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「Google Chrome」の開発者ツールが日本語対応 ~v94のベータ版がテスト公開中

「Chrome 94」の目玉は「WebCodecs」と「WebGPU」

公式ブログ「Chromium Blog」

 米Googleは8月26日(現地時間、以下同)、「Google Chrome 94」のベータ版に追加された新機能を発表した。「Chrome 94」の正式リリースは、9月下旬の予定。このバージョンからリリースサイクルが6週間から4週間に短縮される。

 「Chrome 94」の目玉は、「WebCodecs」と「WebGPU」だ。

WebCodecs

 現在のWeb標準規格にはさまざまなメディアAPIが用意されているが、いずれも特定の利用シーンを想定した高レベルなAPIだ。これまでにない斬新な機能――低レイテンシーなゲームストリーミング、クライアントサイドでのエフェクト処理やファイルフォーマット変換など――をJavaScriptやWebAssemblyで実装しようとすると、より低レベルなAPIが必要になる。

 「WebCodecs」はそうした需要を想定したAPIで、すでにWebブラウザーに組み込まれているメディアコンポーネント(ビデオ・オーディオのデコーダーとエンコーダー、Rawビデオフレーム、画像デコーダー)を開発者が活用できるようにするものだ。このAPIは「Chrome 93」でOrigin Trialsを卒業し、既定で利用可能となる。

WebGPU

 一方、「WebGPU API」はWebGL/WebGL2の後継となるWeb用グラフィックスAPIだ。WebGLはもともとグラフィックスのレンダリングのために設計されたが、GPUコンピューティングなどでも使いやすくなるように再設計されている。GPUハードウェアへのアクセスにかかるオーバーヘッドも削減されており、より優れた、より予測可能なパフォーマンスを提供する。

 「WebGPU API」は「Chrome 94」からOrigin Trialsが開始される。正式リリースは「Chrome 99」になる見込みだ。

その他の改善

 そのほかにも「Scheduling API」が拡充され、「scheduler.postTask()」メソッドが正式な機能として利用できるようになった。Canvas Color Management、VirtualKeyboard APIもOrigin Trialsを卒業する。

 一方、新しいHTTPステータスコード「103 Early Hints」が新たにOrigin Trialsに加えられ、プレビュー版としてテストできるようになった。

 JavaScript関連では、スクリプトエンジン「V8」がv9.4にアップデートされる。CSS関連でもさまざまな機能改善が行われた。開発ツール(DevTools)でもさまざまな改良が施されているが、なかでも対応言語が拡充された点には注目。日本語もサポートされており、設定画面からUIを日本語化できる。

開発ツールが日本語で利用可能に
開発ツールの設定画面

 廃止・削除される機能としては、サードパーティのコンテキストでの「WebSQL」が挙げられる。この仕様は2009年4月に初めて提案されたが、2010年11月に廃止されている。「Firefox」(Gecko)では実装されたことがなく、「Safari」(WebKit)でも2019年に削除されているため、「Chrome」からも削除されることになった。

 また、「navigator.plugins」と「navigator.mimeTypes」が固定リストを返すようになった。このAPIは主に「Adobe Flash Player」プラグインをサポートするかどうかをチェックするために用いられていたが、Flashの削除に伴い役割をほぼ終えた。残しておいてもフィンガープリンティングに悪用されるだけだが、一部のサイトでPDFビューアーの対応チェックに用いているとして互換性維持のため削除はされず、固定値を返すように改められた。

 「Google Chrome」ベータ版はWindows/Mac/Linux/Android/Chrome OSに対応するフリーソフトで、現在、同社のWebサイトからダウンロード可能。Windows版は64bit版を含むWindows 7/8/8.1/10で利用できる。