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「Chrome 100」がベータ版に ~「長い」UA文字列を返す最後のバージョン

マルチスクリーンウィンドウ配置などにも対応

「Google Chrome 100」のベータ版

 米Googleは3月3日(現地時間)、「Google Chrome 100」のベータ版に追加された新機能を発表した。

「長い」ユーザーエージェント文字列を返す最後のバージョン

 Webブラウザーがもたらす情報を組み合わせてユーザーの識別・追跡を行う「フィンガープリント」(指紋)技術に対抗するため、「Chrome」ではユーザーエージェント(UA)文字列の削減(User Agent Reduction)し、「User-Agent Client Hints」へ移行する方針だ。ただし、UA文字列はWebブラウザーの種類やバージョンを判定するため幅広く用いられているため、移行は段階的に実施される。

 その準備として、まずはUA文字列の削減を有効化し問題をあぶりだすためのOrigin Trialsテストが実施されていたが、「Chrome 100」をもってこれは終了。実際にロールアウトを行うフェイズへ移行される予定。

 まだ準備ができていない場合は、非推奨のOrigin Trialsテストに登録することで従来の「長い」UA文字列を使い続けることができるが、この非推奨トライアルは2023年5月下旬に終了する。Webサイトの管理者は、できるだけ早く後継の「User-Agent Client Hints」への移行を準備する必要があるだろう。

マルチスクリーンウィンドウ配置

 デスクトップで利用可能になる「Multi-Screen Window Placement API」は、デバイスに接続されているスクリーンを列挙し、特定のスクリーンにウィンドウを配置できるようにするAPIだ。プレゼンテーションアプリでメインディスプレイには発表者用のウィンドウを、サブのプロジェクターにはスライドを表示したいといったケースでの利用が想定されている。

そのほかの改善

 専用ワーカー(Dedicated Worker)コンテキストから「Media Source Extensions」を利用できるようにする機能が引き続きOrigin Trialsでテストされる(「Chrome 103」までの予定)。これはメディアバッファリングのパフォーマンスを向上させるために役立つとのこと。

 また、Webアプリケーションでアプリ内課金などを手軽に実現する「Digital Goods API」がOrigin Trialsを卒業し、正式な機能として導入される。

 さらに以下の機能が新たに利用可能になるとのこと。

  • AbortSignal.prototype.throwIfAborted()
  • Capability Delegation
  • HIDDevice forget()
  • mix-blend-mode: "plus-lighter"
  • Sec-CH-UA-WoW64 Client Hint
  • SerialPort Integration with WritableStream Controller's Abort Signal
  • TLS ALPN Extension in wss-schemed WebSockets Connections
  • Web NFC: NDEFReader makeReadOnly()
  • WebTransport serverCertificateHashes Option

 「Google Chrome」ベータ版はWindows/Mac/Linux/Androidなどに対応するフリーソフトで、現在、同社のWebサイトからダウンロード可能。Windows版は64bit版を含むWindows 7/8/8.1/10/11で利用できる。