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無償のファイル送信サービス“Firefox Send”が一時停止中 ~マルウェアによる悪用が増加
プライベートなファイルを手軽にやり取りできるメリットが仇に
2020年7月8日 08:30
Mozillaが運営する無償のファイル送信サービス“Firefox Send”が、一時的に運用を停止している。再開の見込みは立っていない。
“Firefox Send”は、プライベートなファイルを手軽にやり取りするためにMozillaが提供しているサービス。アップロードされたファイルを暗号化の上サーバーへ一時保管し、共有のためのダウンロードリンクを発行する仕組みになっており、共有リンクにはダウンロード回数や有効期限、パスワードなどを設定可能。Webブラウザーにファイルをドラッグ&ドロップするだけで、ダウンロードと共有リンクの取得が行える手軽さも魅力だ。また、「Firefox」以外のモダンブラウザーでも利用できる。
しかし、これらの利点はマルウェアの制作者にとっても魅力であったようだ。米ZDNet紙によると、“Firefox Send”は2019年後半以降、マルウェアコミュニティでより広く採用されていたという。手口はほぼ共通で、マルウェアのペイロード(データ本体)を“Firefox Send”にアップロードし、その共有リンクをメールに埋め込んで攻撃対象に送信する。皮肉にもペイロードの暗号化は“Firefox Send”が勝手に行ってくれる。
過去数ヶ月でランサムウェアやスパイウェアなど、あらゆる種類のサイバー犯罪で“Firefox Send”の悪用が確認されているとのこと。“Firefox Send”が利用する“send.firefox.com”というドメインは比較的信頼されており、スパムメールフィルターをパスしてしまったり、警戒心の高いユーザーでさえも気を許してクリックしてしまう可能性がある。
執筆時現在、“Firefox Send”のトップページには体験を改善するまでしばらくお待ちくださいというメッセージだけが掲載されており、詳細は明らかにされていない。今後の改善と、サービスの再開に期待したい。