年末企画

編集部員の“今年のお気に入り”

今年1年間で各編集部員がもっとも気に入ったソフトを紹介

 オンラインソフトの情報を、毎日お届けしている窓の杜。編集部では世界中で公開されるさまざまなオンラインソフトの情報を求めて、日夜ネットを徘徊している。そうして見つけたオンラインソフトを紹介し、読者のみなさんと感動を共有できるのが何よりの喜びだ。ここでは、今年窓の杜で取り上げたオンラインソフトのなかで、各編集部員やライターがもっとも気に入った“今年のお気に入り”ソフトをご紹介していこう。

進化を続ける一本道ローグライクRPG「蒼明の塔」

「蒼明の塔」v0.71
ゲームオーバー時はコメントつきで記録を残すことができ、さらにTwitterに投稿も可能

 “週末ゲーム”担当として、今年もさまざまなゲームをプレイした。面白かった作品は週末ゲームやレビューなどで紹介したが、とくに印象に残った作品として、ここでは一本道ローグライクRPG「蒼明の塔」(初出時のタイトルは「ソウメイのトウ」)を挙げたい。

 「蒼明の塔」は、敵がランダム生成される一本道の塔をひたすら登っていくRPG。敵を倒すと手に入る使い捨て魔法の使い所や、火、草、水という属性の三すくみなどを考慮して、先読みしながら進んで(ときには敢えて後退して)いくパズル要素の高いゲームだ。2D横スクロールの画面には必要な情報がシンプルにまとめられ、マウスだけで手軽にプレイ可能。“塔の100階まで到達する”という明解な目標があり、繰り返しプレイしながら踏破記録を伸ばしていくリプレイ性の高い作品に仕上がっている。

 本作はニコニコ動画主催のゲームコンテスト“ニコニコ自作ゲームフェス2”のエントリー作品で、窓の杜賞を進呈させていただいた。ゲームとしてのコアの部分はこの時点ですでに完成し十分遊べるものになってはいたが、グラフィックや演出面で未完成な部分もあり、今後に期待という意味も込めての授賞であった。

 その期待通り本作はその後もアップデートが続いている。画面まわりでは魔法の効果範囲が表示されるようになったり、魔法取得時にエフェクトが出るなど見栄えと共に全体的なプレイアビリティが向上しているので、当時プレイした人もあらためてプレイしてみほしい。

 また、ゲームオーバー時に画面キャプチャーとコメントをつけてツイートできるTwitter連携機能も追加。繰り返しプレイの楽しみが増している。そのほか、チュートリアルにあたる“初心者の塔”も実装され、ステージクリア型の短い塔を登りながら本作のポイントを理解できるようになった。ただし、後半にはチュートリアルというよりは“詰めローグライク”とでも言うようなガチパズル面もあるので(これはこれで面白いのだが)、ほどほどの所で切り上げて本編をプレイするのがお勧めだ。

 本記事執筆時点のバージョンは0.71。実績によるストーリーの開放などバージョン1.00に向けて引き続き開発が進められており、2014年にかけても楽しませてくれそうな作品だ。

チュートリアルにあたる“初心者の塔”

(中村 友次郎)

ほしいときにほしいところへ現れるスマートなメモ「Detekite Pad」

「Detekite Pad」

 作業中に“ちょっとこのURLをメモしておきたい”“クリップボード内のテキストをちょっと編集したい”といったことは必ず発生する。そのための付箋紙ソフトやメモ帳ソフトはさまざまなオンラインソフトが公開されており、多くの人が自分の好みのソフトを使っているだろう。

 筆者もさまざまな付箋紙ソフトやメモ帳ソフトを試したが、これぞというソフトに出会えなかった。仕事柄、常にテキストエディターを開いているため、たいていの場合はエディターの新規作成ボタンを押した方が早いのだ。ただ、筆者のデスクトップは常時10枚以上のウィンドウが開いているカオス状態のため、ほしいときにテキストエディターまでたどり着くのに少し時間がかかっていた。

