ニュース

HDR/10bitカラーのビデオエンコーディングをサポートした「OBS Studio 28.0」が公開

誕生10周年の記念リリース。GUIライブラリは「Qt 6」へ移行、Apple Siliconにも対応

「OBS Studio」v28.0

 ライブ配信ソフト「OBS Studio」の最新版v28.0が、9月1日に公開された。誕生から10周年を記念したこのメジャーバージョンアップでは、多くの新機能が追加されている。

 まず、HDR/10bitカラーのビデオエンコーディングがサポートされた。これにあわせ、新しいカラーフォーマットとカラースペースの設定が詳細設定に追加されている。

カラーフォーマットの設定画面

 HDR/10bitカラーはAV1/HEVCエンコーダーでのみ利用可能。「NVIDIA 10」シリーズ、「AMD 5000」シリーズおよびそれ以降のグレードのGPUが必要となる。また、Mac/Linux対応は限定的で、HDRプレビューは機能せず、いくつかの入力/エンコーダーを更新する必要があるなどの制限がある。

 2つ目の大きな改善は、GUIライブラリを「Qt 6」へ移行したことだ。8年ぶりのメジャーリリースとして2020年に提供が開始された「Qt 6」では、近年の技術革新にキャッチアップすべく、さまざまな改善が盛り込まれている。Windows 11をはじめとする最新OSへの対応や、後述のApple Siliconサポートなどはその恩恵と言えるだろう。

 一方で、「Qt 5」に依存するプラグインが動作しなくなっているので注意。プラグインの互換状況は特設ページにまとめられているので、アップグレード前にチェックしておくとよいだろう。また、Windows 7/8、macOS 10.13/10.14、Ubuntu 18.04、およびすべての32bit OSがサポート対象から外されている点にも注意したい。

 3つ目の大きな改善は、Apple Silicon対応のネイティブビルドが利用可能になったことだ。「Rosetta 2」トランスレーションを介さずに動作するため、パフォーマンスとバッテリー持続時間の改善が期待できる。

 ただし、これもサードパーティー製プラグインの対応状況に留意する必要がある。

 そのほかにも、Windows版ではAMDエンコーダーの新実装や単一プロセスのオーディオ出力をキャプチャーする機能などが追加された。「NVIDIA Video Effects SDK」ランタイムの追加で背景を除去したり、屋内のエコー除去といったテクノロジーを利用することもできる。

 また、「OBS」内から「YouTube」にチャットメッセージを送信する機能も追加されているとのこと。「YouTube」配信は「OBS Studio 27.1」から統合されているが、このときのチャット機能は読み取り専用だった。

 「OBS Studio」は、オープンソースで開発されているクロスプラットフォーム対応のビデオ録画・生放送ツール(「OBS」は「Open Broadcaster Software Studio」の略)。リアルタイムで映像・音声をキャプチャーし、ミキシングやフィルター、シーンの切り替えといった操作を行いながら、さまざまな動画・音声サービスへ配信することができる。また、強力なAPIを備えており、プラグインで機能をニーズに応えたカスタマイズが行える点も人気だ。

 対応OSはWindows/Mac/Linuxで、Windows版はWindows 8.1以降で利用可能。現在、公式サイト「obsproject.com」から無償でダウンロードできる。ライセンスは「GNU General Public License(GPL) v2.0」。Windows版は窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。

ソフトウェア情報

「OBS Studio」
【著作権者】
OBS Project
【対応OS】
Windows/Mac/Linux
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
28.0(22/09/01)