「May 2019 Update」でWindows 10はさらに便利に

第4回

OSの基本機能の強化 ~絵文字パネル、クリップボード履歴、スクリーンショット、ゲーム

「May 2019 Update」のクリップボード履歴パネル

 「Windows 10 May 2019 Update(バージョン 1903)」の新機能を紹介する本特集。第4回となる本稿では、前回紹介しきれなかったOSの改善にスポットライトを当てたい。

文字入力

 「May 2019 Update」ではUnicodeの“Emoji 12.0”がサポートされた。[Windows]+[.]キーを押すと現れる絵文字パネルで、簡単に入力することが可能だ。

“Emoji 12.0”をサポートした絵文字パネル

 また、絵文字パネルで“顔文字”や“記号”の入力がサポートされたのも大きな改善点といえる。絵文字・顔文字・記号は、日本語入力システムの変換やタッチキーボードを使って入力することもできるが、専用の絵文字パネルを使った方が手軽だ。「May 2019 Update」の製品版(RTM)には搭載されなかったようだが、将来的には検索機能の導入も予定されているので期待したい。

絵文字パネルで“顔文字”の入力がサポート
日本語入力システムの変換やタッチキーボードを使わなくても“記号”の入力が可能

 そのほかにも、タッチキーボードでも入力ミスを減らすための改善が行われた。ユーザーの入力スタイルを学習して、次に入力するキーを予測し、各キーの当たり判定を動的に調整することでタイプミスを減らす。また、タッチキーボードがデスクトップ下部へドッキングされた場合に、テキストフィールドを覆い隠さないようにするための改良も加えられているという。

ユーザーの入力スタイルを学習して、次に入力するキーを予測し、各キーの当たり判定を動的に調整

クリップボード

「October 2018 Update」で導入されたクリップボード履歴パネル([Windows]+[V]キー)

 「October 2018 Update」ではクリップボードの履歴を再利用したり、他のデバイスと同期する機能が追加された。わざわざオンラインソフトを導入しなくても、[Windows]+[V]キーで簡単にアクセスできるのが便利だ。

「May 2019 Update」のクリップボード履歴パネル

 「May 2019 Update」では、ユーザーからのフィードバックを反映して、クリップボードの履歴パネルのデザインが若干変更された。より多くの履歴を一度に表示できるようになったほか、メニューのデザインも変更されている。

より多くの履歴を一度に表示できるようになったほか、メニューのデザインも変更

スクリーンショット機能

 「Snipping Tool」の代替を図って強化が続けられているスクリーンショット機能では、選択したウィンドウ領域を撮影するモードが導入された。[Windows]+[Shift]+[S]キーを押すとデスクトップが暗転し、撮影モードを選択できるようになるが、「May 2019 Update」では[デスクトップ全体][選択した矩形][フリーハンドで選択した領域]に加え、[ウィンドウの領域切り取り]が選択できるようになっている。

[ウィンドウの領域切り取り]オプション

 この改善により、「Snipping Tool」の機能はほぼ[Windows]+[Shift]+[S]キーと「切り取り領域とスケッチ」アプリで代替できるようになった。折を見て移行を進めることをお勧めする。

ゲーム バー

 「May 2019 Update」では、詳細不明ながらゲームのパフォーマンスを改善する仕組みが導入されている。チート防止ツールとの非互換性問題が目下不安視されているが、その問題が解消されれば“ゲームをプレイするならば「Windows 10 May 2019 Update」!”となるのかもしれない。

 また、システムの改善とは別に「ゲーム バー」([Windows]+[G]キー)でもいくつかの改善が行われている。たとえば、新設のギャラリー機能を利用すれば、最近「ゲーム バー」アプリで撮影したスクリーンショットやビデオを一覧することが可能。メディアを“Twitter”への投稿するのも簡単だ。

最近「ゲーム バー」アプリで撮影したスクリーンショットやビデオを一覧するギャラリー機能

 さらに、次世代の「ゲーム バー」も現在テスト中だ。新しい「ゲーム バー」は画面全体をおおったオーバーレイスタイルで、「Spotify」アプリによる音楽再生、ミーム(テキストを追加して面白おかしく加工した画像)の作成、ゲーム仲間とのチャットなどをサポートする。それぞれのウィジェットは並び替えや削除が可能で、自分の使いやすいようにカスタマイズすることが可能だ。

現在テスト中の「ゲーム バー」

 なお、テストへの参加方法は過去記事を参照のこと。ギャラリー機能や次世代の「ゲーム バー」は「October 2018 Update」でも体験できる。

マルチメディアへの対応

 Windows 10はRAWフォーマット(デジタルカメラで撮影した未現像の画像ファイル)の一部が標準でサポートされており、「フォト」アプリでの閲覧や「エクスプローラー」でのサムネイル表示が可能だ。しかし、コーデック対応の実装がOSに埋め込まれていると、改善や拡張が難しくなる。

「Raw Image Extension」をベータ提供

 そこで、「May 2019 Update」ではRAWフォーマットをサポートするコーデックパッケージが“Microsoft Store”で提供されるようになった。この「Raw Image Extension」はまだベータ版という扱いだが、これまでサポートされていなかったRAWイメージもプレビューやサムネイル表示、カメラのメタデータ表示できるようになる。また、“Windows Imaging Component(WIC)”フレームワークを利用する他のアプリでもフル解像度でRAWイメージを扱えるようになる。

「エクスプローラー」の詳細ビューでAVIF画像のサムネイルを表示

 また、コーデックに関連の改善として、「AVIF」のサポートも忘れてはならないだろう。「AVIF(AV1 Still Image File Format)」は、「AV1」コーデックを静止画に応用したフォーマット。「AV1 Video Extension」をインストールしておけば、「エクスプローラー」の詳細ビューでAVIF画像のサムネイルを表示できる。

タスク マネージャー

 昨今のモニターは高精細化が進んでおり、描画のスケーリング(拡大)設定が既定で125%や150%に設定されていることも珍しくなくなった(高DPI環境)。しかし、アプリケーション側がきちんとモニターのスケーリング設定の検知に対応していないと、ウィンドウやコントロールが小さすぎて快適に操作・閲覧できないこともある。

「May 2019 Update」の「タスク マネージャー」はアプリが高DPIへ対応しているかどうかを確認する機能を搭載

 そこで「May 2019 Update」の「タスク マネージャー」には、アプリが高DPIへ対応しているかどうかを確認する機能が追加された。[詳細]タブで“DPI 対応”というカラムを有効化すると、アプリケーションがモニターのスケーリング設定を検知できるかどうかを示すフラグをチェックできる。

  • 非対応:高DPI環境に対応していない。システム側で自動的に拡大処理が行われるため操作は可能だが、ボヤけた表示になる
  • システム:高DPI環境に対応するが、スケーリング設定の異なるモニターが混在した環境には対応していない。セカンダリーモニターでは表示がボケることがある
  • モニターごと:スケーリング設定の異なるモニターが混在した環境にも対応する
  • モニターごと(v2):「Windows 10 Creators Update」で導入。DPIの変更がトップレベルウィンドウだけでなく子ウィンドウ(コントロール)にも通知される

 従来のWindows 10でこうした情報を確認するには、「Process Explorer」といったプロセス管理ツールを別途導入する必要があったが、「May 2019 Update」でサポートされているので手軽だ。