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「Windows 10 May 2020 Update」、開発者向けの準備が完了 ~“Go-Live”なSDKが公開

WSL 2、Hosted App Model、Sparse Signed Packagesなどの開発者向け機能を提供

“Windows Developer Blog”のリリース

 米Microsoftは5月12日(現地時間)、「Windows 10 バージョン 2004」(May 2020 Update、Build 19041)のソフトウェア開発キット(SDK)をリリースした。開発したソフトウェアを本番環境で運用することを認める“Go-Live”ライセンスも付与されており、開発者は「Windows 10 バージョン 2004」対応のアプリの開発を今すぐ始めることができる。

 「Windows 10 バージョン 2004」では、「Windows Subsystem for Linux(WSL)」の新しいバージョン「WSL 2」が正式な機能として提供される。「WSL 2」はアーキテクチャーが刷新され、Linuxシステムコールの互換性が完全なものとなり、「Docker」や「FUSE」といった「WSL 1」では対応できなかったツールも利用できるようになる。また、ファイルIOのパフォーマンスも最大20倍にまで高速化される(参考記事)。

 また、“ホスト型アプリモデル(Hosted App Model)”や“Sparse Signed Packages”と呼ばれる仕組みが導入されるのも開発者向けのトピックと言える。

 Windows 10のバックグラウンドタスクやトースト通知、共有といったOS機能を利用するには、アプリケーションが一意のIDを持つ必要がある。しかし、「Powershell」や「Python」のスクリプトは“アプリケーション”ではなく“ファイル”に過ぎず、このIDを持つことができない。

 “ホスト型アプリモデル”は、こうしたスクリプトの類を“ホストされたアプリケーション”として宣言できるようにする仕組み。とくにWebサイトをアプリケーションのように扱えるようにする“プログレッシブ Web アプリ(PWA)”にとって、この仕組みによる恩恵は大きい。「Microsoft Edge」によってホストされた“アプリケーション”としてふるまうことで、ネイティブアプリと同様、Windows 10のOS機能にアクセスできるようになるからだ。

 一方、“Sparse Signed Packages”は既存のインストーラーに署名されたMSIXパッケージを含められるようにする。古いアプリの中にはIDを持たないがために、Windows 10のOS機能にアクセスできないものが少なくない。しかし、“Sparse Signed Packages”の仕組みを用いれば、アプリに大きな改修を加えなくても、他のWindows 10アプリと同じようにIDをもち、OS機能を活用できるようになる。

 「Windows 10 バージョン 2004」は現在、“Windows Insider Program”の“Slow”リングと“Release Preview”リングから入手可能。同日公開されたBuild 19041.264(KB4556803)では、先月に予告されていた「Windows Mixed Reality(MR)」の問題が解決されたほか、今月のセキュリティ更新プログラムの内容も含まれている。SDKは「Visual Studio」のインストーラーからセットアップできる。

SDKは「Visual Studio」のインストーラーからセットアップできる