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3年余りの開発を経て「Inkscape 1.0」が正式リリース ~フリーのドローソフト
テーマ機能を追加してカスタマイズ性を向上。Macで初めてネイティブ動作するバージョンに
2020年5月8日 06:30
The Inkscape projectは5月4日、オープンソースのドローソフト「Inkscape」の最新版v1.0を公開した。2017年1月にv0.92をリリースして以来のメジャーアップデートとなる。
「Inkscape」は、オープンソースで開発されているベクターイメージのエディターツール。クロスプラットフォームに対応しており、Windows/Mac/Linuxで利用可能。現在、本ソフトの公式サイトや窓の杜ライブラリから無償でダウンロードできる。Windows 10であれば“Microsoft Store”から入手することも可能。
「Inkscape 1.0」ではテーマ機能がサポートされ、ユーザーインターフェイスを隅々までカスタマイズできるようになった。最近のアプリでは当たり前となりつつあるライトテーマとダークテーマの切り替えはもちろん、アイコンの色や大きさ、フォントなども変更できる。ビルトインのテーマも5つ用意されており、プルダウンメニューから選ぶだけで好みのものへ切り替えることが可能だ。高DPI環境への対応も改善されている。
また、作画のためのツールもアップデートされている。ツールボックスやライブパス効果(LPE)の選択ダイアログが再編されたほか、キャンバスの回転とミラーリング、オブジェクトの整列、スプリット(分割)ビュー、X-rayモード(フルカラービューでマウスポインターの周りだけワイヤーフレームビューにする機能)、筆圧感知対応の鉛筆ツール“PowerPencil”などがサポートされた。パス操作のパフォーマンス向上や、テキスト関連の設定改善、可変フォントのサポートや新しいPNGエクスポートオプション、原点が左上になったことなども本バージョンのトピックと言えるだろう。
さらに、拡張機能のプログラミングインターフェイスがアップデートされ、多くの新しいオプションが利用できるようになった。「Python 3」もサポートされているが、一方で互換性が失われているところもあるので注意したい。
そのほかにも、macOSへの対応が強化。macOS向けの「X Window System」である「XQuartz」が不要となり、「Inkscape」が初めてmacOSでもネイティブ動作するようになった。メニューバーやキーボードショートカットもOS標準に合わせたものとなり、Retinaディスプレイもサポートされている。また、「macOS Catalina 10.15」以降での利用に必要な64bit化や公証サービスへの対応も行われた。これらは今のところプレビュー版という扱いで、若干の問題が生じる可能性があるが、今後のバージョンで引き続き改善される予定だ。
ソフトウェア情報
- 「Inkscape」
- 【著作権者】
- Bryce Harrington 氏、Bulia Byak 氏、Jon Cruz 氏、MenTaLguY 氏ほか
- 【対応OS】
- Windows/Mac/Linuxなど(編集部にてWindows 10で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト(寄付歓迎)
- 【バージョン】
- 1.0(20/05/04)