「May 2019 Update」でWindows 10はさらに便利に
第3回
“ライト”モードを導入 ~シェルの改善
2019年5月1日 11:00
「Windows 10 May 2019 Update(バージョン 1903)」の新機能を紹介する本特集。第3回となる今回は、デスクトップに関連する改善をまとめた。「May 2019 Update」では[スタート]メニューや“アクション センター”などにも多くの手が入れられている。
2つのモード×2つのテーマ
「May 2019 Update」ではさまざまな改善が施されているが、なかでも目玉となるのが、システムワイドな“ライト”モードが新たに導入されたことだろう。
「Windows 10」は従来より“白(ライト)”と“黒(ダーク)”という2つのカラーモードを備えており、[設定]アプリの[個人設定]-[色]セクションで切り替えられた。しかし、このカラーモードの切り替えが反映されるのは対応する“アプリ”部分だけで、タスクバーや[スタート]画面、“アクション センター”といった“システム”部分は標準の黒を基調としたデザインのまま変更できなかった。
「May 2019 Update」ではこれが改善され、システムにもライトテーマを適用できるようになった。“Windows モード”と“アプリ モード”のそれぞれで“白”と“黒”の2つが選べるので、合計で4通りの組み合わせを楽しむことができる。
なお、“Windows モード”と“アプリ モード”をそろえた場合は、[個人設定]-[色]セクションにおける色(テーマ)の選択がプルダウンメニュー(白・黒・カスタム)になるが、“カスタム”を選択すれば従来のラジオボタンによる切り替えが可能となる。
[スタート]メニュー、検索、Cortana
また、Windowsの検索ボックスと[スタート]メニュー、“Cortana”が分離されたのも大きな変更点といえるだろう。「May 2019 Update」で検索機能([Windows]+[S]キー)を利用すると、アップデートされた検索画面にアクセスできる。[Windows]キーを押してキーボードで検索キーワードを入力した場合も、従来のWindows 10とは異なり、[スタート]メニューの代わりに新しい検索画面へ切り替わるようになっている。
新しい検索画面を開くと、普段よく使う“上位のアプリ”や“最近のアクティビティ”へすばやくアクセスすることが可能。検索キーワードを入力すると、それに合致するアプリやドキュメント、メール、Web検索のキーワード候補などがリストアップされる。画面上部のヘッダーをクリックすれば、検索候補を特定のジャンルへ絞り込むことも可能だ。
また、ファイル検索機能“Windows サーチ”そのものが強化されていることにも注目したい。ドキュメント、写真、ビデオおよびデスクトップのみに検索対象を絞った既定のモードに加え、すべてのフォルダー・ドライブを検索する“拡張”モードが利用できるようになっている。
一方、[スタート]メニューではグループやフォルダーのピン留めを外す機能が追加された。不要なタイルをグループごと削除したり、削除したいタイルをフォルダーにまとめて一括で除去することができる。[スタート]メニューのレイアウトもシンプルになり、OSをクリーンインストールした場合はタイルグループが1列のみとなる。かつての[スタート]メニューのデザインへ近づいたといえるだろう。
また、パフォーマンス面でのテコ入れも行われている。「May 2019 Update」ではスタートメニューのプロセスがシェルのプロセス(ShellExperienceHost.exe)から分離され、独自のプロセス(StartMenuExperienceHost.exe)となった。これはシェルが不安定になってもスタートメニューの応答性を損ねないようにした工夫だが、デバッグが容易になるなどのメリットもあるという。
より便利になった“集中モード”
日本ではあまり普及しているとはいいがたいパーソナルアシスタント“Cortana”だが、「May 2019 Update」を使っていて1つ便利だと感じたのが“集中モード”だ。
“集中モード”は特定条件下でトースト通知を一時的に抑制する機能で、これまでは以下の自動規則を指定することができた。
- 次の時間帯(毎日・平日・休日を指定可能)
- ディスプレイを複製しているとき(プレゼンテーション中など)
- ゲームをプレイしているとき(全画面表示のDirectXゲームで有効)
- 自宅にいるとき(“Cortana”にあらかじめ住所を教えておく必要がある)
「May 2019 Update」ではこれに加え、“アプリを全画面表示モードで使用しているとき”を条件に加えることができるようになった。ディスプレイを占有して1つのアプリだけを利用しているときは、たいてい1つの作業に集中したい場合であろうから、この改善は理にかなったものだ。アプリの全画面表示を解除すれば、作業中に受け取った通知を“Cortana”がまとめて知らせてくれる。
カスタマイズ性が向上した“アクション センター”
「May 2019 Update」の“アクション センター”には、輝度を変更するスライダーコントロールが追加された。わざわざ「設定」アプリにアクセスしなくても、画面下部の“クイック アクション”パネルを展開すれば、スライダーで簡単にディスプレイの輝度を調節できる。
また、“クイック アクション”のカスタマイズ性も向上した。ボタンの右クリックメニューから[クイック アクションの編集]コマンドを実行すると、新しいアクションをパネルに追加したり、不要なアクションをパネルから取り除くことができる。前述の輝度スライダーも不要ならば取り除くことが可能だ。
「設定」アプリの拡充
また、「設定」アプリにもさまざまな改善が加えられた。“Windows Update”関連の設定がわかりやすくなったのは第1回で述べたので割愛するとして、それ以外に主だった変更を紹介して、本稿を締めることにしよう。
[個人設定]-[フォント]セクション
Windows環境でシステムにフォントファイルをインストールするには以下の方法が利用できる。
- ファイルをダブルクリックしてフォントビューワーを開き、[インストール]ボタンを押す
- ファイルの右クリックメニューで[インストール]コマンドを選択する
- ファイルを“フォント”フォルダー(shell:fonts)へコピーする
- “Microsoft Store”からインストールする(「April 2018 Update」以降)
これに加え、「May 2019 Update」では「設定」アプリへのドラッグ&ドロップでもフォントをシステムにインストールできるようになった。インストール済みのフォントを管理できるだけでなく、新しいフォントの追加も[個人設定]-[フォント]セクションで行えるようになったわけだ。
[アカウント]-[サインイン オプション]セクション
「May 2019 Update」はパスワードレスサインインをサポートするなど、認証関連でも多くの改善が施されている。
これに合わせてか、[アカウント]-[サインイン オプション]セクションのデザインも刷新された。各オプションは“Windows Hello 顔認証”、“Windows Hello 指紋認証”、“Windows Hello 暗証番号”といったわかりやすい見出しに加え、簡単な説明文が添えられる。サインインオプションを選択するとセクションが展開され、[セットアップ]ボタンなどにアクセスすることが可能。オプションが利用できない場合は、その理由が赤字で明記されるのもわかりやすい。
“Windows Hello”は安全で手軽な認証方法だ。まだ利用していないユーザーは、これを機にチャレンジしてみてはいかがだろうか。
[時刻と言語]-[日付と時刻]セクション
少し細かい話になるが、「May 2019 Update」では「設定」アプリでシステムの日時とタイムサーバーの日時を手動同期できるようになった。これまでは「コントロール パネル」の階層を奥深くたどる必要があったが、「May 2019 Update」ではその必要はなくなる。
[更新とセキュリティ]-[Windows Insider Program]セクション
また、“Windows Insider Program”の設定ページも改善されている。新しいデザインはシンプルで、自分がどのリングに参加しているのかが明確だ。
先送りされた改善
なお、テストされていたホーム画面のデザイン変更は、RTMには導入されなかった。“Microsoft アカウント”のオンライン設定画面との共通化を図ったものだったが、まだ改善すべき点があったようで、次期機能アップデートへの持ち越しとなった。