにアクセスできる

 ちなみに、従来の「Microsoft IME」の設定画面は[プロパティ]ダイアログと[詳細設定]ダイアログの2段構えになっていた。それに比べれば随分シンプルになったといえる。

従来のバージョンではタスクトレイのアイコンを右クリックして、[プロパティ]メニューを選択……
さらに[詳細設定]ダイアログへアクセスする必要があった

 また、キーの割り当て設定もかなり簡素化された。たとえばIMEの切り替えをMacのように[Ctrl]+[Space]キーで行いたいなら、[キーとタッチのカスタマイズ]ページで簡単に有効化できる。従来の「Microsoft IME」でも不可能ではないが、かなり煩雑な手順が必要とされた。OSをセットアップするたびにこれを行うのは大変苦痛で、デフォルトのキーバインドを甘受していたユーザーは少なくないと思うが、「May 2020 Update」ならば手軽にカスタマイズできる。

[キーとタッチのカスタマイズ]ページで簡単にキーの割り当てをカスタマイズ
従来の「Microsoft IME」でも不可能ではないが、かなり煩雑な手順が必要とされ苦痛

 さらに、一部のユーザーから熱い支持をあつめる「IME ツールバー」も手軽に有効化できるようになった。[デザイン]ページまたはタスクトレイの「Microsoft IME」アイコンの右クリックメニューからON/OFFを切り替えられる。

「IME ツールバー」も手軽に有効化

 「May 2020 Update」はこうした設定画面の見直しだけでなく、パフォーマンスや安定性の向上も図られている。変換ウィンドウのデザインにもいくつか手が入れられているので、違いを探してみても面白いだろう。

パフォーマンスや安定性も向上。変換ウィンドウのデザインにもいくつか手が入れられている

 ただし、新設計であることもあり、古いアプリでは互換性に問題が生じることも考えられる。どうしても新しい「Microsoft IME」では作業に差し支えるならば、[全般]ページの“互換性”欄で元の「Microsoft IME」へ戻すことも可能。以前のバージョンへ戻すにあたり、OSの再起動などは不要だ。

どうしても新しい「Microsoft IME」では作業に差し支えるならば、[全般]ページの“互換性”欄で元の「Microsoft IME」へ戻すことも

 ただし、古いIMEへ戻すと「フィードバック Hub」アプリが起動して、理由を問われる。日本語IMEの不具合は日本語ユーザーが報告しない限り、改善されることはほぼない。フィーリングが合わなかった、などの理由でも構わないので、できるだけ具体的に回答してほしい。IMEの問題や改善案に関しては、日本のWindows開発チームが重点的にモニタリングしているようなので、合理的だったり説得力のあるフィードバックであれば採用の可能性は比較的高い。

絵文字パネルで入力可能な顔文字が拡充

 さて、「May 2020 Update」では日本語以外の東アジア言語の入力システムで多くの改善が施されているが、それは割愛して、絵文字パネルのアップデートを紹介しよう。

「May 2020 Update」の絵文字パネル

 絵文字パネルは絵文字や顔文字、記号の入力を支援する機能で、[Windows]+[.]キーなどで呼び出せる。「May 2019 Update」から導入されているものだが、「May 2020 Update」ではこれが拡充され、以下の絵文字がサポートされた(“¥”はバックスラッシュ)。

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 IMEで変換してもよいが、変換ウィンドウが顔文字だらけになるのは避けたいところだ。もともとはIMEのない言語でも絵文字・顔文字・記号の入力を手軽にするための機能だが、日本語環境でも便利なのでぜひ活用してほしい。

そのほか

 日本語IMEや絵文字パネルのほかにも、ペン入力向けのユーティリティ「インク ワークスペース」にも変更が加えられている。以前に比べて随分簡素化されていることがわかるだろう。なお、この変更は「20H1」で導入されたが、「May 2020 Update」より前のバージョンでも利用できるようだ。