「May 2019 Update」でWindows 10はさらに便利に
第5回
「May 2019 Update」で強化されたWindows 10向けアプリ
2019年5月3日 11:00
「Windows 10 May 2019 Update(バージョン 1903)」の新機能を紹介する本特集。第5回となる本稿では、Windows 10向けに提供されているMicrosoft製アプリの改善に焦点を当てる。一部の新機能は、アプリのアップデートを行っていれば「October 2018 Update」など旧バージョンでも利用可能だ。
新しい「Office」アプリ
「Office」アプリは、これまで提供されていた「My Office」アプリに代わる新しいハブツール。各種「Office」アプリを起動するランチャーアプリとして機能するほか、最近利用したドキュメントの一覧ツールとしても利用できる。よく利用するドキュメントをピン留めしたり、他のユーザーと共有しているドキュメントをリストアップすることも可能だ。
このアプリは「May 2019 Update」のプレビュー版でテストされていたが、利用そのものはそれ以前のバージョンのWindows 10でも可能だ。また、“Office 365”サブスクリプションを購入しているユーザーだけでなく、「Office 2019」や「Office 2016」といった買い切りライセンスのユーザー、無償の“Office Online”のユーザーも利用できる。
アプリのデザインは“Office.com”とほぼ共通だが、クラウドストレージ(OneDrive)上にないローカルドキュメントを扱える点が、“Office.com”との違いだ。また、ローカルに「Office」アプリがインストールされていれば、“Office Online”の代わりにローカルアプリを起動するなど、ローカル環境での使い勝手にすぐれる。
メモの同期などに対応した「Sticky Notes 3.0」
OSに標準搭載されている付箋アプリ「Sticky Notes」は、「Sticky Notes 3.0」で大きく改善された。
まず注目したいのが、“Microsoft アカウント”でメモを同期できるようになったことだろう。複数のWindows 10デバイスでメモを共有できるようになった利便性はもちろん、付箋の内容を分散保存して失わないようにするバックアップ機能としても心強い。
また、Windows 10だけでなく、WebやAndroid端末との相互運用性も改善された。同期したメモは“www.onenote.com/stickynotes”や、同社がAndroid向けに提供しているホーム画面アプリ「Microsoft Launcher」からも閲覧・編集可能。将来的には「OneNote」との連携も可能となる予定で、すでにAndroid版ではその機能をプレビューできる。
そのほかにも、作成したメモを管理するためのホーム画面が追加された。このホーム画面では、あちこちに散らばったメモを一覧できるほか、キーワードで付箋をフィルタリングすることが可能。一時的に“非表示”にした付箋にもアクセスできる。
また、書式ツールバーの導入や“ダーク テーマ”のサポートなど、パフォーマンスやデザイン、アクセシビリティの改善が図られている(メモへの画像添付も将来バージョンでサポートされる予定)。
もう機能が足りないなんて言わせない!「Microsoft To-Do」
最近アップデートによる機能拡充が著しいMicrosoftアプリといえば、「Microsoft To-Do」を挙げなければならないだろう。
- v1.39:手書き入力をサポート
- v1.49:ファイルをタスクへ添付する機能が追加(25MB以内)
- v1.51:マルチアカウントログインをサポート
- v1.52:フラグを設定した“Outlook”メールをタスクとして自動インポートする機能を導入
なかでも、リストに直接ペンで手書きしてタスクを追加できる手書き入力機能は、キーボードのないタブレット端末で役立つ。
従来の「Microsoft To-Do」はシンプルさが売り……といえば聞こえはいいが、若干機能不足の感があった。しかし、最近の「Microsoft To-Do」は「メール」「カレンダー」アプリからの切り替えが可能となったり、オンライン版“Outlook”や「Skype」との連携も強化されるなど、利便性が大いに向上している。まだ使ったことのないユーザーはぜひ試してみるとよいだろう。
「スマホ同期」
「October 2018 Update」「April 2018 Update」で導入された「スマホ同期」は、PCからスマホの写真やSMSへアクセスできるようにする便利なアプリだ。スマホをカバンやポケットの中に入れたまま、写真を取り出してブログに貼り付けたり、送られてきたメッセージへ返信することができる(キーボードで入力できるのが便利!)。
「May 2019 Update」では、この「スマホ同期」アプリがさらにブラッシュアップされ、スマホの画面をミラーリングする機能“スマートフォンの画面(Phone screen)”がプレビュー導入された。
残念ながら、現在のところこの機能をサポートするスマートフォンはSamsung製の一部端末に限られている。PC側は「May 2019 Update」と、“Bluetooth Low Energy(BLE)”の“Peripheral”ロールに対応した“Bluetooth Radio”デバイスが必要(“Surface”シリーズの場合、今のところサポートされるのは“Surface Go”のみ)。
また、Android端末はPCのBluetoothが届く範囲内にあり、かつPCと同じネットワークに接続されていなければならない。
とはいえ、PCからスマートフォンの画面を閲覧したり、キーボードやマウスで画面を操作できるのは何かと便利だ。今後のアップデートに期待したい。
モバイル通知の同期もテスト中!
Microsoftは現在、“Windows Insider Program”の「スマホ同期」アプリでモバイル通知を確認・管理する機能をテスト中だ。これが実現すれば、スマホに送られてきた通知をPCの大画面でチェックしたり、スマホをカバンやポケットに入れたまま通知の整理を行えるようになるだろう。
「フィードバック Hub」
Windows 10の問題点を指摘したり、改善を提案できるアプリ「フィードバック Hub」にもいくつかの改善が行われている。
まず、フィードバックのドラフト(下書き)を保存する機能が追加された。あってはならないことだが、万が一フィードバックの作成中に「フィードバック Hub」アプリがクラッシュしても、再度アプリを起動すれば、作成中のフィードバックを復元できる。
また、英語のフィードバックを閲覧できるようになったのも大きな改善といえるだろう。フィードバックを投稿する前に海外で同じような事例がないか調べて、必要であれば賛成票を投じることができる。
終わりに
Windows 10では多くのビルトインアプリでさまざまな改善が加えられているが、そもそもこうしたビルトインが不要だったり、邪魔に感じることもあるだろう。「May 2019 Update」ではこの点も改善されており、削除可能なビルトインアプリが拡充されている(* 印付きは以前のバージョンから削除可能)。
- 「Microsoft Solitaire Collection」*
- 「My Office」*
- 「OneNote」*
- 「Print 3D」*
- 「Skype」*
- 「Microsoft ヒント」*
- 「MSN 天気」*
- 「3D Viewer」(旧称:「Mixed Reality Viewer」)
- 「Windows 電卓」
- 「メール/カレンダー」
- 「Groove ミュージック」
- 「映画 & テレビ」
- 「切り取り領域とスケッチ」
- 「Microsoft Sticky Notes」
- 「Windows ボイス レコーダー」
ディスクドライブに空きがない場合や、少しでもアプリを削ってリソース消費を抑えたい場合は有効かもしれない。なお、ストアアプリのアンインストールは[スタート]画面の“タイル”やリストの右クリックメニューで[アンインストール]コマンドを選択するのが一番簡単だ。