 ホットキーですばやく開くメモ帳ソフト「Detekite Pad」は、まず[Ctrl]+[Tab]キーを押してテキストエディターを探し、アクティブにする手間を省いてくれた。ウィンドウがマウスカーソル付近、つまり筆者の目線が今ある場所へに現れるため、目線を移す必要もない。また、他のウィンドウがアクティブになると自動で消えてくれる。ただでさえ散らかっている筆者のデスクトップでは、これも大変うれしいところだ。

 ゴミ箱型ボタンを押せば書いた内容はすぐ消える上、4つあるボタンはサイズが大きくボタンを押し間違えないところもうまくデザインされており、メモをとる上でのストレスを軽減してくれる。今後も末永くつきあえそうなソフトだ。

(長谷川 正太郎)

“自炊”した雑誌の再編集に役立つソフト「CubePDF Utility」

「CubePDF Utility」

 “ゆるこいぶろぐ”でアナログゲームの記事を書くにあたりアナログゲーム関連の雑誌を買っているのだが、雑誌はどうしても保存するのに物理的な場所をとってしまう。そのため、筆者は断裁したのちスキャナーで取り込む、いわゆる“自炊”をして、電子書籍化している。

 電子書籍化のメリットは、物理的な保存場所が要らなくなることのほかに、自由に書籍を編集し直せることが挙げられる。筆者の購入している雑誌の場合、複数のジャンルのアナログゲームの記事が掲載されているので、注目しているジャンルの記事だけ抜き出して1冊にまとめられると、あとで参照する際にとても便利だ。

 そんな作業をする際に便利なのが「CubePDF Utility」。PDFのページ編集やセキュリティ設定などができるソフトだ。読み込んだPDFファイルのサムネイルを一覧表示できるので、特定のページを抜き出す場合はざっと内容を確認しながら、ページのサムネイルを複数選択して抽出するだけととても手軽だ。もちろん、抽出したページを別のPDFファイルに結合することもできる。

 さらにうれしいのが、複数のPDFファイルを本ソフトの複数ウィンドウで開き、選択したサムネイルをウィンドウ間でドラッグ&ドロップするだけで別のPDFファイルへコピーできること。

 18日のバージョンアップでこの機能が追加された際はすぐさま自宅で試したのだが、複数の雑誌の特定記事を1つのPDFファイルにまとめる作業が格段に楽になったので、しばらくサボっていた編集作業があっという間に片付いてしまった。筆者にとっては“自炊”に欠かせないソフトになりそうだ。

(橋本 崇史)

オンラインソフトの醍醐味を教えてくれる「Full Throttle Override」

 パソコン生活を便利にするオンラインソフトはしばしば、Windowsやハードウェアの機能・仕様を理解するきっかけにもなる。そして、それらの理解を深めれば、オンラインソフトの用途が広がることもある。そのよい例のひとつが「Full Throttle Override」だ。

CPUをフル稼働させる「Full Throttle Override」

 「Full Throttle Override」は、CPUをフル稼働させるためのツール。特定アプリケーションが起動しているときだけ自動的に、電源プランを“高パフォーマンス”へ切り替えたり、CPUの動作周波数を最大値で固定するなど、その機能は単独で見ても面白い。

 ここで気になることが、日頃設定している電源プランであり、各電源プランの仕様だ。たとえば、“高パフォーマンス”を常用している人が「Full Throttle Override」を使っても意味はなく、“バランス”でも劇的な効果は得られない。また、CPUの動作周波数を最大値で固定する機能を活用するためにはどうすればよいのか。

 このように探っていくと、「Full Throttle Override」だけでなく、Windowsやハードウェアのこともわかってくる。その後、「Full Throttle Override」を使わなくなったとしても、それを通して習得した知識は残り続ける。それこそがオンラインソフトの醍醐味なのではないだろうか。

(中井 浩晶)