え、こんな機能が? Windows 10のマイナー機能を活用しよう!

第2回

ソフトの不具合を報告したいけど発生手順を説明するのが面倒 ~操作を自動記録する方法

不具合の再現手順を記録して開発者と共有するためのツール「ステップ記録ツール」

「ステップ記録ツール」

 「Windows 10」の知られざる便利機能をピックアップする本連載。第2回となる今回は、作業手順をスクリーンショットとともに記録できる「ステップ記録ツール」を紹介する。

不具合の再現手順を記録する「ステップ記録ツール」

 「ステップ記録ツール」はWindows 7以降のOSに搭載されている標準ツールで、「メモ帳」や「ペイント」などとともに、アプリケーション一覧の“Windows アクセサリ”フォルダーに収められている。目にしたことがある気はするが、実際には使ったことはないといったユーザーが大半なのではないだろうか。

アプリケーション一覧の“Windows アクセサリ”フォルダーに収められている「ステップ記録ツール」

 このツールは、その名の通りOSを操作した際の“ステップ(Step:歩み、手順)”を記録する。主に不具合の再現手順を記録して、開発者と共有するためのツールだ。

 利用するには、まずデスクトップをキレイに掃除しよう。ファイルやフォルダーを整理して、[Windows]+[D]キーなどでアプリケーションをすべて最小化しておくとよい。次にターゲットとなるアプリと「ステップ記録ツール」を起動する。これで準備は完了。あとは「ステップ記録ツール」の[記録の開始]ボタンを押して、ターゲットアプリを操作、不具合を再現させればよい。ステップの記録中は、マウスのクリックでカーソル位置に赤い丸が表示される。

 途中、[コメントの追加]コマンドを利用すると、デスクトップを矩形選択してキャプチャーし、コメントを追加することが可能。単にステップを記録するだけでなく、開発者にとくに注目してもらいたいことがあれば、この機能を利用してコメントを残しておくのが親切だろう。

[コメントの追加]コマンド

 作業が完了したら、[記録の停止]ボタンを押してステップの記録処理を終了させる。すると、記録された内容がウィンドウに表示される。レポートにはいつ、どのコンポーネントで、どんなマウス・キーボード操作を、どんな順番で行ったのかを、デスクトップのスクリーンショットとともに記録されているのがわかる。問題が発生したOSのバージョンもしっかり記載されるのも、開発者の役に立つはずだ。

記録されたレポート
記録したステップをスライドショー表示することも可能

 実はこのレポートは、HTMLドキュメントやそれに含まれる画像などのコンテンツをひとまとめにした“MHTML”形式になっている。閲覧できる環境こそ制限されるものの、ファイルが1つになるため扱いやすい。Windows環境の場合、「Internet Explorer」さえあれば開くことができるので、Windowsアプリケーションの開発者に送る分には問題ないだろう。[保存]コマンドを利用するとMHTMLドキュメントがZIP形式で圧縮・保存されるので、メールなどで開発者と共有しよう。

 なお、初期設定ではスクリーンショットの最大記録枚数が25に制限されている。レポートが過度に肥大化しないための配慮だが、これでは足りないという場合は制限を緩和しておくとよいだろう。「Windows 10」の場合は、最大999まで増やせるようだ。

設定画面

「ステップ記録ツール」の弱点

 さて、このように手軽に操作手順を記録できる「ステップ記録ツール」だが、なにぶん古いアプリのためいくつかの弱点を抱えている。

 まず、マルチモニター環境のサポートが貧弱だ。たとえば[コメントの追加]コマンドを実行すると、セカンダリモニターで矩形選択をしたにもかかわらずプライマリモニターの領域が選択されてしまう。マルチモニター環境での不具合報告には実質利用できない。

 また、高DPI環境をサポートしていないのも欠点といえる。スケーリング設定が200%などに設定されているデスクトップでは、「ステップ記録ツール」ツールが小さく表示され、非常に操作しづらい。今後の改善に期待したい。