ニュース
「Firefox」v83.0が公開 ~“HTTPS-Only モード”を導入、スクリプトエンジンが高速化
アドレスバーの検索機能もアップデート。脆弱性の修正はCVE番号ベースで21件
2020年11月18日 07:03
Mozillaは11月17日(米国時間)、デスクトップ向け「Firefox」の最新版「Firefox 83」を正式公開した。今回のアップデートでは、スクリプトエンジン「SpiderMonkey」の重要なアップデートである「Warp(WarpBuilder)」が有効化された。JIT(ジャストインタイム)コンパイラーの高速化によりページ読み込みのパフォーマンスが最大15%向上したほか、応答性は最大12%、メモリ使用量は最大8%改善された。セキュリティとエンジンの保守性も向上しているという。
機能面では、“HTTPS-Only モード”の導入が目玉。これは暗号化されていないHTTP接続のWebサイトをすべてブロックし、警告を表示する機能で、「Firefox」で表示するWebページが安全であることを保障する。既定では無効化されているが、オプション画面(about:preferences)から有効化できる。「Firefox」を“プライベートウィンドウ”で利用するときだけ有効化することも可能だ。
また、アドレスバーの検索機能がアップデートされた。「Firefox」はアドレスバーにキーワードを入力すると検索パネルが現れ、下部のアイコンをクリックすることで既定(Google)とは異なる検索エンジンでの検索が行える。「Firefox 83」ではこの挙動が変更され、検索エンジンをクリックしても即座には検索されず、検索モードが切り替わるだけになった。また、“Bing”などの検索エンジンだけでなく、ブックマークや開いているタブ、閲覧履歴が選べるようになった。
検索モードが切り替わるとアドレスバー左端にそのエンジンのバッジが追加され、エンジンが対応していればキーワードの候補がプルダウンで表示される。既定の検索エンジンでサジェストされたキーワードを選んでから、モードを切り替えて検索を続行することも可能。従来のように検索パネルでモードを切り替えたらすぐ検索を実行するには、[Shift]キーを押しながら検索エンジンをクリックすればよい。
そのほかにも、WindowsタッチスクリーンデバイスとMacデバイスのタッチパッドでピンチズームをサポート。“Picture-in-Picture”では、動画の早送りや巻き戻しを行うためのキーボードショートカットが利用できるようになった。PDFビューワーも刷新されている。ビデオ会議でスクリーンをキャストする際、どのスクリーンが共有されているかがわかりやくなったのも気の利いた改善点だ。
また、新しいレンダリングエンジン“WebRender”の対応プラットフォームが拡充され、Windows 7/8.xに加え、すべてのバージョンのmacOSが対象となった。“Apple Silicon(M1)”搭載端末での動作は「macOS Big Sur」に同梱されている「Rosetta 2」トランスコードを利用したものとなるが、将来バージョンでのネイティブ対応が計画されている。
なお、本バージョンでは脆弱性の修正も行われているので注意。件数はCVE番号ベースで21件。深刻度の内訳はMozillaの基準で上から2番目の“High”が4件、上から3番目の“Moderate”が11件、最低の“Low”が6件となっている。任意コードの実行につながりかねない問題も含まれているので、早期の対処が望ましい。
デスクトップ版「Firefox」はWindows/Mac/Linuxなどに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、現在MozillaのWebサイトからダウンロード可能。Windows版はWindows 7/8/10に対応しており、窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。すでに利用している場合は自動で更新されるが、画面右上のメインメニュー(横3本線アイコン)から[ヘルプ]-[Firefox について]へアクセスし、バージョン情報ダイアログを開いて手動でアップデートしてもよい。