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AIがビジネス文書の文面を自動生成 ~「Google Workspace」にジェネレーティブAIが導入へ

まずは「Google ドキュメント」と「Gmail」でライティング支援機能をテスト

「Google Workspace」にジェネレーティブAIを導入

 米Googleは3月15日(現地時間)、「Google Cloud」や「Google Workspace」にジェネレーティブAIを導入すると発表した。まずは「Google ドキュメント」と「Gmail」でライティング支援機能を一部テスターに導入するという。

 近年のAIブームはまず画像認識の分野から始まり、被写体がなんなのかを判別したり、背景部分を識別するといった活用がなされてきた。こうした技術は画像やテキストの加工にも応用されていたが、研究が進むにつれてコンテンツを新たに生成する手法が確立されてきた。これらはジェネレーティブAI(Generative AI、生成系AI)と呼ばれており、自然言語による命令(プロンプト)から画像を生成する「Stable Diffusion」や、人間のような対話が可能な「ChatGPT」はその代表といえる。

 もちろん「Google Workspace」でもAIは活用されており、「Gmail」のスマート編集や「Google ドキュメント」の自動生成サマリーといったライティング支援機能をいち早く投入してきた。しかし、競合する他社もより高度な生成系AIの導入進めており、うかうかとしていられない状況になりつつある。

 そこで、「Google Cloud」の「Vertex AI」で生成系AIをサポートするなど、プラットフォームの強化を図る一方で、「Google ドキュメント」と「Gmail」で一般ユーザーにも生成系AIを活用したより高度なライティング支援技術を提供することになったようだ。

生成系AIで「Gmail」の文面を自動作成

 同社によると、以下の機能が1年をかけてテスターに順次提供され、問題の洗い出しや調整を行ったうえで一般提供していくとのこと。

  • 「Gmail」の下書き、返信、まとめ、優先順位をつける
  • 「Google ドキュメント」でブレインストーム、校正、執筆、リライト
  • 「Google スライド」で自動生成された画像、オーディオ、ビデオを利用
  • 「Google スプレッドシート」で自動補完、数式生成、文脈に沿った分類。生データからの分析・展望
  • 「Google Meet」で新しい背景を生成、ノートのキャプチャー
  • 「Google Chat」で物事を進めるためのワークフローを実現

 これらの足掛かりとなるのはやはり「Gmail」と「Google ドキュメント」で、書きたいトピックを入力すするだけで即座に原稿が作成されるようになる。最初の一文を書くのに長い時間頭を悩ませているような人にとっては、ありがたい機能だ。途中で詰まってしまった場合も、AIの提案をヒントに執筆を進めたり、文章の推敲を行える。

 また、これらのライティング支援機能ではトーンやスタイルもサポートされる。友人に対するカジュアルなメールから、大事な取引先に送る畏まったメールまで、状況に応じてテキストをリライトできる。AIに新しい遊び心のある文章を求めるなら、「Gmail」で「I'm feeling lucky」を利用してもよい。

トーンやスタイルの変更も可能

 こうした生成系AIは大変便利だが、一方でウソや誤り、不適切な表現が生成されることも少なくない。そのため、同社はユーザーによるコントロールや組織が適切にポリシーを設定できることも重視していくとのこと。テストは今月から「Trusted Tester Program」を通じ、英語(米国)版から行われ、品質の評価と継続的な改善が図られる。

A new era for AI and Google Workspace